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AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

恐るべき球体の集積物

2012年04月29日 | ルルイエ異本
ゴールデンウィーク初日。
屈辱的な阪神VS巨人の野球中継(どうした能見?ユー能見?)が終わった後、所用あって近所のイオンに出かけたが、まぁ遅い時間やのに店内は家族連れでゴッタ返しとりました。
ここいらに棲まう住民どもはホンマ、他に行くところないんかい。

で、私はというと、いつものようにKALDIで無料コーヒーをいただいてから、4Fのフードコートで魔道書に耽ろうと思ったが、その前にウンコをもよおしたのでトイレへとかけこんだ。
想定していたより長便になりそうだったので、そこできばりながら禁断の書の第7章「人類誕生以前に到来したもの」の断片についての註解の続きを読もうとカバンに手を伸ばしたところ、魔道書『ネクロノミコン』を家に忘れてきてしまっていることに気づいた。

トイレから出て、仕方ないので2Fをブラブラ散策していると、中央広場から私の心情を騒がせるなにやら不穏な配色の球体の集積物が目に飛び込んできた。
それは、この広場の雰囲気に固有ななにか、信じられないほど古くて邪悪ななにか、怖ろしい太古の冒瀆的行為と想像もままならない恐怖を暗示するなにかであった。




この異様な球体の集積物はまさか・・・・生身の人間が迂闊に踏み越えてはならない領域への門・・・
地球の時間と空間から、時空の外の地球の延長部へと通じる想像も及ばぬ彼方への入り口なのでは・・・!?



光り輝く虹色の球体の集積物・・・・それは時空間の最下のさらに彼方、核の混沌のただなかにおいて、原初の粘液として永遠に泡だっている、有害きわなりないヨグ=ソトースにほかならない。



オオオ・・・上空では、ヌラヌラとした触手を這わせながら、彼方より到来せし不定形のものの顕現が・・・!!
それは、すべての生物がまだ原初の軟泥から出現していない生命進化の段階における、おそろしいほど流動的な無定形の成長物のようにも見えた。


アラブの狂詩人アブドゥル・アルハザードの禁断の書『ネクロノミコン』の断片にこうある。

「ヨグ=ソトースは輝く球体の集まりであり、人間の創造を絶する異様な存在である。
ヨグ=ソトースは門であり、門の鍵にして守護者である。過去、現在、未来はすべて、ヨグ=ソトースのうちにて一である。旧支配者のかつて突破したところ、周期が完了して再び突破しようとするところを、ヨグ=ソトースは知る。」

しかるがゆえに、ものぐさなるイオンの民よ。いくら赤貧だからといえどもゴールデンウィークの初日から、軽率にもこのような呪われた場所に、自分らの子を連れていたずらに徘徊するのはやめよ。
このように天気のいい日は、山か海、あるいは平城宮跡にでも行って、バドミントンやチアン遊びなどの健全なる遊戯にでも耽るがよい。
もっとも山へいけば、千匹の仔を孕みし森の黒山羊シュブ=ニグラスの落とし仔である矮人族、そして海へいけば、大いなるクトゥルーの眷属<深きものども>に遭遇するやもしれぬ。
それでも“窮極の門”へといざなう外なる神であるヨグ=ソトースに出会うよりはよっぽどマシというものである。


ん?そういえば、私はこのイオンに何か大切な所用を果たすためにやってきたのではなかったか。
それは何であったか?

そうだ、思い出した。無料のピュアウォーターを汲むことであった。




おぞましいほどにおびただしい、球体の集積物映像である・・・・


今日の1曲:『EXTENSION』/ Salyu
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ティンダロスの猟犬

2012年03月31日 | ルルイエ異本
私が先日、大阪城ホールでのPerfumeのライブで、角度あるものを見る度になぜ、あれほど恐れおののき正気を失いかけていたのかは、今から私が語る“彼方から狩りたてるもの”のことを知れば、そのときの私の苦境を察してくれるであろう。

テトラ型の牛乳パックなど、角度あるものを見るたびに、私は身が凍るほどの恐怖に打ち震え、以前イオンのフードコートでアラブの狂詩人アブドゥル・アルハザードの、あの凄まじい『ネクロノミコン』に記された第七の物語で述べられている「時間を超越した狂気」の頁に目を通したことをはげしく後悔するのであった。
その第七の物語には、彼方から狩りたてるもの、すなわち“ティンダロスの猟犬”の恐ろしい実体について、まことしやかにほのめかされているからである。

ティンダロスの猟犬は、時間が生まれる以前の超太古にある、異常な角度を持つ空間に棲むといわれており、ノス=イディクの落とし子にしてクトゥンの瘴気である。時間や空間のあらゆる範囲を越えた混沌のおぼめく朦朧とした領域、慄然たる恐怖のアザトースにほかならぬ大渦巻きのなかで永遠に吠えたけってヨダレを垂らしながら、彼らの領域に迂闊にもまぎれこむ憐れな人間の精神を待ち受けている。

だいたい、彼のものどもの領域に足を踏み入れる者とは、軽率な時間遡行者であり、時間と空間の制限を消す“遼丹”という支那の秘薬を服用することにより、自由になった精神で帳の彼方を旅することが可能になる。
そして、この時間遡行に沈溺しすぎた者が、窮極の恐るべきティンダロスの猟犬の尋常ならざる臭覚に引っかかってしまうのである。
いにしえに記されたところによれば、人間が彼のものどものうちに宇宙的な飢えを目覚めさせるという。人間が持っている何かを彼のものは渇望しており、それが何なのかは定かではない。やっぱペティグリーチャムか?

しかし、ティンダロスの猟犬は、旧神によってある種の拘束を受けている。それというのも、我ら人間の棲む宇宙は湾曲している一方、彼のものどもは直進して直角に進路をかえることしかできぬのだ。
よって人間の領域である時間軸に沿って普通に暮らしている限りは、彼のものどもに出くわすことはまずないといってよいだろう。



だが、しかし!私は蒼古たる『ナコト写本』の解読されているページを調べるにつけ、慰めようのない絶望感に打ちひしがれるのであった。
この人間誕生以前のいにしえの書によれば、「時間の彼方の深淵の名状しがたい狩り立てるものどもに、湾曲した空間の障壁を抜けるのを助けるものどもが存在する。」とある。
それはヤディスのドール族であり、強壮な母、千匹の仔を孕みし森の黒山羊シュブ=ニグラスから生まれし森の矮人サテュロスなどである。
ドールは人間の夢の中にまで侵入し、サテュロスは緋色の円を通過させ、我らの湾曲した空間からなる領域に彼のものどもを侵入させるのである。
しかるがゆえ、四隅の総てにセメントやパテなどを埋めて角度をなくそうが、球体の中に身を潜めようが、彼方から狩りたてるものの執拗な追跡を免れる可能性は極めて低いといわざるをえない。

私はあの日、“パフュームのライブへと駆り立てるもの”の口車に乗せられ、ノコノコと大阪城公園に出かけてしまったがために、角度ある領域に踏み込んで、彼方から狩りたてるものを目覚めさせてしまったのではないか!という恐ろしい疑念に苛まれ、イオンにタダ水を汲みにいくのもままならないのである。
ひょっとしてあのマイミクはドール族と同じく、ティンダロスの猟犬との結託者だったのではあるまいか?!
しかし、もう遅すぎる・・・

ああ、彼方より暗黒の大渦巻きの中心で吠え立てる、凶々しい犬の遠吠えが聞こえてくる・・・・神よ!!

