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AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

5150

2007年02月28日 | やっぱりメタル!!
実は最近車を乗り換えようと目論んでおり、通勤時に周りの車をシゲシゲと観察するのがクセになっておるのですが、今日ふと前を走っているホンダのFITとかいう車をポケ~と眺めておりました。
「この車はどやろか?なかなか燃費はよさそうやけど、前のスタイルとかはええんかいな?」などと思いを巡らしていたのですが、ナンバープレートを何気に見やると、思わず「ヘィロ~~ベイベェ~!?」と叫んでしまった。

そのナンバーは“5150”

VAN HALENやおまへんかー!

この車の運転手はもしやヴァン・ヘイレンフリークでは!?
車の中では“GOOD ENOUGH”が爆音でかかってるのではないやろか?
もしナンバーのひらがな部分が“う゛”か“ば”だったのなら100%相違なかったであろう。




デイヴ・リー・ロスが抜けて、元モントローズのギタリスト兼ヴォーカルのサミー・ヘイガーが加入した新生ヴァン・ヘイレンの第一弾1986年リリースの『5150』は、実は私がヴァン・ヘイレンを聴いた最初のアルバム
当時メタル入門したての私は、そのド派手なヘヴィサウンドに衝撃を受けてこのアルバムを聴きまくってました。
お気に入りだったのが、サミーの「テレテレテレテッテーレレ♪」というハミングがカッコいい“WHY CAN'T THIS BE LOVE”。
MTVでこれのPVを観た時はほんと興奮したものです。



エディのキャッチーなシンセフレーズとヴァン・ヘイレン特有の軽快なリズムの“DREAMS”も秀逸。
あと、酒場で酔っ払いどもが騒いでるかのような雰囲気のラストナンバー“INSIDE”に当時不思議とハマっていた。

このアルバムタイトルの“5150”とは、エディ家の裏庭にあるスタジオの名前、及びエディのギターにも5150の番号が刻まれている、まぁエディのトレードナンバーといったところですかな。

で、時期を同じくしてデイヴがスティーヴ・ヴァイとビリー・シーン、そしてグレッグ・ビソネットという最強の布陣を従え、対抗アルバム『EAT ’EM AND SMILE』を発表し、私はその幻のスペイン語版『SONRISA SALVAJE』を聴いて一発で衝撃を受け、すぐさまデイヴ派となってしまったのであるが。
なんとこのスペイン語アルバムは今までCD化されておらず、4月にオフィシャルからリマスターCDで蘇るとのこと!よっしゃー!
こないだヴァン・ヘイレン好きのツレの車の中でこの音源を聴かせたところ、完全無視された。
ま、彼らはエディのギターが好きなのであって、ヴォーカルがデイヴだろうがゲイリー・シェロンだろうが誰でもよいのだろう。


そんな彼らも此度のまさかのデイヴ参加のVH再編成ツアーにマイケル・アンソニーではなくエディの息子が参加という悲劇にガッカリしているご様子である。




今日の1曲:『DREAMS』/ VAN HALEN
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ハートワーク・チョコレート(ドロドロシテル)

2007年02月14日 | やっぱりメタル!!
ハッピーバレンタインデイ

どこがハッピーじゃ!

毎年「何の日だろうと俺は知ったこっちゃねぇや」と無関心を装ってはみるが、この日はどうしても周りを意識し、私の脳髄が勝手に甘~い妄想を抱いてしまう。
で、今年もチョコは2つだけ(姉と母)・・・
とまぁ私の虚しくなるような話は止めにしてと。


皆さんやっぱりハート型のチョコを貰ったのでしょうか?
ハート型のチョコで思い出すのが小学校の頃、少年ジャンプで「シェイプアップ乱」という徳弘正也先生のシモ系ギャグ漫画を好んで読んでおりまして、その中で主人公の乱が売れないお菓子職人に自分の胸を指してバレンタインデーにハート型のチョコを作って売り出すようにとアドバイスしたところ、当日そのお菓子職人がリアルな心の臓を模ったチョコを店頭に並べており、乱がズッコけるというオチのエピソードが大変印象に残っております。




多少無理矢理な展開になりますが、このエピソードで思い浮かぶのがリヴァプールの残虐王CARCASSの96年リリースの6曲入りEP『HEARTWORK』のジャケットワーク。
先にリリースされていた彼らの出世作でもあるフルレンスアルバムも『HEARTWORK』と同姓同名なので日本ではこのEPには『臓器移植』というステキな邦題が付けられておりました。
前半3曲は極めてキャッチーなナンバーが、後半3曲はグラインド・ゴアなナンバーが配置されているという二面性のあるこの企画モノ的な作品を今日はみなさんに紹介していこうと思います。


#1“HEARTWORK”はフルレンスに収録されているのと全く同じヴァージョンで、特筆すべきことはありません。
#2“THIS IS YOUR LIFE”と#3“ROT'N' ROLL”は『HEARTWORK』レコーディング時のアウトテイクで、かなりユニークでお遊び曲のようなナンバー。
特に“ROT'N' ROLL”はヘッドバンギンより、スウィングダンスの方が相応しいノリノリのデスったロッケンロー。
だが歌詞になると「クサってしまおう クサクサしよう この腐敗した死体 なあ腐った臭いがしないか?」という調子である。
「クサクサしよう」ってどういうことですねん!?




