AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

白蛆の襲来

2011年02月11日 | ルルイエ異本
トンネルを抜けるとそこは雪国だった。

まさにそんな状態?

それともこれは・・・“白蛆の襲来”ではないのか!

予言者リスの格言にこういうのがある。
「極北の地に棲むものあり。何びとも息できぬ場所にて息するものあり。
こののち、“彼”は人間の島や街に現れ、白き死なる風をもたらすなり、
“彼”の棲みかにてまどろめる風を」

この“彼”こそは、かつてムー・トゥーランの島々を死の冷気で襲った旧支配者のひとり、ルリム・シャイコースにほかならない。

ルリム・シャイコースは、イイーキルスと呼ばれる溶けることのない巨大な氷山の上の城塞に棲んでいる。
そのイイーキルスはかつてグリーンランド(ハイパーボリア大陸は太古の昔、この辺に位置していた)周辺の海域を漂っており、それとともに、ルリム・シャイコースは、しばしば自らの崇拝者を求めて海沿いの町の近海に姿を現したという。
イイーキルスの影響により、目標とされた場所は著しく気温が低下する。
滞在が短期間ならば霜を降らすだけだが、長期間に及ぶと、動植物は例外なく凍りつく。
もちろん、人間も例に漏れない。
なお、ルリム・シャイコースに凍らされた者は、二度と生命を躍動させることはない。
なぜなら、ルリム・シャイコースの氷は決して溶けることはないからだ。


『エイボンの書』には、ルリム・シャイコースの容姿についてこう記されていた。

太った白蛆に似て、しかもゾウアザラシよりも大きい。尾は胴は体節ほどの太さで、半ばとぐろを巻いている。
前端は肉厚な白い円盤をなし、壇から伸び上がっている。その上には顔の造作が見て取れた。
顔の中央には口裂が開き、醜い曲線を描いて円盤を横切っている。それは、いつ果てるともなく開閉を繰り返し、そのつど舌も歯もない白い口腔があらわになるのだ。
浅い鼻孔の上には左右迫った眼窩があった。だが、その中には眼球はない。ただ、血のように赤い眼球のような小玉が次々と生まれ出てくるだけなのだ。この玉は絶え間なく崩れては玉座の前に滴り続ける。
こうして床の氷からは、凍った血のような赤紫の塊がふたつ、二本の石筍のように育っていた・・・


このルリム・シャイコースの特徴を聞いて、センタンのいちご雪見だいふくを想い浮かべたのは私だけだろうか?



そう考えたら無性に雪見だいふくが食いたくなってきたぞ。
でも寒いので外出はしたくない。
家にあるヨモギもちでガマンしよう。
バター&しょうゆのハーモニーで味わおう。


北辺より忍び寄るは異様なる白き死
そは往古の怪異なる蒼白の氷山より来たり
荒涼たる氷の屋敷、イイーキルス、海洋と浜辺の呪い
冷たきものイーリディームの僕

おお、忌まわしき肥大せる白蛆よ

ルリム・シャイコース ルリム・シャイコース

クルム最高ーっス!



「黄色い雪にはハスキー犬のウンチが混じってるから食べちゃダメ!」という意の曲。
(本文と全く関係ないけど)

今日の1曲:『Don't Eat the Yellow Snow 』/ FRANK ZAPPA
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黒智爾観世音菩薩

2011年02月02日 | ルルイエ異本
昨年の秋にふと立ち寄った大阪のブックオフで偶然発見し、先週やっと読み始めたミステリー作家の殊能将之(しゅのうまさゆき)著『黒い仏』を読了。

名探偵を自称する石動戯作という人物が登場し、九世紀の天台僧・円載にまつわる唐の秘法探しを依頼されるところから物語が展開していくわけなんですが。
なんで私がこんな辛気臭そうな探偵小説を読む気になったかというと、ま、やっぱりこの作品がクトゥルー神話絡みやからということですわ。

まぁクトゥルー絡みといっても、ラヴクラフト作品をモチーフに犯人が犯行を遂行していくといった本格探偵推理小説なんだろうと、私も最初は謎解きを楽しむ心構えでこの作品に挑んだのであるが、中盤でいきなし映画「フロム・ダスク・ティル・ドーン」さながらのトンデモ展開になっていって、予めクトゥルーもんとわかっていた私ですら目が・になってしまった。
おそらくこれを読んだ本格派探偵推理小説ファンは激怒したんやないかな。
「イア!どこいくねーん!!」って。

いってしまえば本書は仏教版ナイアルラトホテップものであり、クトゥルーファンが思わずニヤニヤしてしまうキーワードも随所に出てくる。

まずカルト仏教組織が崇め奉っている“くろみさま”が、無貌の神、這い寄る混沌ナイアルラトホテップであることはほぼ間違いないだろう。
色黒の(松崎しげるくらいかな?)住職“星慧”もおそらくナイアルラトホテップの化身であって、彼の最初の滞在先が“ギルマンズ・ホテル”。
比叡山の最深部にある池の名前が九頭龍池(くずりゅういけ)。
第三章のタイトルが「黄の印」で、福岡の繁華街にあるファッションヘルスの店名が“イエロー・サイン”。

あと、これは深読みが過ぎるかもしれないけど、ノースエンド平尾というアパートの住民たち。
自称ヴァイオリン弾きの老人が住んでいますが、私はこれはエーリッヒ・ツァンではないかと。
そして自称画家の男はおそらくリチャード・アプトン・ピックマンなんだと勝手に解釈しております。


もひとつ興味深かったのが、主人公たちがカヴァーヴァージョン談義している場面。
ここでの会話シーンで、作者がかなりのロックファンであることが窺える。
助手のアントニオがフランク・ザッパがカヴァーした「天国への階段」を絶賛している。
一方、ジューダス・プリーストの「ジョニー・B・グッド」なんかも話題にでてきて
「あれはとんでもないですよ。全然はずまない<ジョニー・B・グッド>なんですよ。チャック・ベリーは聴いて激怒したんじゃないかな」
と、かなりコキおろされている。
作者は多分メタル嫌いなんだろう。



アントニオ曰く「ジミー・ペイジのギターソロをホーンセクションで完全コピーしてます。これが本当に完璧な出来映え。譜面に起こして、ホーン奏者に徹底的に練習させたんでしょうね。最高のテクニックと努力を駆使して、世にもばかげたことをやる。ザッパは偉いですね、本当に」と大絶賛。

今日の1曲:『Stairway To Heaven』/ Frank Zappa
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U.F.O.とロバ・エル・ハリイェー

2010年12月31日 | ルルイエ異本
ゲッ!!
極寒やから布団にくるまって屁こいて寝とったら、今年ももう終わりやんけ!