大阪城公園の噴水の周りをあてどもなく徘徊し、ダフ屋まがいのマネまでして、チケットを手に入れるのではなかった・・・
物販で、Perfumeの三角模様の中に象形文字が施されたJPNTシャツの黒を購入するのではなかった・・・


ティンダロスの良犬




今日の1曲:『Mademoiselle Nobs』/ Pink Floyd
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マッケンサンバ

2012年03月12日 | ルルイエ異本
クトゥルー神話体系のルーツを探るべく、ラヴクラフトが多大なる影響を受け「高度の異次元恐怖を最も芸術的に高揚した作家」と賞賛してやまなかったイギリスの怪奇小説作家アーサー・マッケンの作品に初挑戦してみた。

昨年の創元推理文庫の“復刊フェア”で再プレスされた『怪奇クラブ』であるが、原題は“THREE IMPOSTORS”といって直訳すると“三人の詐欺師”。
プロローグで、その三人の詐欺師らしき男女がなにやら悪巧みを囁きあってるシーンから話は始まるのだが、全体的には約4つの独立したエピソードから成っており、最終的に全ての物語にこの三人の男女が絡んでいたという、なかなか構成力に富んだオムニバス作品であった。

雰囲気は探偵趣味の強い犯罪ミステリー風の展開なのだが、これら奇譚の中でとりわけオカルト趣味の濃いエピソードだったのが『黒い石印』の話で、石切り山で矮人と契りを交わした女が産み落としたという、癲癇病みの白痴少年が出てくる。
ここでの“矮人”というのは、いずれも人間以前の世界に生存していた未開な半人半獣なのであって、その姿は醜怪卑陋、その心ばえは罪そのもののように陰険邪悪のものなのである。

こいつが矮人?


人間誕生以前から生存していた半人半獣・・・・うん、いかにも旧支配者じみている。
そしてそれらと人間との異種交配ってところなど、まさにクトゥルー的ではありますまいか!

この異形の少年と“グレー・ヒルの石灰岩に記されたる文字”と黒き石印との関連性を研究しつづけるグレッグ教授の所有していた書物の中にポンポニウス・メラの『天体位相』というのが出てきます。
その中の「ソナリス」の章の冒頭に次のような文章が出てくる。

~リビアの奥地に住む人々の不思議と、六十石と称する石の不思議~
「この民族は奥地の秘境に住し、蛮地の山上において猥褻なる秘行を行う。彼らは顔は人間なれども、五体は人間と共通するものなく、また人間の習俗は彼らにとりてはことごとく奇異にして、太陽を忌む。もの言うときはほとんど語をなさぬ歯音なれど、声荒々しく、恐怖なくして聞くべからず。
この民族は六十石と称する石を崇ぶ。六十石とは、その石に六十の文字記されあるがゆえに、かくは名づくなり。この石に不文の秘密あり。
IXAXAR(イシャクシャ)これなり。」

この記述を読んで、私は宇宙的逸脱の汚穢と戦慄を感じないではいられなかった。
この何語ともつかぬ“イシャクシャ”なる言葉は、ウェールズ人特有の、小川がゴボゴボ鳴るかのような奇妙な発音と恐ろしくも似通っているようなのだという。
“イシャクシャ”とは、おそらく悠久の太古の暗黒の深淵からの何らかの類に違いない。

あともう1つは「白い粉薬のはなし」で、近所の薬屋で調剤した白い粉薬を服用したがために、肉体がドロドロに溶けてしまった青年の話。
ドクター・チャンバーズの報告書によると、
「この白い粉は、いわゆるヴィナム・サバッティ、つまり“サバト”の酒をつくる元で、コップの水の中へ白い粉薬を2、3杯入れた酒によって、生命の巣である人間の体はバラバラになり、五体は溶けて、今まで体内に眠って外形をなし、肉の衣をかぶっていた蟲だけが死なずに残る。やがて真夜中になると、原始の堕落が繰り返し反復されて、エデンの園の林檎の神話の中に隠されている恐ろしいことが、ここで新しく行われるのだ」という。

これは、ラヴクラフト著の『チャールズ・ウォードの奇怪な事件』でチャールズがポートゥックスト農場の実験室にて調剤していたあの、“人間の死体ないし骸骨を還元しようと務めている塩”を彷彿とさせてはいまいか?

まぁ旧支配者の御名や、『ネクロノミコン』とかの禁断の書物も出てこないので(当たり前か)、私としてはチト物足りなかったが、陰険穢怪なるマッケン作品を今後も探求してみようかと思う。

今日の1曲:『誇大妄想狂』/ Black Sabbath

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彼方よりの挑戦

2012年02月02日 | ルルイエ異本
◆◆◆クトゥルー依存20周年発狂企画◆◆◆

異次元の彼方より、暗黒界の使者アーマ=スィンがすげぇアルバムを届けにやってきた!!
ニューアルバム『クートゥルフがやってきた イア!イア!イア!』がついにリリース!!

曲目

01.吹けよ風、呼べよイタカ
02.オマエは不定形
03.ミスカトニック・ラブ
04.いにしえのアイツ  
05.あの娘はインスマウス面
06.窓に!窓に!
07.ユッグゴトフと呼ばないで
08.彼女と精神交換
09.サイロンのバラード
10.ヨグ様ヘルプ!
11.僕がサイクラノーシュの扉を開けた時、君はもうフジウルクォイグムンズハー
12.カダスは楽しいところだぜ!
13.アザトースのための子守唄

-BONUS TRACK-
12.オーゼイユのテーマ(エーリッヒ・ツァンのカヴァー)


エクズキューティヴ・プロデューサー:魔道士ズカウバ(from 惑星ヤディス)
ARKAM RECORD

アーマ=スィンがプレアデス星団のセラエノスタジオで、クトゥルー神話体系をコンセプトに作り上げた意欲作『クートゥルフがやってきた イア!イア!イア!』がついに完成!!
あらゆる次元から豪華ゲストを迎えて、さらにスケールアップした宇宙的恐怖の深淵を描いた見事な冒涜的作品に仕上がっている。

教授と教え子の禁断の愛を歌ったラブソング「ミスカトニック・ラブ」。「あの娘はインスマウス面」では深きものども合唱団がコーラスで参加。ダゴンの恐怖を歌ったトータルタイム2秒の「窓に!窓に!」。
アーマがはじめてヒューペルボリアものに挑戦した「サイロンのヴァラード」。壮大なスケールで描く38分にもおよぶ超大作「カダスは楽しいところだぜ!」。
「アザトースのための子守唄」では、超次元よりくぐもった狂おしき連打を放つ下劣なドラマー<始まりの恐れ>、かぼそき単調な呪われた音色を奏でるフルート奏者<憎しみの真実>という超豪華ゲストを召還。
日本盤のみボーナス・トラックに唖のドイツ人ヴィオル奏者エーリッヒ・ツァンのインストカヴァー曲を特別収録!