そして後半は一転してグッチャグチャのドッロドロのゴア世界が展開する。
まず#4“手術器具”。「鋼鉄製皮膚鉗子、摂子にメス、開創器、ドリル、先のつぶれた切断器、開口器に圧迫器・・・」と、ビルとジェフの2種類のデスヴォイスが交互に手術器具の名称を捲くしたて、途中ギターソロ(W.G.スティアーの歓びの切断)が挿入され再び、
「木槌、竿、洗眼瓶、縫針にカテーテル、圧低器、アイロンにシロップ・・・」と、手術器具の波状攻撃合戦。

最後に、「これが俺たちの手術器具、極上品だから痛いですよ ステンレス製のメスが切断したくて踊ってる」

という文句で締めくくられるバカバカしくもストレートな曲だ。


#5“腐敗(ドロドロシテル)”は、2nd『疫魔交響曲』に収録されていたナンバーのリメイク。
曲の構成といい程よい混沌さ加減で、この作品の中では私のフェイバリットナンバー。
さすがゴア・グラインドな初期の時代の曲だけあって、リメイクであろうがこのドロドロ感は強烈である。

「お前の腐った血ヘドは既にガラスのように変態してるんだぜ」

と、歌詞も非情にクサクサしている。
ラストの#6“肝組織発酵再び”はビルがほぼヴォーカルの主導権を握るアグレッシヴなアルコール浸けナンバーで、時折バックでジェフが野獣のごとき咆哮を上げているのが実に効果的である。
ラストに“W.G.スティアーのヘベレケメロディ”がこの血みどろのハートワーク(心臓造形芸術)を完成させるのである。





今日の1曲:『HEARTWORK』/ CARCASS
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LIVE WITHOUT SENSE

2007年02月04日 | やっぱりメタル!!
まー私って昔っからライブ音源ってなんか苦手で、だからブートレグなんかも全然興味ありません。ロックファンの風上にも置けない奴ですよね~
ライブは生で見るか、映像で見るかしないとなんか楽しめないタチでして・・・

そんな私がレコーディング音源よりも好きになった数少ないライブアルバムの一つを先週ヤフオクでゲットいたしました。
それはジャーマンスラッシュ界のカリスマ、DESTRUCTIONのライブアルバム『LIVE WITHOUT SENSE』

このアルバムはアナログ輸入盤で所有しておったのですが、発売当時日本でもかなりの評判を呼んでとうとう国内盤でCD化され、これをキッカケに過去の作品もテイチクお得意のカップリングという形式でデストラクションの過去の作品が続々とCD化されるに至った、正にモンスターアルバムなのでありました。




このアルバムには88~89年の間に行われた“リリース・フロム・アゴニー・ツアー”でのベストテイク11曲が収録されており、この頃はメンバーも3人から4人編成となり、演奏技術も格段にレベルアップし、ツインギター特有の華麗なるメロディックさを武器にするも、いささかも冷酷さを失うことなく彼ら独自のスタイルを追求、確立した正にデストラクションの最盛期ともいえる時期であった。
その彼らの目覚しい勢いは特にライヴにて昇華し、このライヴアルバムはその当時の彼らの勢いの凄まじさを一番雄弁に物語っている作品でありましょう。


まずは“CURSE THE GODS”の不気味なイントロSEが流れ出し、この時のオーディエンスの盛り上がりがまた熱い!そしてレコーディングにはない4カウントを刻んでから一気にジャキジャキジャキジャキという獰猛なリフが展開するこのカッコよさ!もうその場にいた者には鳥肌モノだったであろう。
そして間髪いれずに“UNCONSCIOUS RUINS”が連続演奏され、さらに勢いを増しとどまることを知りません。
それにしても各曲マイクとハリーのツインギターのハーモニーがとても効果的で素晴らしい。“REJECT EMOTIONS”の間奏部分などその最たるものでありましょう。