ちょっと振り返ってみたんだが、特筆すべきことは何も浮かんでこず、振り返りすぎて去年のことなんかを思い浮かべてしまっていた。

まぁ音楽方面ではゆらゆら帝国の解散や、ロニー・ジェームス・ディオ、Slipknotのポール・グレイの訃報とか、結構暗いニュースが多かったような気がする。


ほかは~~・・・

あ、そうだ!AC/DCのライブ見に行ったの今年だっけ!
あれは至福の時間やったなぁ~・・・


あとは~~・・・・・・そうだな。
今年私が読んだクトゥルー神話関連作品でも発表して締めくくるとするかな。

「んなもん列挙されても、読む側にはなんのメリットもないがな」という意見もあるだらうが、まぁ一個人のブログなんてそんなものです。


(再読した作品も含む)

『アーカム計画』 ロバート・ブロック
『ネクロノミコン~アルハザードの放浪』 ドナルド・タイスン
『土星への扉』 C.A.スミス
『白蛆の襲来』 C.A.スミス
『エイボンの書』 ロバート・M・プライス
『イルーニュの巨人』 C.A.スミス
『特選あさりちゃん③ 気分はホラー』 室山まゆみ
『闇のプロヴィデンス』 ドン・ダマサ
『アーカムの蒐集家』 ピーター・キャナン
『ダニッチの破滅』 リチャード・A・リュポク
『ポーロス農家の変事』 T・E・D・クライン
『ヴァーモントの森で見いだされた謎の文書』 リン・カーター
『羽のある死神』 ヘイゼル・ヒールド
『永劫より』 ヘイゼル・ヒールド
『博物館の恐怖』 ヘイゼル・ヒールド
『アルハザードのランプ』 ラヴクラフト & ダーレス
『破風の上のもの』 ロバート・E・ハワード
『黄の印』 R.W.チェンバース
『アロンゾウ・タイパーの日記』 W.ラムリイ
『銀の鍵の門を越えて』 H.P.ラヴクラフト
『ロイガーの復活』 コリン・ウィルスン
『賢者の石』 コリン・ウィルソン
『ハスターの帰還』 オーガスト・ダーレス



まぁ年越しそばを食いながら、クトゥルー本読んでるうちに年が明けとるでしょう。

じゃ、みなさん。
よいお年を。




今日の1曲:『Lights Out』/ UFO
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ロイガーの復活

2010年12月25日 | ルルイエ異本
1977年にハヤカワ文庫から刊行され、すでに絶版となっているコリン・ウィルソンの『ロイガーの復活』を入手することに成功した。
今となっては『エルトダウン断章』ばりの稀購本であろう。訳者は団精二(プッ)。

コリン・ウィルスンは英国の有名な評論家で、かつてラヴクラフト作品を「三流作家の精神病暦カルテ」と批判したことによってオーガスト・ダーレスから「ほんならオドレもラヴクラフトばりの小説を書いてみい!」との抗議文を送りつけられ、「おっしゃ、書いたろうやないけ!」とばかりにクトゥルー神話に基づく三篇の長編小説を執筆したという、少々高慢ちきさが鼻につくインテリ作家である。
『ロイガーの復活』はウィルスン・クトゥルー神話三部作のひとつで、※『賢者の石』の縮小版というべき120ページほどの物語で、ウィルスン作品にしては俗っぽくてかなり読みやすい内容となっている。 

本書は手記形式で、ダンバー・ラング氏が『ヴォイニッチ写本』という、この世界で最も謎に包まれた写本の翻訳作業をしている内に、彼はヴォイニッチ写本がカバラに起源をもつ『ネクロノミコン』という厖大な著作の要約文の断片であることを突き止めることから物語が展開してゆく。
ちなみに『ヴォイニッチ写本』は実在しており、稀購書の発掘販売を手掛ける古書籍商のウィルフレッド・M・ヴォイニッチによってローマのモンドラゴーネ寺院で発見され、いまだ解読されていないという。

『ヴォイニッチ写本』


ここでのロイガーは、“星間宇宙空間のただなかで風の上を歩むもの”というより、どこか遠い星からやってきた透明な物体たちで構成されている種族、“ロイガー族”という呼び名で登場する。
長い触腕も有してないし、トゥチョ=トゥチョ人も出てこない。
そのかわり、古代ムー大陸には現在の人類によく似たもうひとつの民族がいた。
チャーチワードのナアカル碑版での言い伝えによると、人間はロイガー族が創り出した奴隷であって、ロイガー族は人間の奴隷たちの頭に(罰として使っていた)カニのそれによく似た触角を生やす力を持っていたのだそうだ。
ナアカル碑版にある1枚の絵には、両方の眼孔からカニみたいな触手を伸ばしている人間が描かれているという。
(カニというよりエビでは?)



英国にはアーサー・マッケンの出身地であるウェールズ地方がある。
マッケンの自伝的な長編小説「夢の丘」は、ウェールズ地方にある因習めいた不吉な“灰色の丘”がモデルとなっているらしい。
アーカート大佐著の「ムー大陸の謎」によると、太古よりこの地に住んでいるウェールズ人は実はムー大陸から来たものたちであり、かつてロイガー族の奴隷の子孫であったというのである。
てことは、アーサー・マッケンはロイガー族の創り出した忌まわしき奴隷の子孫ということなのか!!

私はアーサー・マッケンの著書は読んだことはないが、いつかマッケンの怪奇小説『三人の詐欺師』に収められてる、森に棲む邪悪な力と交わった女から生まれた知恵おくれの少年を描いたという『黒い石印の話』を読んでみたいと思っている。


本書の日本語訳版の刊行にあたって、ウィルスンがハヤカワにわざわざ親切?にもリン・カーター著『ネクロノミコンの歴史』の他、自分の論文『X機能と非合理的知識について』という増補原稿を送ってきてくれたらしく、それらもこの文庫本に収録されているのだが、読んでみてもティンプンカンプンだった。てかあまりにも論理的で面倒くさい。
ちなみに『ネクロノミコンの歴史』は本書でラング氏が参考にしていたテキストそのものである。


※『賢者の石』はもう随分と昔に読んだので内容は殆ど覚えてないが(今読み返してる最中)、かなりの厖大な文書で論理的過ぎてダラダラと小難しい物語であったが、それでもそこそこオモロかったなーという印象がある。
この書でも後半に『ヴォイニッチ写本』が取り沙汰されており、その際バンダー・ラング氏の焼却されてしまったメモ書きの存在が、甥っ子ジュリアン・ラングの口から語られる。
この焼却されてしまったメモ書きこそが、今回の『ロイガーの復活』そのものであるといってほぼ間違いないだろう。


とまぁ、このように様々な禁断の書物や失踪者の残した手記などが各作品でほのめかされ、リンクされているとこにクトゥルー神話のオモシロさがあるのである。
それらの書物を、失踪したどっかのオカルティストの書架や、アーカムのミスカトニック大学付属図書館、ブックオフなどで漁り歩くのもまた、クトゥルー神話体系の楽しみ方なんじゃよ。ムフフフフ・・・
フレイザーの『金枝篇』、チェンバースの『黄衣の王』、ダービイの『アザトース その他の恐怖』、日本最大の奇書『竹内文書』、アーマ=スィンの『だれでもできる!精神交換』etc・・・・

私には、読まねばならぬ書物がまだまだたくさんあるのだ!
芸能人のウソくさい自伝や、「もしドラ」などのベストセラー本など読んでるヒマなんかない!