「“ダンウィッチの怪”以来の衝撃だ!!聴くな!!狂うぞ!!」(アーカム・アドヴァタイザー誌)

「最も忌むべきものだよ。これは名状しがたいものだったんだ。」(ジョウエル・マントン)

「テケリ・リ!テケリ・リ!」(いにしえのもの)


~アーマ=スィンのプロフィール~



魔導師、スラッシャー
惑星アランフィッツ=ジェラルド生まれカルコサ育ち。
現在は地図に載っていない鬼津の国、駒形切妻窓のギルマン団地に棲まう。
ミスカトニック大学ショゴス学部不定形学科中退。
サウスセッツ大学クトゥルー神学部ルルイエ語学科卒業。
光線外被、パブリク艇普通運転免許 取得。
好きなもの・・・キング・クリムゾン、名状しがたいもの、梨
嫌いなもの・・・タマネギ、飛行するポリプ状生物



今日の1曲:『FELANGER』/ BUSH OF GHOSTS
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ユゴスよりの紅玉

2011年12月24日 | ルルイエ異本
前ログで散々けなしまくったラムレイの『幻夢の時計』でありますが―

ただ、本書の中で、猫の町ウルタールの<古のものの神殿>に棲まっている老神官、人呼んでハテグ=クラのアタルが、<旧き記録の間>に所蔵している『ド-ハルシスの第四の書』の中に掲載されてある、凍てつく荒野のレンより黒いガレー船に乗ってやってくるターバンを巻いた“角族”が所持している、あの人々の精気を吸い取る魔力を放つ巨大紅玉についての記述が紹介されている部分に関しては、大変興味そそられるものがあった。


~大いなる紅玉について~

大いなる紅玉、それは辺境なる星ユゴスよりきたる<光を超ゆるもの>で、<吸血鬼>という言葉の最悪の意味を表わす存在である。
遥かな昔、まだ<夢>が生まれるより以前、万物の夜明け前なる始原の霧のなかにおいて、遠き辺境なるユゴスより、<古のもの>がかの大いなる紅玉を運び出した。
その巨大紅玉のなかには<古のもの>の魔術と光とによってあるものが封じこめられていたのだが、それこそが始原なる邪悪の化身、地獄そのもののごとき忌まわしき存在なのだ。
人々を催眠作用によって弱らせているのは宝石それ自体ではなく、その内部に閉じ込められているもの、すなわち辺境なる暗黒のユゴスよりきたる<光を超ゆるもの>の邪悪な波動によるものなのだ。

かの紅玉は、禁断の山ハテグ=クラの高みより崩れ落ちし雪崩にまぎれて転がり落ちたるところを、ティルヒアの黒き姫ヤス-リー率いる隊商によって発見され、銀の尖塔建ち並ぶティルヒアの町に持ち帰られた。
やがてティルヒアの住民は死者のごとく変わり果てた姿となり、町は荒廃を極め、今ではどこにティルヒアなる町があったかを知る者はない。
その後巨大紅玉は、ダイラス=リーンが面する南方海沖合のオリアブ島に近い海上に浮かんでいた謎めいた金色のガレー船の船内において発見される。
発見されたとき乗組員はすでにみな死んでいたが、なぜか腐乱することもなく完全な姿のままの死体で、しかもそのすべてが人間とはいいがたいものどもだった。
巨大紅玉はそれを金のガレー船より運び出した船乗りたちが哀れにも災厄に見舞われたあともなお生きのび、のちにナスの谷の巨虫ドール族によって崇拝されたが、あるとき三匹の蝙蝠めいた夜鬼によって持ち去られてトゥロク山脈の峨々たる峰を超え、ついにはおぼろな神話のみにて恐ろしげに仄めかされる地下なる妖異どもの棲むところに運びこまれたという。


~<光を超ゆるもの>の召喚について~

この召喚においては距離が遠いか否かはまったく問題ではない。その気にさえなればその場所にいながらにして<かのもの>すなわち<光を超ゆるもの>を喚びいだすことができる。
だがそうする前にまず<ナアク=ティスの結界>を紅玉の置かれた周辺に張りめぐらし、紅玉の外に出てきた<かのもの>を防ぐ手立てを講じておかねばならない。もしそうしなければ、<かのもの>は<夢の国>のすべてをも滅ぼしてしまいかねない。そのときには、召喚せし者、すなわち呪文を唱えし者は世にも恐ろしい死に方で真っ先に死ぬことになる。
結界を張りめぐらしたあと、以下の呪文を唱えるべし。

「テトラガマトン・サバイテ・サバオス・テシクトス」


~角族について~

角族(ホーンド・ワンズ)は、神秘の地レンに棲む大きい口と額に角の生えた、邪悪な笛と小鼓の旋律に狂い踊る種族で、ラヴクラフトの『未知なるカダスを夢に求めて』に現われる<人間もどき>と同一の種族であり、この角族にかぎってかの巨石紅玉に近づいてもなんの影響も受けないのだという。
実のところ、角族は最果の星ユゴスに隣接する暗黒次元においての<夢の国>に属する存在であり、はるか昔人類の夢がまだ幼かったころにクトゥルー眷属邪神群が侵犯をたくらんで送りこんだ手先なのだ!!

紅玉を携えターバンを巻いた商人姿でダイラス=リーンの町に跳梁跋扈する角族。




は~あ、私はまたしてもイブの夜に荒唐無稽な記事を書いてしまった・・・

ヘイ!アア=シャンタ、ナイグ!!旅立つがよい!!