3人編成時代の時の曲もツインにて再構築され、さらに厚みを増したサウンドに仕上がっており、その迫力はレコーディングの比ではない。特に3曲も演奏されている2nd『INFERNAL OVERKILL』からの曲が圧倒的に凄まじいサウンドで蘇っている。
“INVINCIBLE FORCE”の冒頭のシュミーアのヒステリックな「ィヤァァァ~~~~ア!!」という唯一無二の狂気の雄叫びもキレまくってるし、CDにて新たに収録されたインストナンバー“TRASH ATTACK”、そしてラストを飾る“BESTIAL INVATION”のリフの応襲はもうスラッシャーのアドレナリンを分泌させて止まない。
2ndの曲は実はこのライブ盤で初めて聴いたので、後で購入したショボいレコーディング音源を聴いた時はあまりの迫力のなさにズッコケたもんです。
まぁ名曲“MAD BUTCHER”などはオリジナルアレンジの方が良かったりもしますが、このライブアルバムは今聴いても全く色褪せないスラッシュメタルの名盤の一枚と言えましょう!




まぁ実はこの名ライヴアルバムを出した後、あの悲劇のシュミーア脱退事件が起こってしまうんですが・・・
THE KNACKの一発当たり曲“マイ・シャローナ”をカヴァーするかしないかでシュミーアが他のメンバーと対立し、逆上してバンドを抜けてしまったのである。
なんと他愛もないイザコザであったことか・・・
当時いよいよ日本でも人気が出はじめ、来日の気運も高まっていた頃だけに誠に残酷なニュースであった。





今日の1曲:『 Curse The Gods』/ DESTRUCTION
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DOOM再発

2007年01月28日 | やっぱりメタル!!
80年代から活躍していた日本異質のプログレッシヴ・スラッシュメタル・バンドDOOMのビクター時代の過去4作品が再リリース!!祝!!
どれも入手困難になっていたので、全世界の後追いファンの方々は歓喜したことでしょう!かくいう私もどちらかといえば後追いファンでして、学生時代中古屋を練り歩き運良く全ての作品を揃える事ができたんですが、今回のはリマスター盤ということで、これは是非全て買い揃えねばならぬでしょうって、当時の私の苦労はなんだったんだ・・・・・・

まぁでもいっぺんに全部はキツイので、とりあえず今回新たにボーナス・トラック4曲が追加された『KILLING FIELD』を購入。
このアルバム、私の所持していたのはサンプル盤だったので買い換えるいい機会だったしね。


この作品は初期にして録音状態がかなり良い!!SE(なぜか最初は鳥のさえずり)とかもメッチャいい音質で雰囲気抜群ですし、故諸田コウ氏の変態フレットレスベースも全作品中一番図太いサウンドで唸りまくっている。
冒頭でプログレッシヴ・スラッシュなどという形容をしてしまいましたが、そんな枠じゃあ収まりきらないアヴァンギャルドな曲展開、名状し難い異空間が広がっている。
ポリリズミックな変拍子を繰り返してるようで、そこには言い知れぬカオスが渦巻いており、ジャズやフュージョンの要素を巧みに取り込みつつもベースにあるのはまぎれもないロックンロール!!そして激情!!

楽園に訪れたかのような美しいイントロに聴き手をウットリさせておいて、いきなり藤田氏の「アオ!アオ!アオ!アオ!」波状攻撃で脳髄をぶち抜かれる#2“KILLING FIELD...”からヤバい!!
最初から最期まで諸田氏の変態フレットレス・ベースがやりたい放題暴れまくるファストナンバー#3“GHOSTS OF PRINCESS”。繰り返される変質的フレーズが緊迫感と陶酔感を覚えさせ、エンディングがあまりにもドラマティック過ぎる#5“FENCE AND BARRICADE”
こうしてじっくり聴きなおしますと、改めて彼らの演奏クオリティの高さを痛感せずにはおれません。




そしてボーナストラック4曲がそんじょそこらのオマケ曲じゃござぁせんぜ!
あの日本のスラッシュコンピレーションアルバム『SKULL THRASH ZONE VOI.1』に収録されていた、私が初めてDOOMの音楽に触れた濃度の強すぎる2曲“YOU END.GET UP! YOU”、そして“DOOMS DAYS”
このコンピには黎明期のX(JAPAN)、SHELLSHOCK、JURASSIC JADEなんかも名を連ねており、まぁ彼らの曲もそれなりにいいのですが、DOOMの曲は明らかに他とは一線を画した異質さとクオリティーの高さを放っておりました。




特に#7“DOOMS DAYS”のイントロ、そして後半だんだんとエスカレートしてゆく諸田コウの得体の知れぬ爬虫類が蠢くがごときの歪みきったフレットレス・ベーシングはヤバ過ぎ!!そこに藤田氏のギュワィィィ~ンと響くギター音とがシンクロするこの凄みといったら!!
当時私はこのサウンドに麻薬中毒患者のごとく陶酔するあまり、何度気を失いかけたことか・・・・