今日の1曲:『アルタミラの洞窟の警告』/ STEELY DAN
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永劫より

2010年12月01日 | ルルイエ異本
せっかく月3回も映画を1000円で観られる日があるというのに、近所のマイカルではろくな映画がやってない。
邦画のしょーもなそうなアイドル映画か、3Dを施しただけの続編モノばっか。
だからといってゲオの100円レンタルで子供向け特撮ヒーローものをかりとるオレもどうかしてるぜ!

今回かりたのは1996~1997年にかけて放映された平成ウルトラマンシリーズの第一弾「ウルトラマンティガ 13巻」。
実はこのティガ最終巻にはなんと!超古代尖兵怪獣ゾイガー、そして邪神ガタノゾーアが登場するのだ!!
フフフ・・・ここまで書いたら暗黒神話を読んでいる者ならピンとくるかと思います。

そう!何を隠そう、ティガの監督小中千昭先生は大のクトゥルー神話好きで有名なのだ。

まぁクトゥルー神話研究の一環とはいえ、ええオッサンになってからこのような特撮ヒーローもんを鑑賞するのはかなりキツいものがあった。
ただ、クトゥルー眷属邪神群(CCD)などという、邪神モンスターが続々と登場するラムレイ作品などを読んでると、怪獣退治的な幼稚さが否めないところもあるんよね~、クトゥルー作品って。


南太平洋に突如浮上した「超古代都市ルルイエ」から、とうとうそのおぞましき姿を現した「闇の支配者」にして「世界を暗黒に塗りつぶす者」ガタノゾーア。

無数の触腕、鉤爪、邪悪な眼光・・・
これはクトゥルーの落とし仔であるガタノトーアそのものであると言っていいかもしれない。

フォン・ユンツトの不埒な著書『黒の書』によると、ガタノトーアはルルイエではなく、古代ムー大陸の聖地クナアの中心部に聳えるヤディス=ゴー山の頂きに巨石造りの巨大な要塞の地下墓所に棲息しており、地球の生命が誕生する前に地球を植民地にしていた暗黒星ユゴスの落とし子どもによって外宇宙より連れてこられたのだという。

『黒の書』によると、ガタノトーアを目にした者は、甚だ慄然たる類の麻痺と石化が起こり、犠牲者は肌が石や革に変じるとともに、脳がその内部で半永久的に生き続けるということがほのめかされている。


ガタノゾーアの魔力で石化してしまったウルトラマンティガ。

かつてシュブ=ニグラスの大神官、トゥヨグはこの邪神に立ち向かうべく、ラグ金属で作られた円筒容器の中に収めた、石化を免れるナアカル文字の不思議な呪文の書かれたプタゴン皮紙の巻物を携えヤディス=ゴー山に向かったが、ガタノトーアを崇拝する大神官イマシュ=モの謀略で、彼は邪神による石化魔力の餌食となった。

マサチューセッツ州にあるキャバット博物館には、その石化したトゥヨグのミイラが未知の金属から作られた円筒容器と共に展示されてあるという。
(この博物館には、噂のミイラを見るために、かのチャンドラプトラ師も来館したらしい。)
その石化したミイラの左目を覗くと、トゥヨグの網膜に焼き付けられた邪神ガタノトーアの恐るべき姿が映し出されるという。
そして、その姿を見たものもやはり・・・・・


聞くところによると、ガタノトーアの似姿を目にしただけでも石化すると言われているのだが、幸い小中千昭監督がプロデュースしたガタノゾーアの姿で私の身体が石化することはなかった。
ただ、同時出没した超古代尖兵怪獣ゾイガーを画面上で目撃した時は、その姿のあまりのショボさ加減に思わず石化してしまったことを告白しておく。


ゾイガー。
言うまでもなく、ビルマのスン高原にあるとされている伝説の廃都アラオザルの地下深くに封印された、星間宇宙を歩む双子の神格ロイガーをもじった怪獣名である。
ロイガーは緑の目と奇怪な触手を持つ巨大で邪悪な肉塊で、かなりグロテスクであるとされるが、このゾイガーはどう見ても単なるトンビ怪獣。

サンドウィン氏が、「わしはクトゥルーも恐れはせんし、イタカとて恐れはせん。しかし、チベットの高原でツァールに仕えるトチョ=トチョ人を従えるロイガーだけは別じゃけん」と言わしめたほどの脅威的な存在だとは思えないし、こいつはほとんど別物だと言ってよい。
ただ、負傷した自分の翼を自らもぎり取ってしまうだけの根性はあるようだ。



今日の1曲:『SHOES』/ TIGA
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アザトース

2010年10月28日 | ルルイエ異本
いや~『エイボンの書』は実におもしろい。

人類が進化する前に地球を順に支配していた“九つの超地球種族”の小史が述べられている『暗黒の知識のパピルス』なんかもよかったが、最後の章の『補遺』に収録されている“エイボン書簡”、特に第二の書簡(エイボンの黙示録)の中で述べられていた“オールド・ワンの家系”に関する記述は、大いに心騒がされる内容であった。

とりあえずその記述を基に“オールド・ワンの家系”を相関図的な形で紙に簡単にまとめてみました。

エイボンはクトゥルーのことを“クトルット”と呼んでたみたいね。なんかカワイイ。

ところでみなさんはこの世がどうやって始まったか、考えていて気が狂いそうになったことはありませんか?
この世の始まりがどうであったかというと、それは“恐ろしき始まりの思考”でしかなかったと言われております。
そして、この“恐ろしき始まりの思考”は「原初の最高神」アザトースの思考であったと、この書簡には述べられておるのです。
アザトースは“白痴にして混沌の神”と言われるように、彼はある時を境にSAN値が0以下に低下してしまいます。つまり正気を失ってしまったんですね。
そしてその彼の熱にうなされた精神から、1組のすさまじい想像の産物が生まれました。
それが「始まりの恐れ」と「憎しみの真実」と呼ばれる双子。
この子たちは、この狂気に陥った錯乱の神を決して目覚めさせるべきでないと結論づけ、大いなるアザトースを眠気で包み続ける甲高くて不調和な旋律を鳴らし始めた。
多分これが、時を超越した想像もおよばぬ無銘の房室で踊り狂っているこころを持たない不定形の楽人たちが鳴らしていると言われるあの“下劣な太鼓のくぐもった狂おしき連打と、呪われたフルートのか細き単調な音色”なのだと思う。
「始まりの恐れ」と「憎しみの真実」の機転の利いた子守唄のおかげでアザトースは断続的な昏睡状態にあるんですね。
でもアザトースがいつか目を覚ましたならば、全世界は霧と消えうせちまうんですよーー!!
キャーー!!

