孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ロシア  全金融商品の取引中止 「孤立も軍拡競争も不要だ。それは袋小路への道だ」

2008-09-18 15:00:09 | 国際情勢

(“flickr”より By aussiegall
http://www.flickr.com/photos/aussiegall/759309122/)

【消えない不安】
米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻の連鎖を防止すべく、各国中央銀行による積極的な市場への資金供給にあわせて、米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)に対する米金融当局による救済策や英金融大手のロイズTSBによる英住宅金融最大手HBOSの救済合併の見通しなどの対応策も講じられてはいますが、世界的な金融不安はまだ静まっていません。

アメリカの8月の住宅着工件数が前月比6.2%減の89万5000戸と大幅に落ち込み、91年1月以来17年7カ月ぶりの低水準となったようにサブプライムローン問題に伴う住宅市場低迷も歯止めがかかっていません。
こうしたなかで、各国の株式市場も不安を反映して一段と下げる展開となっています。

世界の金融不安を伝える記事のなかで、特に目を引いたのがロシアの状況。
ロシアでは、株価下落に歯止めがきかなくなったため、国内の証券などすべての金融商品の取引が中止されたそうです。

*****ロシア:全金融商品の取引中止を命じる 株下落止まらず*****
ロシア連邦金融市場監督局は17日正午(日本時間同午後5時)すぎ、国内の証券などすべての金融商品の取引の中止を命じた。16日に引き続き、株価下落に歯止めがきかなくなったため。うち、ルーブル建ての証券取引所MICEXは同日午後5時42分に取引を再開したが、同45分の終値は前日比マイナス18%で、05年11月以降の最低値を更新した。ドル建てのRTSは取引停止のまま、前日終値のマイナス6.39%で終了した。
 MICEXとRTSは16日にも取引を一時停止していた。
 タス通信によると、ロシア財務省は17日、政府系銀行のロシア貯蓄銀行(ズベルバンク)、対外貿易銀行(VTB)、ガスプロムバンクの準備金積み増しのため、初の特別入札を行うと発表した。17日までにロシア政府が国内銀行の準備金に投入した資金は、金融不安を背景に3500億ルーブル(約1兆4400億円)に達した。【9月18日 毎日】
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主要企業では、政府系天然ガス「ガスプロム」、国営石油「ロスネフチ」、対外貿易銀行、預金者数でロシア最大の貯蓄銀行(ズベルバンク)などの株価下落が目立っているとか。
ロシアの株式市場は6月から下落を始め、8月のグルジア紛争で下落傾向がさらに強まっていました。
これに世界同時株安が追い打ちをかけた形で、98年の金融危機の再来を懸念する声も上がっているそうです。

【ワンワールド】
また、こうしたロシア経済の混乱はアメリカとの対決姿勢を強めてきた政治面にも影響しつつあるとも伝えられています。

****露大統領:「我々に孤立は不要」国内株価急落で弱気に?
ロシアのメドベージェフ大統領はこのほど、「我々には(国際的な)孤立も軍拡競争も不要だ。それは袋小路への道だ」と述べた。8月8日のグルジア侵攻以降「新たな冷戦が起きても恐れない」と西側諸国に挑戦的な態度を取ってきた大統領だが、ロシア企業の株価低下や国外への投資流出に歯止めがかからないことから、弱気な本音がポロリと出たようだ。【9月17日 毎日】
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株価下落が続いているのは中国も同様です。
先進国であろうが、新興国であろうが、途上国であろうが、いまや世界各国は“世界経済”というひとつのボートに一緒に乗り込んでいます。
ボートを揺らすような行為は、結局自国の混乱に繋がってきます。
北京オリンピックのスローガンは「ワン ワールド、ワン ドリーム」でしたが、今回の金融不安はまさに世界が“ワンワールド”であることを如実に示しています。

世界の指導者、国民が“世界がひとつのボートに乗っている”という認識をあらたにして、孤立や対立が不毛の選択であることを確認してくれれば、明日に向かっての大きな一歩になるのですが。

コメント
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