今回初めて聴く事のできたコンピアルバム『D.A.N.C.E.2.N.O.I.S.E.0.0.3』に収録されていた“WILL NEVER END”と“PARASITE”もいい!
特にKISSのカヴァー#9“PARASITE”は、見事なまでにハイサウンドなDOOM色に染め上げられており(ま、後半はほとんど原曲無視の展開だが)聴き応えはバッチシであった。




まぁ、皆さんもせっかく日本人に生まれたのだから(?)この奇跡ともいうべき再発を機に、このDOOMの変態ちっくなアヴァンギャルドワールドに触れてみてはいかがでしょうか?


今日の1曲:『KILLING FIELD...』/ DOOM
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踊らない一寸法師に捧ぐ

2006年12月23日 | やっぱりメタル!!
前回の映画『盲獣VS一寸法師』の記事で、「この作品は江戸川乱歩作品の『盲獣』と、『踊る一寸法師』を掛け合わせたもの」と書いてしまったけど、正確には『一寸法師』だったんですね。
この作品はかな~り昔に一度だけ読んだ話だったので、もう内容の記憶は忘却の果てに消えておりました。まぁ自分にとってそれほどインパクトがなかった作品だったのかもしれません。
あの曲馬団での回想シーンは『踊る一寸法師』の内容が取り入れてあって、この作品はよく覚えておりました。だから“踊る”の方と勘違いしてしまったんですね。




確かにこの映画での一寸法師は少しも踊ってはいません。怪奇な存在というより、なんだかものすごく不愍で悲哀を感じさせる役どころだったと思います。
山野夫人を手込めにしようとしても兄貴に邪魔されたり、曲馬団ではいじめられ、最期には屋根から落っこちて死んでしまい、挙句の果てには明智の策略で女中殺しの罪を被せられるという、なんとも可哀想過ぎる扱われ方でした。
せめて山野夫人と一発・・・いや1回くらいは一夜を共にさせてやってもよかったのではないでしょうか?
(「橋本麗香の濡れ場シーンを見たかっただけやろ!」という邪推はお断りだ!)


さて、そんな哀れな彼に捧げたい一枚のアルバムを今日は紹介したいと思います。
それは日本の猟奇的ハードロックバンド人間椅子『踊る一寸法師』でございます。
このアルバムは彼らがメジャーレーベルとの契約が切れて、再びインディーズの地下に潜り込んだ時の5thアルバムなのですが、いやいやどうしてこれが名曲揃いの傑作アルバムなのです。




インファント島の住民が吹いている笛を意識した木目細かな音色の和嶋氏のギターソロが印象深いM1“モスラ”。津軽弁全開の歌詞に津軽じょんがら節とサバス趣味がこれ以上ない程絶妙にマッチした超名曲M3“どだればち”
ドライブ時のBGMには最適なMSGの“ARMED&READY”風ノリノリロッケンローなM4“ギリギリ・ハイウェイ”。おそらく目に見えぬエイズの脅威を歌ったと思われるドゥームナンバーM5“エイズルコトナキシロモノ”
鈴木氏のうだつの上がらない人生をパチンコの羽根モノに喩えて歌った出だしがユーライア・ヒープの“7月の朝”を彷彿とさせるフォークロック哀歌M6“羽根物人生”。エンディングのアルペジオとブルージーなソロが美しいM7“時間を止めた男”。今でもライブではアンコール定番のスラッシュナンバーM8“ダイナマイト”
そして最後を飾るのは、もちろん陰鬱怪奇を極めたタイトルナンバー“踊る一寸法師”である。


私が“踊る一寸法師”を初めて聴いたのは、土蔵のような造りの京都の由緒正しきライヴハウス磔磔での『踊る一寸法師のレコ発ツアーライブ』を見に行った時でした。
この時の“踊る一寸法師”を演奏する人間椅子の姿は、もう本当に鬼気迫るものがございました。
ブラック・サバスの“黒い安息日”を彷彿とさせるフレーズに、和嶋氏の狂ったギターの不協和音がこだまし、あやかしのベースラインを刻みながら「フヒャッハッハッハ!」と狂笑するブルーライトに照らし出された不気味に蒼白く浮かんだ慄然たる鈴木氏のニヤニヤ顔は私のトラウマとなり、私の脳裏に深く刻み込まれました。




会場全体が凍りついたような空気の中、この悍ましくも美しい怪演に、誰ひとり声も発することができずに、ただ茫然と見惚れておったのを、今でもハッキリと覚えております。
私もこの慄然たる光景を見たときは、なにやらゾっとする名状し難い一種異様な戦慄を感じないではいられませんでした。





闇に融けゆく 影法師ひとつ

人の道から 外れて伸びろ

きれいみにくい みにくいきれい

からくれないと 道化は笑う





今日の1曲:『どだればち』/ 人間椅子
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ラウドパーク特集 最終回~SLAYER~

2006年10月15日 | やっぱりメタル!!
さ~ていよいよLOUD PARK特集も最終回とあいなりました。幕張でも今日が最終日ですね。で、最期を締めくくるのは・・・

はい、言うまでもありませんね。でも言います。そうです!今回のオオトリを務める泣く子もだまるスラッシュメタル界の帝王SLAYER!!!