そこでアザトースが熱にうかされた夢の中で、「始まりの恐れ」と「憎しみの真実」にわずかな間演奏をやめさせるため、産み出したのが“サクサクルース”。
サクサクルースは「無限の雄雌同体の欲望」であり、今やこのものはあらゆる点でアザトースと同一の本質を共有していた。
サクサクルースは自分自身を雄性(ナグ)と雌性(イェブ)とに分け、お互いを配偶者として交じり合わせ、自分たちの姿に似せてクトルット(いわゆるクトゥルー神)を産み落としたのである。
そしてこの冒涜的なるおぞましき近親婚を次々と繰り返し、ガタノソア、ユトグタ、ゾス=オムモグ、ギズグス、フジウルクォイグムンズハーなどの神格が続々と産み落とされ、「暗黒の上天(プレロマ)」を創り上げたのだ。


今われわれはオールド・ワンたちの完全で無膠なる偉大な力を知った。
彼らには千年も一日にすぎず、彼らの前には人類など目覚めしときの夢にすぎないのだ!
そしていつか彼らは目覚めるであろう!

おお!すべての原因と手段の莫大なる堕落よ!
盲目にして餓えたる混沌よ!


って、クトゥルー神話も結局は夢オチかい。

まぁでもこの“オールド・ワンの家系図”を参照に、万聖節前夜に『エイボンの書』に記載されている“アザトースの灰色の儀式”を執り行ってみるのもいいかもしれません。




この背徳的なGROTESQUEなるバンドは、人気メタルバンドAT THE GATESの前身となったバンドとも言われてます。
なんか初期CARCASSっぽいな。

今日の1曲:『Spawn of Azathoth』/ GROTESQUE
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幻惑的嘔吐感!!

2010年10月15日 | ルルイエ異本
『エイボンの書』をノルマン・フランス語版に翻訳したガスパール・ド・ノールが13世紀のフランスでやらかしたというトンデモ事件について知りたくて辛抱たまらず、『イルーニュの巨人』というクラーク・アシュトン・スミス著の幻の短編集を入手。

クラーク・アシュトン・スミスは、詩人であり、彫刻家であり、イラストレーターでもあるというマルチな才能を持った幻想怪奇小説家で、環状列石の立ち並ぶ魔界の森へ読者をいざなうかのようなその幻惑的で独創的な描写は、かのラヴクラフト氏も「空前絶後の作家!!」と大絶賛しているほど。
スミスの物語には大きく分けて3つの舞台設定があります。

クトゥルー神話体系ともリンクする超古代大陸ヒューペルボリアを舞台とするシリーズ。
中世フランスの神話的一地方、アヴェロワーニュを舞台とするシリーズ。
そして、はるか未来の地球最後の大陸ゾシークものである。(創元推理文庫からC.A.スミスの『ゾティーク幻妖怪異譚』というのも刊行されておりやす。)

この書を手にし、私が真っ先に読んだのはもちろん『イルーニュの巨人』で、ここでは錬金術師、占星術師、そして黒魔術師として三重に悪名高いナテールと、彼のもとを去った元弟子のガスパール・ド・ノールとの壮絶なる師弟対決が展開されている。
この物語はアヴェロワーニュの森での話だが、この中世フランスの地ではどうやらヒューペルボリアの古代の魔道師エイボンの遺した暗黒の品々がかなり出回っていたようで、『聖人アゼダラク』も“最古の呪文、人間には忘れ去られた秘密の伝承、ヨグ・ソトートとツァトゥグアのことを記した”ルーン文字版の『エイボンの書』を所持していたし、『アヴェロワーニュの獣』を退治した魔術師のリュク・ル・ショードロニエも“古代ヒューペルボリアに由来するもので、かつては魔道師エイボンの持ち物であった、中に大昔の魔物が封じ込められた先祖代々伝わる不思議な謎めいた指輪”を所持していた。
他に、近代モノの『死の顕現』では、ラヴクラフトをモデルにしたというトムロンという青年は“ヒューペルボリアやムーやアトランティスの太古の悪魔的な書物の研究”に没頭しており、“この地上のいかなる国のものでもない奇妙な地図”を所持していた(夢の国の地図?)。
いやはや、ツァトゥグア様の影響力は絶大だなぁ~

C.A.スミスの肖像

傑作だなと思ったのはホラー色の濃い『土地神』で、その悪魔にとり憑かれた得体の知れぬ邪悪なものが漂う土地の霊的描写がおっそろしくド迫力満点で、なにかしらゾーッとする一種異様な戦慄を感じないではいられませんでした。

他に、『見えない街』での紫外線物質でできた人の目に見えぬ紫外線人の話だとか、金星探索隊が出くわした、人間の世界では不可能な大きさと不可能な形のピンク色した巨大生物(ゆえに『はかりがたい(測り難い)恐怖』という題名がついた?)など、かなり奇妙奇天烈でブっとんだSF作品も実に読み応えがありやした。

あと、『ヒキガエルおばさん』なる題名からしてユニークそうな話があったが、ヒキガエルの化身のような魔女が出てくる話で(スミスはやっぱりヒキガエルに取り憑かれていた?)、その胸クソ悪くなるヒキガエル描写があまりにもおぞましくて、マクドで読んでてホンマにテリヤキマックバーガーをもどしそうになった。

いや、違う!この嘔吐感は・・・

プレミアム・ロースト・コーヒーの2杯目を飲んだせいだ。



今日の1曲:『Summoning Redemption』/ MORBID ANGEL
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エイボンの書

2010年10月09日 | ルルイエ異本
最近の本ブログの記事読んで下さってる方はお気づきかと思われますが、私は近頃コモリオム神話群や、特に『エイボンの書』をよく読んでいるわけなんですが。
いわゆるヒューペルボリアものですね。
しかるがゆえに、文章の端々にその影響があらわれてるでゲロゲーロ。

本書は、新紀元社から出版されたのを今年の春頃に入手したのですが、あまりといえば残念すぎる表紙絵とは裏腹に、恐ろしく内容の濃すぎる本格派クトゥルー読本なのです。

『エイボンの書』とは、最後の氷河期が始まる一世紀以上前、有史以前に存在したヒューペルボリア大陸の極北の地、ムー・トゥーランの魔道師エイボンが著したものを、彼がサイクラノーシュへ失踪後、弟子がまとめたものであるとされる。
もともと忘れさられた言語であるツァス=ヨ語で書かれたものであり、13世紀に名高い錬金術師にして隠秘学者、ヴィヨンヌのガスパール・ド・ノール(彼の詳細についてはクラーク・アシュトン・スミスの『イルーニュの巨人』参照)がノルマン・フランス語に翻訳し、『Liber Eibon』と題名をつけた。
ちなみに中世ラテン語の翻訳本が一冊ミスカトニック大学付属図書館に保管されているという。