今日の1曲:『2,000 Miles』 / TICA
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二泊三日幻夢郷の旅

2011年12月23日 | ルルイエ異本
先月末に刊行されたばかりのブライアン・ラムレイ著『幻夢の時計』を近鉄電車の中で読み終えた。
本作は『地を穿つ魔』、『タイタス・クロウの帰還』から連綿と続いている、タイタス・クロウ・サーガ・シリーズ第三弾。いわゆるヒロイック・ファンタジーもんである。


今回は、人間が見ている夢の、更に深いところに存在する異世界である<夢の国>が舞台。
巨匠ラヴクラフトが『未知なるカダスを夢に求めて』(『ラヴクラフト全集6』参照)で描いた壮大なる幻夢郷の大舞台をそのまんま拝借して、そこでタイタス・クロウ達とクトゥルー眷属邪神群(CCD)どもがチャンチャンバラバラを繰り広げちゃうという、今回も勧善懲悪色の濃い冒険活劇でとにかくアホくさい。

事の発端は、タイタス・クロウが前作であてがわれた旧き神々の国出身の恋人ティアニアと<夢の国>へハネムーンよろしく幻夢旅行をしてる最中に、這い寄る混沌ナイアルラトホテップの手先<角族>に捕われの身になってしまうという、はなっからチャラチャラした状況設定。
そこで盟友アンリ・ド・マリニーが危険を顧みず単独で救出に向かい、CCDに真っ向勝負を挑むという勇ましき友情の物語って、ほんまアホくさ!

で、この物語の勇者達は、先の<夢見人>ランドルフ・カーターのように、ナシュトとカマン・ターらに忠告を受け、昔かわいがっていたウルタールの猫の助けを借りたりとか、かつて覚醒世界でリチャード・アプトン・ピックマンだった食屍鬼や、夜鬼どもと協定を結ぶなんて面倒くさい手順などは一切踏まえない。
空飛ぶマントや(アホくさ!)スペシウム光線みたいな武器を備えた時空往還機などの超便利な小道具の力をかりて<夢の国>の領空などひとっ飛び。偃月刀をふりまわしザコの角族どもなどいとも簡単にバッタバッタとなぎ倒す。

うん、もうハッキリいってドラえもん映画まつりの長編アニメとたいして変わらんと思う。
この小説をもし映像化するなら、是非藤子不二雄先生に描いてもらって、ドラえもん長編シリーズとしてアニメ化し、タイトルは『のび太の幻夢体験記』、もしくは『のび太とクトゥルー眷属邪神群』とでも改題したほうがいいだろう。


あと、許せなかったのがクリーチャーどもの相関関係がメチャクチャ!
だって、あの無貌の黒き魔物“夜鬼”(ナイト・ゴーント)が、関節的ではあるにせよ、なぜかナイアルラトホテップの手先となってタイタス・クロウの前に立ちはだかるのだ。
夜鬼は大いなる深淵の大帝ノーデンスにのみ仕えるクリーチャーであり、ノーデンスとナイアルラトホテップとは常に敵対関係にあると、ラヴクラフトは明記している。
それにタイタスが夜鬼の発するゴム質の翼のくぐもった響きを頼りに夜鬼を追跡するくだりがあるのだが、夜鬼は飛行する際羽ばたき音はいっさい発せへんのやっちゅーの!

幼い頃のラヴクラフトの夢にも度々出現したという漆黒の魔物“夜鬼”。特技はこそばし。



まぁウルタールの賢人アタルやセレファイスの王クラネスやイレク=ヴァドを統べる王となったランドルフ・カーターなどの、<夢の国>お馴染みのスター達がぞくぞく登場するので、その辺は幻夢郷好きにはたまらないかと。
あと、ングラネク山地下の暗黒の洞窟内を守護する三位一体のクリーチャー<騎るもの>の笑い声が「ルヒィィ・ルヒィィ・ィィィ・ィィィ!」というのがコズミック・ホラー的でよかったかな。

今日の1曲:『Dreamer』/ Tommy Bolin
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延命せられしもの

2011年10月27日 | ルルイエ異本
秋もやうやう深まってまいりやしたね。
ここ最近は過ごしやすすぎてなんか寝てばかりいたような気がいたします。
へたしたら現世よりも夢の中で過ごした時間の方が長いんじゃねえかと。


ところでみなさんは夢の中で、自分が他の実体、局面に成り代わってたようなことがおありだろうか。
それは、現代ではなく他の時代のものであったり、地球外の実体であったり。
たまに自分の前世が見えたりする人の話を聞くが、それはやはり<第一の門>の向こうで、擬似六角形の台座で詠唱しながら体を揺らす<異形のもの>の導きによるものであるのではないかと、アーカム出身のとある隠秘家の心騒がされる体験談を読んでいて思うのである。


ランドルフ・カーターが、遥か昔にヒューペルボリアで鍛造されたという銀の鍵を用いて、<ウムル・アト=タウィル>が守護する<窮極の門>の彼方にいる己の実体の断片、もしくは局面を垣間見たのだという。
<異形のもの>、すなわち<導くもの>が、揺れるうねりが物質的な音でも人工的な言葉でもない言語でカーターに語りかけた驚愕すべき慄然たる事柄は以下のようなものである。

「<真実の人>は<全にして一なるもの>のもとに進みたり。<真実の人>は<幻影>こそ<唯一無二の現実>にして、<物質>こそ<大いなる詐欺師>なることを学びたり」

人間は三次元の局面を現実と呼び、その多次元の原型という考えを非現実と決めつけているが、実際にはその逆こそ真なのである。
われわれが実体や現実と呼ぶものは影や幻であり、われわれが影や幻と呼ぶものこそ実体であり、現実にほかならないのである。
我が国が誇る怪奇小説家、江戸川乱歩先生の言葉が思い出される。

「うつし世は夢、夜の夢こそまこと」


ランドルフ・カーターは<窮極の門>を通り抜け、己はあらゆる時代に存在するのであって、カーターとその祖先のすべては人間以前のものであれ、地球以前のものであれ、時間と空間を超越するただ1つの窮極的かつ永遠のカーターの局面にすぎないのだと知る。
意識の一面がたまたま永遠の原型を切断する、その角度によってのみ差異が生じる、幻の投影物にすぎないのだと!


ランドルフ・カーターの時空を超越した様々な局面は以下のようなものがある。

・1692年にセイレムからアーカム背後の丘陵地帯に逃げ込んだあの魔道士江戸万度・カーターの局面。
・2169年に不思議な手段を用いてモンゴル人の群をオーストラリアから撃退する、あのピックマン・カーターの局面。
・原初のヒューペルボリアに棲み、かつてアークトゥルをまわっていた二重星キタミールから飛来した、黒く可塑的な体をもつツァトゥグアを崇拝する、太古の実体の局面。
・遠い祖先にあたる無定形のキタミール星人そのものの局面。
・さらに遠い祖先にあたる超銀河の星ストロンティの生物の局面。
・旧時空連続体に存在する四次元のガス状意識の局面。
・信じられない軌道をもつ暗黒の放射性彗星における未来の植物頭脳の局面。



ランドルフ・カーター氏(キングスポートにて)



そう、お察しの通り、擬似六角形の台座にいる異形のものとは、狂えるアラブ人アブドゥル・アルハザードの禁断の書物『ネクロノミコン』の中では、写字者によって延命せられしものとあらわされ、ユゴス星の甲殻種族が<彼方なるもの>として崇拝し、渦状銀河の薄靄めいた頭脳が表現しようのない印でもって知っている神性・・・・

青森県出身のハードロックバンドが7thアルバム『頽廃芸術展』のラスト曲「ダンウィッチの怪」の歌詞の中で繰り返しほのめかしていた、あるいは地球のある種の秘密教団が詠唱する度にその名を連呼していた慄然たる神性の御名・・・・

一にして全、全にして一のもの・・・

ヨグ=ソトホートにほかならないと!