スレイヤーは中学の時、スラッシュ仲間のひとり、あんぱんに『REIGN IN BLOOD』のアナログ盤を貸してもらい家でポケ~と聴いてて、あ~やっと2曲目終わったんか~と思たらレコード針が上がってしまって「エェーーーっ!!もうA面終わったん!?」と、そのあまりの高速さに驚愕したのを覚えている。
もう翌日からは学校の教室で「エンジェボデア!!」を連呼していたっけ。




まぁこの『REINGN IN BLOOD』がスラッシュ史上最強のアルバムであるのは私も認めるところであるが、実はこのアルバム以上に私がよく聴いていたアルバムがあるのです。
それは私が初めてアナログ盤で買った『SOUTH OF HEAVEN』である。

前作が前作だけに、このアルバムは「スピードが落ちた」「パワーダウンした」などの批判を受けることが多いが、いやいやどうしてこれがなかなかユニークなアルバムですよ。
とにかく音がメチャメチャクリーンだ。ギターの音なんか研ぎ澄まされた果物ナイフのように木目細かな切れ味。そして最初の“SOUTH OF HEAVEN”のイントロからしてなにやらドロ~ンとしたダークさが前面に出ている。

この作品で目を見張るのが、なんといってもトム・アラヤの歌である。なんとちゃんと歌を歌っているのだ!
それが顕著に出ているのが、このアルバムで最もキャッチーなナンバー#4.“十字架の裏側”
ゴーゴーダンスでもいけそうな軽いノリの曲なのだが、トムの声にはどこか冷酷で冷めた雰囲気を醸し出しており、スレイヤーの楽曲の中でも非常にユニークなナンバーだ。




彼の捲くし立てるような吐き捨てヴォイスもいいが、このようにクールに歌う声もまた魅力なのである。
それにこの曲の時のデイブ・ロンバードのドラムがまた凄い複雑なのだ!前作よりもキレがあるし、尚且つ安定していてかなりの存在感を放っている。かつてスレイヤーとは犬猿の仲だったデイブ・ムステインが、「デイヴのいないスレイヤーなんて怖くない」と明言していたこともなずける話である。
そしてライブでは必ず演奏されるミッドテンポの#5.“MANDATORY SUICIDE”もトムの冷酷な歌い方が光っており、ザクザクと刻まれるリフに乗せてつぶやくように歌う後半の雰囲気はもう鳥肌ものだ!!

もちろんスピーディーな曲も存在していて、ちょっと忘れられがちと思われるのが#6.“GHOSTS OF WAR”。もうスレイヤー節全開の曲で、デイヴのタメを効かしたドラミングも素晴らしく、まぁ個人的にはスレイヤーのスピードナンバーの中でも5本の指に入る名曲なんじゃないかしら。




このアルバムの唯一の汚点はジューダス・プリーストのカヴァー#9.“DISSIDENT AGGRESSOR”。
なんでこれを入れたんだ?

とにかくクリーン、ユニーク、(スレイヤーにしては)メロディアスなスレイヤーの作品の中でも一番の異色作でありましょう。
それとジャケットデザインも非常に冒涜的で素晴らしい。一番好きかも。


さて、いよいよ明後日です。スレイヤーのライブは過去2度行きましたが、全てポール・ボスタフの時代でした。
いやポールのプレイには十分満足していたのですが、やっぱり死ぬまでに一度は見ときたいじゃないですか!デイヴ・ロンバードの生プレイを。
なんの曲をやってくれるんでしょうか?やっぱデイヴ時代の曲、新作の曲中心ですかね。
でも私新作からはあんまりやってほしくないな。なんか今回のはつまんない。結局は3rdの二番煎じでしかない。
『REIGN IN BLOOD』みたいなアルバムは一枚だけでいいんです。
あのアルバムはどうあがいても超えられないっしょ。


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ラウドパーク特集 第5回~MEGADETH~

2006年10月14日 | やっぱりメタル!!
とうとう今日から既に始まってんですよね!
LOUD PARK 2006!