この『エイボンの書』には、かつてヒューペルボリア大陸を支配していたというヴァルーシアのヘビ人間、原初の毛深い人間以前の先住民ヴーアミ族、忌まわしきラーン=テゴスを崇拝する人食いのノフケー族・・・etcなどの歴史なども語られています。

実際エイボンはこれらの事柄を彼がかつて蒐集、所持していた巻物、および書物を基に書いたのだと言われています。
そのエイボンのコレクションのいくつかを以下に紹介しておきましょう。

・穴居人の粗野で残忍な手で刻まれた古えの恐ろしい秘密に基づく『ヴーアミ碑板群』
・暗黒星ユッグゴトフの年代記が記録されているという、人間がいまだに解読できない『ナコト写本』
・人間どころか哺乳類によるものとはとうてい考えられない著者による、悪夢のようなページを含む『カダス録』
・古代のムーの恐ろしい遺産である黒い神話を記し現代まで伝わった『イエーの儀式』
・人間の真の起源についての忌まわしき推察と、宇宙の誕生がすさまじくも冒涜的なものだが、幸いなことに立証できないという不穏なほのめかしを述べた『プノムの羊皮紙文書』
(人類が進化する前に地球を順に支配していた“九つの超地球種族”の小史が述べられている『暗黒の知識のパピルス』はこの文書を基盤としたものではないか!?)
・未来人による時空を超越した底知れぬ漆黒の深淵に通じる袋状の器官を有する球状の耳の無い猫のことがほのめかされた『のび太の異次元超越記』


これらの資料を基にエイボンは黒い片麻岩の館で、暗く有害な神話、礼拝式、儀式、そして邪悪で秘伝の呪文を学びとり「魔術の基本原理の手引書」をまとめあげた。
そしてまた、最古の呪文と、イオグ=ソト(ヨグ=ソトース)およびゾダグィ(ツァトゥグア)の秘密の、人の記憶から失われた口碑を書簡に残したのである。
そう、彼は聳え立つエイグロフ山脈にあるヴーアミタドレス山の地下に位置する洞窟世界、ンカイの暗闇で禁じられてきたヒキガエル神、ツァトゥグア崇拝の帰依者であったのだ。



そしてツァトゥグアの庇護を受け、エイボンは幾度も生まれ変わり、彼の7回目の転生とされる大神官クラーカシュ=トンによって暗黒の知識の書物はアトランティス大陸へと受け継がれたのである。
彼はスケベ心を起こしたせいで、魔術師モジランにツツモタセの術でワイン壺の中に閉じ込められ海に流された後どうなったんやろう?

ところで、クラーク・アシュトン・スミスも多分エイボンの239回目くらいの転生だと考えるのは私のいきすぎた空想だろうか?
そして、この私もまたエイボンの3825回目くらいの生まれ変わりだったりするかもしれないし、しれないかもしれない。


日本各地でも太古よりヒキガエルの像を崇めるというツァトゥグア信仰が浸透している。



とにかく、この『エイボンの書』は暗黒神話体系を研究する上でも極めて資料性の高いものである。
この書に比べると最近サンクスで500円で購入した『本当に恐ろしいクトゥルフ神話』なんぞは極めて“ヘイボンな書”と言わねばなるまい。

イクイ・ドロシュ・オドフクロンク!

おお、ツァトゥグアよ

ンカイとヨスを統べる 聖なるヒキガエルよ!




今日の1曲:『KAWAZU』/ MORBID ANGEL
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バベル

2010年09月28日 | ルルイエ異本
最近やっとMASSIVE ATTACKの最新作「HELIGOLAND」を中古で購入。
今回も陰鬱な趣きのいいダークさ加減の佳作に仕上がっている。ただ、デーモン・アルバーンなど、豪華なゲスボを迎え入れて制作された割には傑作「MEZZANINE」と比べるとかなり平凡。
ジャケは3Dのオリジナル・ペインティングによるもので、初回生産分のみ4色のヴァージョンがあり、私は青ヴァージョンが欲しかったのだが、中古盤なので選択の余地はなかった。
本作でのフェイバリット・ナンバーはお馴染みホレス・アンディが歌う“GIRL I LOVE YOU”、そしてトリッキーが発掘し、ダディーらが「PROTECTION」制作時から目をつけていたという女性Voマルティナ・トップレイ・バードが歌う“BABEL” 。

この曲の歌詞の中では「バベルの塔」は“壮大なる茶番”という比喩に使われている。
確かにアレハンドロ・ナンチャラ監督作の映画『バベル』はまさにその表現にピッタリだ。
しかし、鬱蒼とした木津の密林の奥深くに聳え立つこの「バベルの塔」を目の当たりにして、果たしてこれを“壮大なる茶番”などと言えるだろうか?


「バベルの塔」は古代メソポタミアの諸都市に見られた塔。
シュメールに起源を持つとされ、語源はアッカド語の“ziqquratu(ジグラット)”で、「高所」とか「高い建物」を意味する。
有名な「バベルの塔」はバビロニアのジグラットをモデルとしたとされる。

「バベルの塔」は遠い昔、超銀河から時間を進んでバビロニアの国に飛来し人間の身体に宿った精神生命体<イースの大いなる種族>が支配者となり、その子孫どもがバビロニアの民を先導し建造させたという。
<イースの大いなる種族>は、自らの魂を未来に投じて人間に宿るという恐るべき能力を持っていたが、彼らが我らの時代に望んだものを彼らの太古に運んだり、異様な円錐形の身体を我らの時代に運んだりすることは、彼らの能力を超えることであった。
ジグラットの主な目的は、物質を時間の彼方に運ぶことであった。

ジグラットはそれぞれ地底から有害な力を引き寄せ、その形状と正確な様式で石に刻み込まれた印により、蓄積された力を光線として、人が知るような普通の宇宙ではなく、時間の深淵へと放つ。
これら神殿の頂きで焚かれる大火によって、時間の光線が放たれるのである。
バビロニア人はかつて多くのジグラットを造り、大地の下の地獄の領域の戸口が闇の力を放つところに配し、必要なときに時間の帳を貫く光線が得られるようにしたのである。

伝説の「バベルの塔」の崩壊は、<イースの大いなる種族>が計画した巨大な時空移動発光体の大惨事によって引き起こされた。
稲妻の何千倍もの強さの一閃の雷光がバベルの塔を直撃し、その場に参集した<イースの大いなる種族>の魂が宿っていた人間の子孫もろとも木っ端微塵に破壊したのである。


タロットカードの大アルカナ『神の家』の図柄は、そのバベル崩壊を表したものとされる。


<イースの大いなる種族>のバベル計画はここでいったん終止符を打たれるが、彼らは時間の支配者にふさわしく、忍耐強い種族である。
この壮大なる計画が時代を超えて再びこの木津市内の山中深くで行われようとしている!
この木津の「バベルの塔」は一応表向きは“木津南配水池”という体裁をとっているが、中ではあの“時空の彼方へ通じる光の戸口”が着々と建造されており、地獄の釜戸では超時空移動発光体を発生させるための業火が焚かれているのではないか!?

