そろそろ桜のシーズン到来。あちこちで開花宣言が聞こえてきます。
今日の朝刊に、愛媛県宇和島市の伊達家古文書から、宇和島藩主や家臣らが京都、大坂の著名な歌人・俳人から通信添削を受けた和歌・俳句がみつかったという記事が載っていました。
こういう史料がまとまってみつかったのは初めてのことで、今後の調査ではもしかしたら、藩主と家臣だけでなく、武士と庶民が身分を超えて通信添削を受けていたことがわかるかもしれないということです。
江戸時代のちょっといい話でしょうか。
(ちなみに、上の段落の出だしを「今朝の朝刊」とすると、「朝刊は朝に決まってるやろ~ぉ」と、ゆるせない話になる人がいるかも?)
通信添削を受けていたかどうかはわかりませんが、鎌倉幕府の三代将軍源実朝も、京都の歌壇にあこがれ、定家に弟子入りしたそうです。
遠く離れた鎌倉で、定家に作歌法の書を送ってもらったり、「万葉集」を教わったりしたそうです。
百人一首にも実朝の歌が収録されていますが、田辺聖子さんによると、「なまじいに京都歌人の仲間に加わって、手垢のついた旧来の観念に毒されなかったのがよかった」のだそうです。
「田辺聖子の小倉百人一首」(角川文庫)下巻に、実朝の独特の世界が紹介されています。
もののふの 矢並みつくろふ 籠手の上に 霰たばしる 那須の篠原
箱根路を わが越えくれば 伊豆の海や 沖の小島に波の寄る見ゆ
大海の 磯もとどろに 寄する波 われてくだけて 裂けて散るかも
王朝の貴族達とは違った、武士らしい歌ですね。
タイトルの「天の花 地の雪」も、短歌の世界つながり。
昔の人は、天上に咲いた花が散ると、雪になって地上に降ると考えたそうです。
「殿の背に負われて桜見んとせば たった二分でああくたびれた」
「お花見は 花冷えするから要注意 風邪ひく前に城へ戻ろう」
実際、桜の季節は思いがけない寒さに襲われることがあります。
時には雪が降ることもあるので、皆様も気をつけて下さいね