しぇ~~先日のフィオナのことで頭いっぱいでMEGADETHの記事が当日投稿になっちまった。
だからできるだけ簡略して語ることにしよう。


メガデスの黄金期メンバーといえば、マーティー・フリードマン(g)、ニック・メンザ(dr)がいた頃というのが世間一般的だが、私にとってはクリス・ポーランド(g)、故ガル・サミュエルソン(dr)の時、つまりオリジナルメンバーの時が正に黄金期時代なのであります。

1st『KILLING IS MY BUSINESS...AND BUSINESS IS GOOD!』は、楽曲群は素晴らしいのに音質が劣悪で誠に残念な作品であった。
そして、見違えるかのように音質が良くなった2nd『PEACE SELLS...BUT WHO'S BUYING?』がメガデス史上最高傑作なのは誰が聴いても明らかでしょう。
メタリカのラーズに「デイヴを誇りに思った」と言わしめたこの作品は、私がコンパクト・ディスクとして買った最初のアルバムということでも非常に思い入れが深い作品でもあるわけで。




出だしから凄まじい勢いで展開する間奏部分が殆どの大胆かつインテレクチュアルな#1.“WAKE UP DEAD”からして凄い!
恨めしげなデイヴの唸るような歌いっぷりが超イカつくて、ギターソロがまたスリリングでカッコいい#2“殺しの呪文”。メガデスの代表曲にしてヘドバンソングの#3.“PEACE SELLS”。そしてガルの金属質なドラミングに最高級にソリッドなリフの#4.“悪魔島”と、この怒涛の4連発は痛烈な殺傷性を放っている!

当時このPV観た時は衝撃だったなぁ~、「参加して~~」って感じで。


とにかく、この頃のムステインの「殺しますよ。」と言わんばかりの極悪な殺気立った歌い方が好きだ。
この荒びきった餓えた野獣のような獰猛さが今のメガデスにはない魅力であった。
演奏技術はバリバリ長けているのに、テクニックを見せつけるというようないやらし感がない。まぁジェフ・ベックのカヴァー“迷信の恐怖”(確か昔CMソングに使われてましたよね?)ではジャズの要素なんかもチラリと垣間見せてはいるが。
ラストを飾るウットリするよな美しいクラシカルなギターとベースの三重奏で始まる流麗ながらにイケイケの“MY LAST WORDS”も秀逸すぎる。




ギターの講師であったジェフ・スコットと、ガルのローディーだったチャック・ビーラーが在籍してた唯一のアルバム3rd『so far,so good...so what!』も2ndの次ぐらいに好きなアルバム。




渋いアコースティックのカッティングフレーズから始まるインストナンバー“INTO THE LUNGS OF HELL”から間髪入れず“SET THE WORLD AFIRE”に繋がっていくこの流れからして、いよいよインテレクチュアル・スラッシュ・バンドとしての進化が顕れている。




SEX PISTOLSのアナーキーをカヴァーするなど、コマーシャリーな一面もみせてはいるが、デイヴの恨み節はまだまだヤワにはなっていない。
ムステインが終盤でこれでもかーつーぐらいボロクソに悪態を吐きまくる(よう息もつなぁ)“LIAR”。そして出だしのリズム隊のみで疾走する中、デイヴが皮肉たっぷりにPMRCを痛烈に糾弾した“HOOK IN MOUTH”は抜群にカッコいい最強の激走スラッシュナンバーだ!!




まぁ私が昔編集したメガデスベストテープ『MEGADETH IS MY BUSINESS...AND MEGADETH IS GOOD!』には、やはり上の2作品の曲ばかりがチョイスされてましたね。


『RUST IN PEACE』~『CRYPTIC WRITINGS』までの作品ももちろん好きですよ。
やっぱムステインの作る楽曲はクオリティーが高く美しく素晴らしい。
ただ昔のようなハングリーさ、尖がり感がなくなり、丸みを帯びたようになってしまった。デイヴの声もかわいくなっちまったしね。
この辺のアルバムからライブで演って欲しい曲は“ASHES IN YOUR MOUTH”ぐらいかな。
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ラウドパーク特集 第4回~ANTHRAX~

2006年10月11日 | やっぱりメタル!!
実は今回のラウドパークで私が最も楽しみにしているバンドが、ANTHRAX
なぜならスラッシュ四天王の中で、唯一1度も生ライブを見たことがないバンドだから。
といってもスコット“ノット”イアンとチャーリー・ベナンテの2人はS.O.D.初来日ライブの時に一度拝見いたしましたが。
さらに今回はあの黄金期メンバーが全員揃うということで、期待感も一潮なんです。