今日の1曲:『ダンウィッチの怪』/ 人間椅子
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蒼白の仮面

2011年07月10日 | ルルイエ異本

カミラ「あなた、仮面を取りなさい」

男「本当にですか」

カッシルダ「本当にそうすべきときです。ほかの人はみな、仮面を取っていますよ」

男「私は仮面をつけていませんが」

カミラ(おびえてカッシルダに身を寄せる)

「仮面がない。仮面がないなんて」


『黄衣の王』 第一幕第二場



私はこの顔写真を見た夜、夢の中で、レイチェル・グリーンやジョーイ・トレビアーニらと共にセントラル・パークのソファ席に座り、希薄で虚ろなハリの湖や、月の背後に聳え立つカルコサの塔について語り合った。
アルデバラン、ヒュアデス、アラル、ハスターについてもしゃべりつづけた。

フィービー・ブッフェの、あの奔放な弾き語り「猫はくちゃい」を聴きながら・・・・・





今日の1曲:『Smelly Cat』/ Phoebe Buffay
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碑の一族

2011年06月23日 | ルルイエ異本

今宵、聖ヨハネ節前夜。

私は眠ることが出来ない・・・・


昨夜セルティック・フロストの、あまりにも悍ましい6thアルバム『MONOTHEIST』を聴きながらうたた寝してしまい、魂をサタンに奪い去られるかのような恐ろしい悪夢にうなされたというのもあるが。




そういえば、ここのところブックオフで見つけたロバート・E・ハワード著の『黒の碑』を購読してから、毎夜妙な悪夢にうなされるようになった。
ロバートはたしか30歳の時、ピストルで自分の頭を打ち抜いて自らの命を絶ってしまったんだっけ。




そこで眠れないついでに、聖ヨハネ節前夜にまつわるある旧支配者の夢に関する記述をここにしたためようと思う。

全世界を経巡って、数多の秘密結社に関わり、無数の未知なる秘伝写本の類に原典のまま通暁していたドイツのオカルティスト、フリードリヒ・フォン・ユンツトの著した『無名祭祀書』という書物が存在する。
1893年にドイツのデュッセルドルフで出版された鉄枠のある黒く厚い革装丁の初版本は、その暗澹たる内容から時折『黒の書』の異名で呼ばれている。
この書は、驚くべき条理整然たる章があるかと思えば謎めいた難解不詳な章をも併せ持ちつつ、分別ある読み手ならば血も凍るかと思うような記述に満ちた書となっている。

Amazonでも買えるんだって。



そのありとあらゆる尋常ならざる記述の中に<黒の碑>に関する言及が出てくる。
その奇怪異様な石碑はハンガリーのある山脈中に聳え立ち、それにまつわる暗然たる伝説が幾つも伝えられている。
その中に、「聖ヨハネ節前夜(六月二十三日)にはいると、この碑の付近で異様な光景が見られる」という記述がある。

ボードレール派の詩人であり、狂気の詩人と呼ばれたジャスティン・ジョフリというニューヨーク出身の天才詩人は、10歳の時にキャッツキル山脈のオールド・ダッチタウン村にある頑丈なオークに囲まれた廃屋で一夜を過ごしたことをきっかけに悪夢にうなされるようになり、そこから尋常でない詩人としての才能を発揮するようになり、詩集『アザトースとその他の恐怖』の著者として知られるエドワード・ダービイ(H.P.ラヴクラフト『戸口にあらわれたもの』参照)とも文通を通じて交流があった。

彼は以前、ハンガリー旅行中に忌まわしい伝説のつきまとうショトレゴイカヴァール(魔女ヶ邑)の地を訪れたことがあるという。
そこにはかつて、あの健全だった古いマジャール・スラヴ民族が低級で原始的なある民族と合流して婚姻を繰り返し、ついにはある混血種族となったという非人間的先住民どもが棲まっており、<黒の碑>の前で、ある蝦蟇めいた奇怪な神を召喚すべく血なまぐさい野蛮な儀式を行っていたのだ。
ジョフリはその地を去ったあと、あの怪異幻想の詩篇「碑の一族」を書きあげたのだという。


人は云う、<超古代>の悍ましきものども未だ
 
世界の遺れられし隅々に秘むと、

そして<門>は未だ開き、運められし夜に

地獄に禁れのものどもを解き放つと。


ハンガリーから帰国後、奇異なる悪夢に苛まれ続けたジョフリは、収容された精神病院で狂死してしまう。

ジョフリを悩まし続けたその奇異なる夢とは、おそらく下のジャケットに描かれているような冒涜的な悪夢だったのではないか!




これは「無名祭祀書(Unaussprechlichen Kulten)」をバンド名に持つグループの『People of The Monolith(碑の一族)』という作品のジャケ画であるが、まぁごくありふれたブルデスバンドで音的にはあまり興味が沸かない。

Unaussprechlichen Kulten - 1. Intro: H.P.L. Wake Up in Walpurgisnacht



ああ、急に睡魔が襲ってきた・・・・
まるで森羅万象がこの恐ろしい手記の忌むべき行為を阻んでいるかのようである。
私もあの太古の忌まわしい暗黒の儀式の光景を目撃し、ジョフリのように発狂してしまうのか・・・・

あまりにも恐ろしすぎる!
 
神よ!!

私します。デトファイバー・・・・・

ZZZZZZZZZ・・・・




ちぇっなんだ、また職場で仕事してて大チョンボやらかして、上の者と大ケンカしてる夢やないかい。

あーもーほんと毎日がイヤになる。


今日の1曲:『Intro: H.P.L. Wake Up In Walpurgisnacht』/ Unaussprechlichen Kulten
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HPLの落とし仔その他の恐怖

2011年03月15日 | ルルイエ異本
最近リン・カーター著『クトゥルー神話全書』を読んでて、今日がH.P.ラヴクラフトの命日であることを知った。

1937年3月15日、H.P.ラヴクラフトはプロヴィデンスのジェーン・ブラウン記念病院でブライト病と腸癌の複合症によって、46年と7ヶ月というその短い生涯を閉じた。
本書で紹介されていた、クラーク・アシュトン・スミスが<ウィアード・テイルズ>に送ったラヴクラフトの死を惜しむ挽歌が感動的である。

御身は旅立って行かれた ここよりも旧き流れを探し求めて
魔術たけなわなるアーカムか?
はたまた親しき猫たちと共に 新しき秘密の森を探索しているのか
(中略)
御身はウルタールへ あるいはナスへと帰郷したのか?
朧なるカダスに君臨する いと高き王が 気高く賢き大使を呼び戻したか?
もしくは暗黒神クトゥルーが印を送りたるか