そういえば三年前、木津町、加茂町、山城町が合併し、木津川市というひとつの大都市となった。
これは<イースの大いなる種族>がこの京都南部周辺の民への支配力を固めるための策謀ではなかったか!
それとも!我々はもしかすると<イースの大いなる種族>と人間との間にできた恐るべきミュータントの子孫かもしれない。


ああ!マッシヴ・アタックのアルバムレビューを書くつもりが・・・
また、私はまた・・・



今日の1曲:『BABEL』/ MASSIVE ATTACK
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名状し難き子供

2010年09月26日 | ルルイエ異本
なんてツイてないのだろう!!
ヒマそうだからといって、姉が私に甥の子守を託して子どもサッカークラブの父兄会みたいなのに行ってしまった。
なんということだ!私は子供が大の苦手なのに・・・
特にこの甥は「不吉なる子供」、「かのものどもに魅入られし申し子」、「ヒトの家の冷蔵庫を漁るクソガキ」として、私がおおいに苦手としている子供なのだ。
そう、何を隠そう、この子供こそ旧支配者とのなんらかの繋がりがあると思われる(いや、あるとしか思えない!)あの名状し難き子供なのだ!
(詳しくは過去ログを参照されたし↓
http://blog.goo.ne.jp/amashin666/e/3983f12c18ed70547a647cedb88c3fab

ああっ!ツイてないとしか言いようがない!
しかもたいして私になついてないし!

私には、木津の密林の奥深くに古くから不気味に聳え立っているという“ふぉとん”なる冷たい灰色の金属で作られた奇妙な建造物のあるところまで甥を連れていくという任務を課せられた。
この建造物のことは人類以前の書物であるという『ナコト写本』にも詳しい記述はない。
甥は普段とは違うしゃがれ声で言う。

「定命のものよ、オマエも大いなるものが創りたもうた神秘的で偉大なる所業の数々を見たければ、ついてくるがよい。」

いや、ついてくるがよいって、俺が車で連れて行くんやろうが・・・
しかし彼の妙に含みを持たせた凄みのある誘い文句に抗うこともできず、彼を車に乗せてしぶしぶその場所へと連れて行った。
周りには古色蒼然たる遺跡がいたるところに点在している。太古の昔、この周辺でいかなる数々の血生臭い冒涜の儀式が執り行われていたのだろうか?



そこへ着くや、私の甥は真っ先に“光の福笑い”なる祭壇へと私を導いた。
そこにはなにやら護符めいた象形文字が刻まれた鏡台が並べられている。
この象形文字は人類誕生以前の文字としか思われない奇妙な形をしていた。

イア! イアグサト=ヨグ=ソトース=イアグサト!
ンガーング アイイ カエ カエ ポケモン カードォ! 

人顔を模った古々しい碑石にひとつ目の巨人キュプクロスの像を浮かび上がらせる。

「定命のものよ!これ、オマエのかーちゃん!」とはしゃぐ甥っ子。

このガキャ・・・どついたろか!
彼は知っているのだろうか?私の母親はつまり自分の祖母であるということを!


その日40名限定の「青銅鏡みがき」なる忌まわしき冒涜の儀式に参加させられるハメになった。
選ばれし40名の子供にはそれぞれユゴス星でしか採掘されない“原初の青銅”とダイソーで手に入れたというサンドペーパーが配られた。
大人はその子供達の冒涜行為を参列者として見守ってなければならない。
ああ!なんたる仕打ち!なんたる拷問!
そのますます高揚していくあまりにも背徳的な研磨行為によって、なんとも鉄臭い、吐気を催おすような邪な粉末が大気中に広がり、それを吸い込んだ私はとてつもなく気分が悪くなるという二次災害に見舞われた。


なにかにとり憑かれたかのように一心不乱に研磨行為に没頭する子供たち。
何がそんなに面白いのか?家でガンプラを作っている方がどれだけ有意義であろうことか。


無垢なる選ばれし子供たちによって磨かれた石は、やがて邪な光を放ち“旧き印をもたらせしヌトセ=カームブルのまれなる輝ける石”として完成形となる。
その不吉なる輝く石をこちらに向けて不適な笑みを浮かべる甥っ子。

「低迷のものよ、オマエにこの輝きがわかるか?旧支配者どもが深淵より到来するのを導く最果ての周縁の第七次元にまでとどく、この大いなる素晴らしき輝きが!」

誰が低迷のものやねん。



イア!シュブニグラトフ!




今日の1曲:『Come to Daddy』/ Aphex Twin
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平城のいやはてをさまようもの

2010年05月12日 | ルルイエ異本
『ネクロノミコン ~アルハザードの放浪~』には旧支配者どもの畏怖すべき知られざる秘密、悠久の太古から伝わる様々な禁断の奥儀が記されていた。

「シュブ=ニグラスとの契約の条件」、「本質の塩とその使用」、「カダスに通ずる第六の門」、
「猫の不可解な習わしとその祭儀」、「ショゴスについて」・・・・etc.

旧支配者が目に見えぬまま、悪臭を放ちながら跋扈する荒寥とした地では、しかるべきときに言葉が抑揚をつけて唱えられ、儀式の連祷が叫呀される。
旧支配者の声とともに風がおらび、旧支配者の思念とともに大地が鳴動する。

平城宮跡をさすらい、魔殿や地下洞窟に知識を求める者は、茸の胞子を浴びた蜘蛛の干物を食することによって第二の視力を得、通常の人間には不可視の、尋常ならざる存在を見ることが可能となる。


南方の砂地を徘徊してると、突如朱雀門を守護する不定形の神まんとくんが顕れた!!
サイクラノーシュ(今でいう土星)より1300年前にいにしえの奈良に到来したと言われ、せんとくんとは敵対関係にある。
体中柔毛に覆われていることから、ツァトゥグアの従兄弟の友達の知り合いの親戚ではないかと考えられている。


辺りは阿鼻叫喚。いけにえに捧げられる子供たち。



この可塑性を持つ水色の神格は支那大陸より到来した擬似の神ガンビーモドキ、通称名をばんぱくん。

ああ!!そんな!!
私のキーホルダーについている粘土の精霊を模った護符人形と恐ろしくも似通っているではないか!



仮面サイダー・・・仮面サイダー・・・サイダァァァ・・・サイダ~~~~♪



この太古の石碑に刻まれし奇妙な象形文字は・・・
測り知れない永劫の太古にクトゥルーの落とし子によって地球にもたらされたという、あのルルイエ語ではあるまいか!!