アンスラックスは他の四天王バンドと比べて、ニューヨークハードコアの影響もあるのか、妙に明るいというか軽い。
軽いといってもスコットのリフは最強にアグレッシヴだし、なんといってもこのバンドのリズム隊は皆ツワモノである。
チャーリーのドラミングは超パワフルでスピーディー。フランクのベースもスラッシュメタルにしては圧倒的な存在感を放っている。

アンスラックスは1st『FISTFUL OF METAL』の段階ではどちらかというとスピードメタルバンドであった。
あの甲高いニール・タービンのハイトーンヴォーカルに、クリーンでシャープなサウンドで、楽曲もかなりオーソドックスなメタル。
まぁこの頃はダン・リルカなんかも在籍していたし、全く別物のバンドと考えると決して悪い作品ではない。
“DEATHRIDER”や“METAL THRASHING MAD”のアグレッシヴ感は今聴いても強烈だ!




そこにハードコア・パンクのノリの軽さ、スピード感、ヘヴィな音圧を加えることによってアンスラックスをスラッシュメタルバンドへと変貌させたのが2ndその名も『狂気のスラッシュ感染』だ!
ヴォーカルもジョーイに交代したことにより、歌がクリア且つ聴きやすさが出た。てゆーかこの頃のサウンドにまさにピッタリの声だった。




そして2ndのバラード的な部分を完全排除し、歌メロ要素を極力押さえた全編スラッシュ一点張りのまさにアンスラックスがピークに達したともいえる最高傑作『AMONG THE LIVING』を完成させるのである!
このアルバムを聴いて頭を振らないことがあろうか?!(いや、ない)このアルバムを聴いてモッシュしないことがあろうか?!(いや、ない)
もう何も語るまい。聴けばわかることだから。




あと、メタルにラップ要素を加えるバンドなんて今じゃゴマンと存在するが、その手法をアンスラックは80年代中期から既にやっおったんですね~
ジョーイ、ダン以外のメンバーがMCをとる“I'm The Man”を聴いたときは、ラップ嫌いだった私もこの楽曲のセンスの素晴らしさには感服したものである。
ジョーイはこの曲ではドラムを担当。




まぁアンスラックスは元々こういった遊び心の多いバンドで、その辺が彼らのサウンド面に軽いなぁ~という印象を与えている点なのかもしれません。
その後のヴォーカルがジョン・ブッシュに交替してからの作品は全然聴いた事ありません。別にジョンが嫌いというわけじゃあないんだけど(彼の歌はアーマード・セイントで聴いていたからね)、4thから楽曲が急激にパワーダウンしてしまって、もうこれ以降のアンスラックスの作品に期待が持てなくなってしまったので。

今思えば、私の中では一気に燃え上がってすぐに冷めたウスバカゲロウのようなバンドだったな~
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ラウドパーク特集 第3回~DIO~

2006年10月10日 | やっぱりメタル!!
本題に入る前にちょっとご報告をば。
昨夜ヤフオクで、格安のラウドパーク大阪公演2日通し券を競り落とすことに成功しました。
ラウパーに参戦しちゃうことに相成りました。
さ~て、どのメタルTシャツ着ていこうかなぁ~、ドキドキドキ・・・ワクワクワク・・・


さて、今日はおそらくラウドパーク最年長出演者であろうメタル界の魔術師?DIOさんについて。
彼の音楽に初めて出会ったのは映画『ヴィジョン・クエスト』のサントラに収録されていた“Hungry for Heaven”のスタジオテイク。
その次がロニー主催のメタル版USA・フォー・アフリカ”Hear and Aid”のVAアルバム『STARS』に収録されていたのがやはり“Hungry for Heaven”のライブテイクだった。




そしてメタル仲間とのMTVのメタルPV鑑賞会で、初めて動くロニーを見たのがやはり“Hungry for Heaven”のライブ映像だった。
中学の頃ツレの部屋では毎日のようにメタルPV鑑賞会が繰り広げられており、DIOの“Hungry for Heaven”のPVになると、突如みなで雨戸を閉め切って部屋を真っ暗にし、PVに出てくるステージ後ろのDIOのロゴの電光板がくるくる回ってるのをイメージして、クリスマス用のサンタの電飾をピカピカ光らせてみんながみんなメロイックサインを出し合ってロニーになりきっていたものだ。




さて、そんなアホなメタル少年時代の思い出話はおいといて・・・
実は私、それほど彼参加の作品は持ち合わせてなくて、RAINBOW時代の『虹を翔る覇者』、『バビロンの城門』、そしてサバス時代の『Heaven and Hell』と『悪魔の掟』くらい。
なんてゆうか彼の声は私には少し暑苦しすぎるといいうか、ようはそれほど好みじゃないんだな。




そんなロニー苦手な私でもこれはよく聴いたという作品があって、まぁDIO名義のアルバムはこれ1枚しかもってない。
それは『DREAM EVIL』という少しダーク色の強い作品。