本書は『クトゥルー神話全書』と銘打ってはいるが、初心者向けのガイドブックというより、ラヴクラフトという作家のひととなり、いかにしてクトゥルー神話が体系化していったかなど、周辺作家宛の書簡や興味深いエピソードなどを交えて綴られた、いわゆるクトゥルーマニア、リン・カーターの研究書である。
まぁ散々クトゥルー神話ガイド的な著書を読んできている私としては、それほど目新しい話題はなかったが、それでも難解用語や、書物にまつわる新たな事実などを知るにつけ、心躍らされずにはおれなかった。
“自家薬籠中”とか“折衷的(「模倣的」を婉曲に言い表したもの)”とか、“サイコポンポス”など、普段使わんような単語を新たな知識として吸収できることもよい。
「物議を醸すエルトダウン断片」は、ラヴクラフトの知己だったフランクリン・ライトの創造書だったとか。ウィンタース=ホール牧師じゃなかったの?
あと、訳者が注釈でリン・カーターの間違った記述にいちいち突っ込んでるところもウケた。

本書には巻末に詳細なクトゥルー神話作品目録の他、クトゥルー神話固有名詞比較表が収録されているのは今後のクトゥルー研究に大いに役立つのではないかと。
クトゥルー本は訳者によって表記がコロコロ変わりますからね~
例えば、クトゥルー(Cthulhu)の表記だけでもこれだけある。

クルウルウ、クトゥルフ、ク・リトル・リトル、クスルウー、クートウリュウ、ク・ス=ルー、ク・スルフ、クトルット・ルットルトル・トゥゲザー・・・・・


ところで、純粋な幻想怪奇小説ファンは別として、クトゥルー神話ってみなさんどのような入り口から興味を持たれるようになるのだろうか?
テーブルトークRPG?TVゲーム?マンガ?不可解な自分の先祖にまつわる調査?旧支配者からの託宣?

私は間違いなくメタル・ミュージックの影響だ。
クトゥルーナンバーとしてはMETALLICAの“クトゥルーの呼び声”が有名だが、私の場合は人間椅子の“狂気山脈”がクトゥルー神話を意識した最初の曲だった。
そして同時期にハマっていたMORBID ANGELの背徳的ナンバー“ANGEL OF DISEASE”のサビで唱えられる、あまりにもおぞましいシュブ=ニグラス召喚の呪文!
今では音楽以上にクトゥルー神話にのめりこむハメとなってしまったが・・・

人気ヘヴィ・メタル・バンドIRON MAIDENの『死霊復活』のジャケットには、エディの墓標にアラビアの狂詩人アブドゥル・アルハザードの4行連句とH.P.ラヴクラフトの名前が刻まれている。



そういえばリン・カーターは本書で、1968年頃に活躍したシカゴのロックバンドH.P.LOVECRAFT(なんというヒネリのなさ!)についても言及している。
このグループの会社名が「ダニッチ・プロダクション」であることも興味深い。



今日の1曲:『白い帆船』/ H.P.LOVECRAFT
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踏破あたわざる・・・

2011年03月10日 | ルルイエ異本
横のニンギジッダ通信にも報告した通り、ジェームズ・キャメロン監督製作総指揮/ギレルモ・デル・トロ監督の、H・P・ラヴクラフトの原作を映画化する暗黒神話『狂気の山脈にて』の製作中止を、ユニバーサル映画が正式に決定したそうだ。

倫理規定による年齢にもとづいた視聴制限の対象となり得る、観客の幅が限定されかねないホラー映画なのに、物語のスケールがあまりにもデカ過ぎるため、多額の製作費を要し、ビジネス的にも成立し辛いと判断してのことらしいが・・・
ナサニエル・ダービー・ピックマン財団からの援助金は受けられなかったんかい?

しかしここまで盛り上げといて中止って、そりゃないぜセニョール!!
ユニバーサルのアホー!

『狂気の山脈にて』Trailer



もう、こんな予告編見せられたら楽しみすぎて心躍らされるんも仕方ないっしょ!
私がこの映画化の噂を聞いて、これまで様々な慄然たる冒涜的シーンに思いを巡らしたことは言うまでもない。

ミスカトニック大学付属図書館で、ダンフォースが禁断の魔道書『ネクロノミコン』を冷や汗タラタラで読み耽るシーンや、ウミユリ状の頭部をそなえた<いにしえのもの>のCG再現。
眼のない白色変種の巨大ペンギン。
そして、『ナコト写本』にほのめかされている、凍てつく荒野の未知なるカダス・・・・

そして、あの広範囲に響きわたる、慄然たる笛を吹くような音・・・
そう、あの「テケリ・リ!テケリ・リ!」をどんな風に音声化するのか、非常に楽しみにしていたのに・・・

しかし、この作品3D映画になる予定だったらしいが、スクリーンからテケリ・リ!テケリ・リ!と飛び出してくるショゴスなんか見せられた日にゃ、発狂確実だろうな。


ユニバーサル・スタジオ・ジャパンは、この映画が上映されたあかつきに新設予定していたであろう、絶叫アトラクション「狂気山脈ワールド~ショゴスに乗って未知なるカダスへ行こう~」を断念せざるをえなくなってしまったな。
園内を闊歩する<いにしえのもの>がUSJの新マスコットとなり、彼らと共にウッドペッカー狩りを楽しんだ後、ツーショットを撮ってもらうのが私のひそかな夢だったのに・・・

いにしえのもの



ついでに、人間椅子以外で『狂気山脈』のことについて歌っているけったいなメタルバンドを発見。



PVはほとんどギャグ。バンドは貧乏くささ全開。
ひょっとして、妙な突起物を前に付けた黒いドレスのガニ股女がショゴス?!
まぁ確かにショゴスは必要に応じて任意の形態、器官を構成することが可能なクリーチャーではあるけど・・・

まぁ最近はこういった女性Voを擁したシンフォニック・デスが流行ってるんですね。
正直この手のバンドは門外漢なんだが、このバンドはちょっと初期セルティック・フロストっぽいチープさがあってけっこう好きかも。

今日の1曲:『At The Mountains Of Madness』/ Orphanage
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白蛆の襲来

2011年02月11日 | ルルイエ異本
トンネルを抜けるとそこは雪国だった。

まさにそんな状態?

私の住んでいる処は、京都南端のめったに雪の降り積もらない地域にある。
朝目が覚めたら、突如こんな状態になっていると、もう困惑するばかりなのである。


それともこれは・・・“白蛆の襲来”ではないのか!