ケフ・ココノヘニ・・・ニホヒ・・・ヌルカナ・・・

ニ・ホ・ヒ!ヌルカナァァ~~




今日の1曲:『太陽賛歌』/ PINK FLOYD
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クトゲーにおける理不尽な死に方集

2010年04月25日 | ルルイエ異本
やつらが来る。
かつて私は地獄の魔力を解き放ち、今やその代償を支払わねばならない。
デルセトは邪悪なものの餌食となる。
陽はすでに落ちた。
仮にも私の肉体が見つかっても、わが魂は失われているだろう。
支配者の憤激と、その奴隷たちの心に生ずる恐怖が手に取るように感じられる。
奴らの足音が聞こえる。 私の行ないを理解してくれるものもいるだろう。
神よ許したまえ。 さらば

~ジェレミー・ハートウッドの手紙より~


前ログのクトゥルー絡みでメタ友のアンジェ嬢からクトゥルー神話をベースとしたアドベンチャーゲーム『アローン・イン・ザ・ダーク』の報告を頂き大変興味をそそられちょちょいとググったところ、このゲームに関しての様々な奇怪極まりない情報を得ることができた。
私自身家庭用ゲーム機を持ったのは、二次会のトイレットペーパーゲームで勝利した時の景品のドリーム・キャスト(死語)が最初だったというくらいゲームには疎いので、クトゥルーゲーム(いわゆるクソゲーならぬクトゲー)などはもちろんやったことがなく、一体どういうものなのか非常にこころ騒がされるものであった。

しかし、たまたまYOUTUBEで『アローン イン ザ ダーク 理不尽なトラップ集』という映像を発見し、それを最期まで観た私はそこに映し出された名状し難き映像のあまりの理不尽さに爆笑・・・いや、恐怖した!



まずいきなし廊下の床が抜けて転落死には抱腹絶倒。
緑色した浮遊する異様な球体の集積物はもちろんヨグ=ソトースでっしゃろ?
そんなもんに出会ったらそら即死ですがな。
しかし、このMIDIっぽいBGMとか、クリーチャーどもの鳴らす効果音とかに妙な気持ち悪さ、おぞましさを感じます。
絵から飛び出てきた斧を脳天に2発食らっておきながら何事もなかったかのように歩き出す主人公もある意味恐怖だが。
あと、自分でどかした樽に轢かれて死亡ってそんな殺生な!

噂にたがわぬ理不尽さだ!
こんなもんクリアーできるんかい!

極めつけなのが、本を読んだだけで死亡するというやつ。
本文に“クトゥルフ・フタグン”とか“千匹の子を孕みし森の黒山羊”などの文字が書かれてあるのでおそらくアブドゥル・アルハザードの『ネクロノミコン』か、ルドウィク・プリンの『妖蛆の秘密』の類であろう。
いや、ラヴクラフトの小説でもせいぜい発狂するくらいなのに、読み終わった後いきなし胴体ビニョ~~~ンって!!

理不尽だ・・・理不尽すぎる!!
またこの時の主人公の断末魔のうめき声が切ない・・・
ウアゥアアア~~・・・・って。

この理不尽さはある意味クトゥルー神話の持つ宇宙的恐怖の本質をついてるかと思われます。
だいたい生身の人間がクトゥルー邪神眷属どもとまともに戦って勝とうなんぞ、思い上がりも甚だしいことなのだ。

このゲームを根気強く最期までやり遂げた人もいるかも知れません。
けどおそらくその人も発狂してるか、「テケリ・リ!テケリ・リ!」という言葉を繰り返すだけとなっているであろう。


で、アローン・イン・ザ・ダークつながりということで今日はこの曲をば。
しかもあえてリレコーディングのスティーヴ・ゼトロ・サウザー・ヴァージョンで。


今日の1曲:『Alone In The Dark』/ TESTAMENT 
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気分はルルイエ~イ!

2010年04月22日 | ルルイエ異本
イエロー&インディゴカラーが目印の某古書店で最近集め出した「新ナニワ金融道」の特価本でもないかと100円コーナーを物色していると、思わぬ書物を発見してドキっとした。
室山まゆみ著の『とびきり特選あさりちゃん③~気分はホラー~』である。
もう川で鮭を捕獲する熊の勢いで即購入である。

はいそこ!引かない!
早まってはいけない!

私がなぜこの80年代に小学生の間で人気を博した少女向けドタバタギャグマンガを購入したのかというと、それにはちゃんとした訳があるんです。
この『とびきり特選あさりちゃん③』の中には、当時未掲載になった禁断の作品が2話収録されている。
そのひとつというのがなんと「クトゥルーの呪い」という題目なのだ!!



おそらく、小学館の当時の担当編集者がこのエピソードは小学生の過敏な精神にとってあまりにも不健全で教育上悪影響を及ぼしかねないと判断して、指し止め、お蔵入り措置をとったのであろう。
しかし、室山さんはどういう狙いでこの冒涜的なエピソードを描いたのであろうか?

最初に海から手だけがぬっと現れるクリーチャーはありきたりのスクリントーンで描かれてはいるが、クライマックスで海から這い上がってくる魍魎たるクトゥルーは水木しげるばりの点描写で迫力満点に描かれており、かなりのおぞましさである。
姉のタタミが「人にモノをねだる時は名前くらいなのれ!」といきまいた時に、かのものどもがいうセリフがたまらない。

「我はクトゥルー。太古の地球に、宇宙より飛来した神。
人間どもの造り出した神により、地の底、海の底に封印された神なり。
されど我等は再び地上にもどる。
人間の脳を食らい力を貯え、再び地上を支配する。」

いや、この作者、小学生相手に何を描いとんのや!
トチ狂ってるとしか思えませんわ。
てゆーか相当暗黒神話に精通しており、この分野に入れ込んでいたかと思われる。



しかし、永劫の歳月を閲してこの幻のエピソードが日の目を見ることになろうとは・・・
しかもそれが奈良の片田舎の古書店においてあるなんて・・・
星辰は正しい位置に近づいているのかもしれない。

ああ、汝、死して横たわりながら夢見るものよ、
汝の僕が呼びかけるのを聞きたまえ。
ああ、強壮なるクトゥルーよ、我が声を聞きたまえ。

フングルイ・ムグルウナフ・クトゥルー・ルルイエ・ウガフナグル・フタグン!!

いや、だから引くなっちゅーの!


今日の1曲:『God O.D.』/ Meat Beat Manifesto
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ありえざるポニョ

2010年02月07日 | ルルイエ異本
先週の金曜ロードショーでついに地上波初、宮崎駿監督『崖の上のポニョ』が放映されましたね。
いや、放送されてしまった!
あの忌まわしき戦慄のアニメーションが!!

映画が上映された当時も、この作品が明らかにラヴクラフトの『インスマスを覆う影』を元にして描かれたものであると、多くのクトゥルー論者を騒然とさせておりました。
「かつては私も人間だった」というポニョの父親による台詞は、マサチューセツ州の港町インスマスにあの忌まわしき「深きものども」を引き込んだ、オーベッド・マーシュ船長を彷彿とさせ、ポニョがお母さんと呼ぶ「あの人」は太古のデボン紀の海を懐かしんでおり、どう考えても「旧支配者」のなんらかの類にほかならないなど(「あの人」と呼んで決して名前を口にしないのは、その名前が「忌み名」だからという説も筋が通っている)、以上のようなことがどのクトゥルー関連記事においても、まことしやかにほのめかされている。




私も金曜の放送を1時間遅れで見ていたが、最初は「なんだ、ただのお子ちゃま向けのかわいらしい話じゃないか」と、股間をかきながらリラックスムードで傍観していた。

しかし!!ポニョが突如人間から魚の姿に変容していく様を見た時、私は恐怖した!

