AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

サリュージョン

2012年02月26日 | まったり邦楽
2011年のAMASHINレコード大賞の第1位に見事輝いたsalyu×salyuのアルバム『s(o)un(d)beams』であるが、あの多重録音のトリッキーなハーモニーと、立体的なエレクトロサウンドを生ライブでどう再現するのか、非常に興味深いところであった。
で、今月早くもリリースされたライブDVD『s(o)un(d)beams+』を購入、そして鑑賞。

本映像は2011.11.1によこすか芸術劇場にておこなわれたsalyu x salyuのワンマンライブの模様を、プロデューサー小山田圭吾氏の監修のもとパッケージ化したもの。
コーネリアス小山田氏(g.b)を始め、Bufallo Daughterの大野由美子(b.key)、そしてASA-CHANG(ds)など、この手の音楽のブレーン達が一度に大集結したバンド編成に、Salyu、そして同じマッシュルームカットで統一された3人娘から成る“salyu sisters”というコーラス隊で構成された、なんともゴージャスでエキセントリックな演奏会といったところだ。
このシスターズがまたタダモノではなく(全員音大出身者?)、時にハープを奏で、いろんな種類のパーカスを操り、ギターを掻き鳴らすといった小技を次々と繰り出す。Salyu自身も“続きを”ではピアニカを弾いたり、自分のスキャット、ヴォイスパーカスをその場で多重録音していくヴォイスリピーターみたいな機械をいじることを習得していたのには驚かされた。

とにかく、カンカンカンカンっと打ち鳴らされるメトロノームが一種の緊張感をもたらすという、この斬新すぎる出だしの段階で一気に映像に吸い込まれ、もうその次々と繰り出される目くるめくイリュージョンに終始魅せられっぱなしであった。
あの原盤での再現不能かと思われた緻密な音像を、アコースティッキーに再構築し、さらにスケールアップさせるこのマジックとも言うべきバンドアレンジには脱帽。
個人的にはキング・クリムゾンのライブDVD『Neal and Jack and Me』、あるいは、ポーティスヘッドのライブDVD『roseland new york』を鑑賞した時ぐらいの衝撃だった。

この映像を見て、ビョークのVespertineツアー時のライブDVD『Live at Royal Opera House』を思い浮かべる方は多いだろう。しかし、あまりにも寒冷として、白と黒しかないようなやや肩のこる厳粛過ぎるビョークの映像より、Salyuの多少粗がありながらも色彩豊かで、時折緩やかなポップ感を見せる温かみのある本映像の方が遥かにいい塩梅なのである。
なによりも、Salyu本人がいつものソロライブよりも伸びやかで、とても気持ち良さそうにライブを楽しんでらっしゃる姿が微笑ましい。

息もつかせぬ緻密な構成美と、和やかムードなパフォーマンスに彩られた無駄のない完成度の高過ぎる音像。
Salyuファンに限らず、音楽ファンなら一見の価値ありの驚異的な映像作品といってしまおう。



今日の1曲:『ただのともだち』/ salyu×salyu
コメント
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