予言者リスの格言にこういうのがある。
「極北の地に棲むものあり。何びとも息できぬ場所にて息するものあり。
こののち、“彼”は人間の島や街に現れ、白き死なる風をもたらすなり、
“彼”の棲みかにてまどろめる風を」

この“彼”こそは、かつてムー・トゥーランの島々を死の冷気で襲った旧支配者のひとり、ルリム・シャイコースにほかならない。




ルリム・シャイコースは、イイーキルスと呼ばれる溶けることのない巨大な氷山の上の城塞に棲んでいる。
そのイイーキルスはかつてグリーンランド(ハイパーボリア大陸は太古の昔、この辺に位置していた)周辺の海域を漂っており、それとともに、ルリム・シャイコースは、しばしば自らの崇拝者を求めて海沿いの町の近海に姿を現したという。
イイーキルスの影響により、目標とされた場所は著しく気温が低下する。
滞在が短期間ならば霜を降らすだけだが、長期間に及ぶと、動植物は例外なく凍りつく。
もちろん、人間も例に漏れない。
なお、ルリム・シャイコースに凍らされた者は、二度と生命を躍動させることはない。
なぜなら、ルリム・シャイコースの氷は決して溶けることはないからだ。


『エイボンの書』には、ルリム・シャイコースの容姿についてこう記されていた。

太った白蛆に似て、しかもゾウアザラシよりも大きい。尾は胴は体節ほどの太さで、半ばとぐろを巻いている。
前端は肉厚な白い円盤をなし、壇から伸び上がっている。その上には顔の造作が見て取れた。
顔の中央には口裂が開き、醜い曲線を描いて円盤を横切っている。それは、いつ果てるともなく開閉を繰り返し、そのつど舌も歯もない白い口腔があらわになるのだ。
浅い鼻孔の上には左右迫った眼窩があった。だが、その中には眼球はない。ただ、血のように赤い眼球のような小玉が次々と生まれ出てくるだけなのだ。この玉は絶え間なく崩れては玉座の前に滴り続ける。
こうして床の氷からは、凍った血のような赤紫の塊がふたつ、二本の石筍のように育っていた・・・


このルリム・シャイコースの特徴を聞いて、ロッテの雪見だいふくを想い浮かべたのは私だけだろうか?




そう考えたら無性に雪見だいふくが食いたくなってきたぞ。
でも寒いので外出はしたくない。
家にあるヨモギもちでガマンしよう。
バター&しょうゆのハーモニーで味わおう。


北辺より忍び寄るは異様なる白き死
そは往古の怪異なる蒼白の氷山より来たり
荒涼たる氷の屋敷、イイーキルス、海洋と浜辺の呪い
冷たきものイーリディームの僕

おお、忌まわしき肥大せる白蛆よ

ルリム・シャイコース・・・ルリム・シャイコース・・・

クルム・ダテ最高ーっス!





今日の1曲:『The Coming of the White Worm 』/ Arcanist
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黒智爾観世音菩薩

2011年02月02日 | ルルイエ異本
昨年の秋にふと立ち寄った大阪のブックオフで偶然発見し、先週やっと読み始めたミステリー作家の殊能将之(しゅのうまさゆき)著『黒い仏』を読了。

名探偵を自称する石動戯作という人物が登場し、九世紀の天台僧・円載にまつわる唐の秘法探しを依頼されるところから物語が展開していくわけなんですが。
なんで私がこんな辛気臭そうな探偵小説を読む気になったかというと、ま、やっぱりこの作品がクトゥルー神話絡みやからということですわ。

まぁクトゥルー絡みといっても、ラヴクラフト作品をモチーフに犯人が犯行を遂行していくといった本格探偵推理小説なんだろうと、私も最初は謎解きを楽しむ心構えでこの作品に挑んだのであるが、中盤でいきなし映画「フロム・ダスク・ティル・ドーン」さながらのトンデモ展開になっていって、予めクトゥルーもんとわかっていた私ですら目が・になってしまった。
おそらくこれを読んだ本格派探偵推理小説ファンは激怒したんやないかな。
「イア!どこいくねーん!!」って。

いってしまえば本書は仏教版ナイアルラトホテップものであり、クトゥルーファンが思わずニヤニヤしてしまうキーワードも随所に出てくる。

まずカルト仏教組織が崇め奉っている“くろみさま”が、無貌の神、這い寄る混沌ナイアルラトホテップであることはほぼ間違いないだろう。
色黒の(松崎しげるくらいかな?)住職“星慧”もおそらくナイアルラトホテップの化身であって、彼の最初の滞在先が“ギルマンズ・ホテル”。
比叡山の最深部にある池の名前が九頭龍池(くずりゅういけ)。
第三章のタイトルが「黄の印」で、福岡の繁華街にあるファッションヘルスの店名が“イエロー・サイン”。

あと、これは深読みが過ぎるかもしれないけど、ノースエンド平尾というアパートの住民たち。
自称ヴァイオリン弾きの老人が住んでいますが、私はこれはエーリッヒ・ツァンではないかと。
そして自称画家の男はおそらくリチャード・アプトン・ピックマンなんだと勝手に解釈しております。


もひとつ興味深かったのが、主人公たちがカヴァーヴァージョン談義している場面。
ここでの会話シーンで、作者がかなりのロックファンであることが窺える。
助手のアントニオがフランク・ザッパがカヴァーした「天国への階段」を絶賛している。
一方、ジューダス・プリーストの「ジョニー・B・グッド」なんかも話題にでてきて
「あれはとんでもないですよ。全然はずまない<ジョニー・B・グッド>なんですよ。チャック・ベリーは聴いて激怒したんじゃないかな」
と、かなりコキおろされている。
作者は多分メタル嫌いなんだろう。



アントニオ曰く「ジミー・ペイジのギターソロをホーンセクションで完全コピーしてます。これが本当に完璧な出来映え。譜面に起こして、ホーン奏者に徹底的に練習させたんでしょうね。最高のテクニックと努力を駆使して、世にもばかげたことをやる。ザッパは偉いですね、本当に」と大絶賛。

今日の1曲:『Stairway To Heaven』/ Frank Zappa
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U.F.O.とロバ・エル・ハリイェー

2010年12月31日 | ルルイエ異本
ゲッ!!
極寒やから布団にくるまって屁こいて寝とったら、今年ももう終わりやんけ!