あれはまさしく“インスマス面”そのものではないか!!




“インスマス面”とは、両眼がギョロリと膨らむ蛙、あるいは魚のような容貌のとこ。
かつてマサチューセッツ州の港町インスマスでは、深海からの種族「深きものども」と人間たちとの忌まわしき異種交配が盛んに行われた。
大いなるクトゥルーの眷属である「深きものども」の血を受け継いだ子孫たちは、生まれてからある程度の期間は普通の人間と変わらない姿をしてはいるものの、同族との接触や極度のストレスなどをきっかけに“インスマンス面”と呼ばれる「蛙に似た容貌」に変容するのである。

    

日本の著名人でいうなら、さかなクン。彼はあきらかに「深きものども」の血を受け継いでる者かと思われる。
あとはその特徴が顕著にみられるのが日本の現首相である鳩山由紀夫氏であろう。
あれはどう見ても宇宙人というよりインスマス面そのものだ。
民主党が外国人参政権を強引に採決し、いずれは「深きものども」にも参政権を与え、やつらにこの日本を乗っ取らせる気でいるのでは?


いや、そんなことよりだ。
私は仕事の疲れからウトウト居眠りしてしまってこの「ポニョ」の放送を半分も見れてなかったのだが、普段映画やアニメを忌み嫌う母がやたら熱心にこの作品に見入っていたではないか!
まるで故郷を懐かしむかのように・・・

そういえば、30過ぎてから私は急激に頭髪の方が薄くなってきている。

満州生まれだと聞いていたが・・・

私の母は・・・・もしや!!





ふとメタリカのナンバー「THE THING THAT SHOULD NOT BE」の歌詞が私の脳裡をよぎる。


「恐怖の使者が姿を現わす / 暗黒の欺瞞が光の息の根を止める

混種の子供たちは海を見つめ / 自由に徘徊する祖先に祈る

恐れ知らずの輩 / 狂気 / 彼は見つめる / 海底に潜みながら

偉大なる父 / 禁じられた光景 / 彼は探す

影の狩人が今、立ち上がる / 不死 / その狂気の中、お前は暮らす」


ラ・ル・リュー!クトゥルフ・フタグン!ラ!ラ!

いや、私は決してリーブ21なんかに行きはしない。そんなマネは断じてごめんだ!


私はいずれあの怪しい影に包まれたインスマスにでかけるのだ。
そしてあの沖合いにうずくまっている暗礁目指して泳いで行き、暗黒の深淵を潜り抜けて、巨大な石を積み上げた、太い柱の立ち並ぶヰ・ハ・ンスレイに到着したら、深海の魔神の巣窟の中で、驚異と光栄とに包まれたまま永遠にそこを棲み家とするだろう。




「深きものども」のことについて謳ったメタリカ3rdアルバム『Master of Puppets』収録の名曲。
歌の3番では、アラビアの狂詩人アブドゥル・アルハザードのあまりにも有名なあのニ行聯句が!


「そは永久に横たわる死者にあらねど 

測り知れざる永劫のもとに死を超ゆるものなり」


今日の1曲:『THE THING THAT SHOULD NOT BE』/ METALLICA
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アーカム計画

2009年12月15日 | ルルイエ異本
・・・いあ・・・んがい・・・いぐぐ

てゆーか、絶版になっていたロバート・ブロック著の『アーカム計画』が復刊していた。
ぐぐってたら偶然Amazonでこの書の新刊を発見して、「まだ在庫あったん?!」と興奮して見えざる邪悪な力に突き動かされるままカゴに入れてしまっていた。

今年は東京創元社の50周年らしく、それを記念して復刊して欲しい文庫のリクエストを募ってたんですね。
厳選10冊だったらしくって、まさかその一冊の中にこの『アーカム計画』が入っていたとは・・・
人智及ばぬ暗黒の深淵からのなんらかの緒力が働いていたとしか思えんな。

ロバート・ブロックはアメリカの怪奇小説家で、ヒッチコック監督映画『サイコ』の原作者としても知られている。
また熱心なクトゥルー神話体系の研究者でもあり、彼が師と仰いでいたクトゥルー神話の提言者ラヴクラフトからは“ロバート・ブレイク”と呼ばれていた。

そしてロバートは救いがたいほど軽率なオカルト探求者としても有名である。
彼はとある日、南ディアボーン通りの古書店であのルドウィク・プリン著の『妖蛆の秘密』を発見、さっそくプロヴィデンスの老神秘家(それがラヴクラフトだったという)に翻訳してもらおうと意気揚々とこの呪われし書物を持ち込んだが、この哀れな老神秘家がチョンボして人間の血を貪る<星の送りし下僕>を召喚してしまい、彼が魔物に食い殺された後、ロバートはその家に火を放ってトンズラ。
それにも懲りずに、今度は19世紀にプロヴィデンスで暗躍したカルト教団“星の智慧派”の本部であったフィデラル・ヒルの廃教会に忍び込んだ。
そこで輝くトラペゾヘドロンの箱を発見し、あろうことか、その蓋を閉じてしまったことにより封印が解かれ、這い寄る混沌<ナイアルラトホテップ>を召喚してしまう。
その一週間後、自宅の書斎の中で感電死体となって発見される。

ロバートの死後、発見された彼の日記の中から、ナイアルラトホテップの恐怖を綴った最期の手記をここに紹介しておこう。


「あの尖り屋根が見える あの塔が 窓が 聞こえる ロデリック・アッシャーだ
塔の中であいつが動きだし歩き回っている わたしがあいつであいつがたわしだ
(中略)
あいつが見える ここにやって来る 地獄の風 巨大なにじみ 黒い翼
ヨグ=ソトホース!救いたまえ 三つにわかれた燃え上がる眼・・・」

ロバート・ブロック氏 
ラヴクラフトとは小説の中でお互いを殺しあうほど仲が良かった。



で、今回入手した『アーカム計画』って、一体どんな計画なんでしょうかねぇ。
どうせ魔力を持った石笛を吹き鳴らしたり、ビヤーキー召喚して黄金の蜂蜜酒でへべれけになりながら星間宇宙を旅したり、万聖節前夜に環状列石の前でズカウバの薫香を焚いたり、バルザイの偃月刀で多角形を描いたりして、ヨグ=ソトホースやらシュブ=ニグラスなんかを召喚するといった、ロクでもない計画なんだろう。


今日の1曲:『God of Emptiness』/ MORBID ANGEL
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