ちょっと振り返ってみたんだが、特筆すべきことは何も浮かんでこず、振り返りすぎて去年のことなんかを思い浮かべてしまっていた。

まぁ音楽方面ではゆらゆら帝国の解散や、ロニー・ジェームス・ディオ、Slipknotのポール・グレイの訃報とか、結構暗いニュースが多かったような気がする。


ほかは~~・・・

あ、そうだ!AC/DCのライブ見に行ったの今年だっけ!
あれは至福の時間やったなぁ~・・・


あとは~~・・・・・・そうだな。
今年私が読んだクトゥルー神話関連作品でも発表して締めくくるとするかな。

「んなもん列挙されても、読む側にはなんのメリットもないがな」という意見もあるだらうが、まぁ一個人のブログなんてそんなものです。


(再読した作品も含む)

『アーカム計画』 ロバート・ブロック
『ネクロノミコン~アルハザードの放浪』 ドナルド・タイスン
『土星への扉』 C.A.スミス
『白蛆の襲来』 C.A.スミス
『エイボンの書』 ロバート・M・プライス
『イルーニュの巨人』 C.A.スミス
『特選あさりちゃん③ 気分はホラー』 室山まゆみ
『闇のプロヴィデンス』 ドン・ダマサ
『アーカムの蒐集家』 ピーター・キャナン
『ダニッチの破滅』 リチャード・A・リュポク
『ポーロス農家の変事』 T・E・D・クライン
『ヴァーモントの森で見いだされた謎の文書』 リン・カーター
『羽のある死神』 ヘイゼル・ヒールド
『永劫より』 ヘイゼル・ヒールド
『博物館の恐怖』 ヘイゼル・ヒールド
『アルハザードのランプ』 ラヴクラフト & ダーレス
『破風の上のもの』 ロバート・E・ハワード
『黄の印』 R.W.チェンバース
『アロンゾウ・タイパーの日記』 W.ラムリイ
『銀の鍵の門を越えて』 H.P.ラヴクラフト
『ロイガーの復活』 コリン・ウィルスン
『賢者の石』 コリン・ウィルソン
『ハスターの帰還』 オーガスト・ダーレス



まぁ年越しそばを食いながら、クトゥルー本読んでるうちに年が明けとるでしょう。

じゃ、みなさん。
よいお年を。




今日の1曲:『Lights Out』/ UFO
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ロイガーの復活

2010年12月25日 | ルルイエ異本
1977年にハヤカワ文庫から刊行され、すでに絶版となっているコリン・ウィルソンの『ロイガーの復活』を入手することに成功した。
今となっては『エルトダウン断章』ばりの稀購本であろう。訳者は団精二(プッ)。

コリン・ウィルスンは英国の有名な評論家で、かつてラヴクラフト作品を「三流作家の精神病暦カルテ」と批判したことによってオーガスト・ダーレスから「ほんならオドレもラヴクラフトばりの小説を書いてみい!」との抗議文を送りつけられ、「おっしゃ、書いたろうやないけ!」とばかりにクトゥルー神話に基づく三篇の長編小説を執筆したという、少々高慢ちきさが鼻につくインテリ作家である。
『ロイガーの復活』はウィルスン・クトゥルー神話三部作のひとつで、※『賢者の石』の縮小版というべき120ページほどの物語で、ウィルスン作品にしては俗っぽくてかなり読みやすい内容となっている。 

本書は手記形式で、ダンバー・ラング氏が『ヴォイニッチ写本』という、この世界で最も謎に包まれた写本の翻訳作業をしている内に、彼はヴォイニッチ写本がカバラに起源をもつ『ネクロノミコン』という厖大な著作の要約文の断片であることを突き止めることから物語が展開してゆく。
ちなみに『ヴォイニッチ写本』は実在しており、稀購書の発掘販売を手掛ける古書籍商のウィルフレッド・M・ヴォイニッチによってローマのモンドラゴーネ寺院で発見され、いまだ解読されていないという。

『ヴォイニッチ写本』


ここでのロイガーは、“星間宇宙空間のただなかで風の上を歩むもの”というより、どこか遠い星からやってきた透明な物体たちで構成されている種族、“ロイガー族”という呼び名で登場する。
長い触腕も有してないし、トゥチョ=トゥチョ人も出てこない。
そのかわり、古代ムー大陸には現在の人類によく似たもうひとつの民族がいた。
チャーチワードのナアカル碑版での言い伝えによると、人間はロイガー族が創り出した奴隷であって、ロイガー族は人間の奴隷たちの頭に(罰として使っていた)カニのそれによく似た触角を生やす力を持っていたのだそうだ。
ナアカル碑版にある1枚の絵には、両方の眼孔からカニみたいな触手を伸ばしている人間が描かれているという。
(カニというよりエビでは?)



英国にはアーサー・マッケンの出身地であるウェールズ地方がある。
マッケンの自伝的な長編小説「夢の丘」は、ウェールズ地方にある因習めいた不吉な“灰色の丘”がモデルとなっているらしい。
アーカート大佐著の「ムー大陸の謎」によると、太古よりこの地に住んでいるウェールズ人は実はムー大陸から来たものたちであり、かつてロイガー族の奴隷の子孫であったというのである。
てことは、アーサー・マッケンはロイガー族の創り出した忌まわしき奴隷の子孫ということなのか!!

私はアーサー・マッケンの著書は読んだことはないが、いつかマッケンの怪奇小説『三人の詐欺師』に収められてる、森に棲む邪悪な力と交わった女から生まれた知恵おくれの少年を描いたという『黒い石印の話』を読んでみたいと思っている。


本書の日本語訳版の刊行にあたって、ウィルスンがハヤカワにわざわざ親切?にもリン・カーター著『ネクロノミコンの歴史』の他、自分の論文『X機能と非合理的知識について』という増補原稿を送ってきてくれたらしく、それらもこの文庫本に収録されているのだが、読んでみてもティンプンカンプンだった。てかあまりにも論理的で面倒くさい。
ちなみに『ネクロノミコンの歴史』は本書でラング氏が参考にしていたテキストそのものである。


※『賢者の石』はもう随分と昔に読んだので内容は殆ど覚えてないが(今読み返してる最中)、かなりの厖大な文書で論理的過ぎてダラダラと小難しい物語であったが、それでもそこそこオモロかったなーという印象がある。
この書でも後半に『ヴォイニッチ写本』が取り沙汰されており、その際バンダー・ラング氏の焼却されてしまったメモ書きの存在が、甥っ子ジュリアン・ラングの口から語られる。
この焼却されてしまったメモ書きこそが、今回の『ロイガーの復活』そのものであるといってほぼ間違いないだろう。


とまぁ、このように様々な禁断の書物や失踪者の残した手記などが各作品でほのめかされ、リンクされているとこにクトゥルー神話のオモシロさがあるのである。
それらの書物を、失踪したどっかのオカルティストの書架や、アーカムのミスカトニック大学付属図書館、ブックオフなどで漁り歩くのもまた、クトゥルー神話体系の楽しみ方なんじゃよ。ムフフフフ・・・
フレイザーの『金枝篇』、チェンバースの『黄衣の王』、ダービイの『アザトース その他の恐怖』、日本最大の奇書『竹内文書』、アーマ=スィンの『だれでもできる!精神交換』etc・・・・

私には、読まねばならぬ書物がまだまだたくさんあるのだ!
芸能人のウソくさい自伝や、「もしドラ」などのベストセラー本など読んでるヒマなんかない!


今日の1曲:『アルタミラの洞窟の警告』/ STEELY DAN
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