これはロニーの歌いっぷりもクールな感じで聴きやすいし、なんといってもクレイグ・ゴールディのシャープかつスリリングなギターワークが非常にカッコいい!!もう一発目の“Night People”のギターソロの時点でやられました。
#3.“SUNSET SUPERMAN”の「シュッシュッシュババ~♪」な歌いっぷしもユニークだし、PVにもなったバラード曲#4.“ALL THE FOOLS SAILED AWAY”では、ロニーの透き通るような美しいクリスタルヴォイスがただの暑苦しいメタルヴォーカリストではないという事を証明しているし、クレイグの泣きのソロといい、クラシカルなキーボードソロといい、これぞ様式美!な名曲である。
#6.“OVERLOVE”のクレイグのシャッフリーなバッキングギターも抜群にカッコよい。



まさにドリーム・イーブルなジャケットはいささか稚拙な感じではあるが、この作品の雰囲気をよく表しているのではないかと。
ベッド下からどさくさにメロイックサインも出とるし。
ちなみにベッドの上で笛を吹いている魔物はロニーが昔在籍していたELFの1stアルバムで登場したロニー自身がモデルになっているエルフ君らしいのがなかなか興味深い。
てゆーか彼は多分ホンモノのエルフなんじゃないかしら?




いやしかし、まさか生のロニーを拝める事になろうとは夢にも思ってなかったな。
今回は何の曲をやってくれるのだろうか?
“Kill The King”とか演るんだろうなぁ、RAINBOWに未練タラタラな彼のことだしね。
とにかく、当日はみんなメロイックサインで盛り上がろうぜ!!
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ラウドパーク特集 第2回 ~CATHEDRAL~

2006年10月09日 | やっぱりメタル!!
さて、LOUD PARK特集第2夜は、霊妙なる造物主、あるいはおそろしく陰鬱な救済者ともいうべき窮極のドゥームメタルバンド、CATHEDRALについて語ることにいたそう。

CATHEDRALは(“カテドラル”と読むのか”キャッシードラル”と読むのか筆者自身未だ困惑している)元NAPALM DEATHのヴォーカリストであるリー・ドリアンマーク・グリフィンが中心となって1989年に結成された。
ギタリストは元ACID RAINのギャズ・ジェニングスアダム・レハン、ドラムは最初ベン・モックリーが叩いていたが、1stレコーディングではマイク・スメイルがゲスト参加。その後アンディ・ベイカーが正式加入したがリーと口論となり、(その口論の内容とはウソか誠か「CANDLEMASSとTROUBLEとどっちがヘヴィか」というアホみたいな事だったとか)間もなく脱退してしまったそうな。

彼らの音楽性を一言でいえば“陰鬱”。
これまでやってきたグラインド・コアの速くて短いという音楽性を嘲り笑うような超スローテンポさ、そして奈落の底に沈んでいくような絶望的な暗さ、当時1stアルバム『この森の静寂の中で』をジャケ買いして聴いた時はこのあまりのスローテンポさに目が点状態。聴く度に毎回意識を失ってしまうという始末であった。




そしてしばらくCATHEDRALからは遠ざかっていたのだが、2nd『デカダンス(The Eternal Mirror)』を聴いた時はすぐに飛びついた!

これぞ正に私が当時CATHEDRALに求めていたサウンドだった。



中期サバス色の強いミッドテンポのヘヴィサウンドに、リーのヴォーカルの表現も広がりをみせ、なによりも楽曲が非常に垢抜けとっつき易くなった。
とくに遊び心が爆発したファンキーナンバー“MIDNIGHT MOUNTAIN”は、彼らの名を一躍有名にさせた楽曲といえよう。
当時バンド組んでたギターのやつも大そう気に入り、ふたりでこの曲をコピーしたりもした。




それから私はCATHEDRALに夢中になり、もちろん93年のBRUTAL TRUTH、SOBを伴った、彼らの初来日公演にも足を運んだのだが、このライブを見て、私の嗜好にまた新たな衝撃が襲った!
それはラストに演奏された“EQUILIBRIUM(静謐)”を聴いた時だった。
後半で展開されるギターフレーズのこの終末的な雰囲気の不可思議な魅力に私は吸い込まれるかのように酔わさてしまったのだ。もう完全にノックアウトだった。
そこで私ははたと気づかされたのだ。
1stに秘められていた楽曲のおぞましくも陰鬱なる魅力というものを!!




ライブを見終わった後、私は1st『この森の静寂の中で』を毎日とり憑かれたように鑑賞し、聴けば聴くほどにこのアルバムの魅力に溺れていった。
まずM1.“弔儀”のイントロの美しくも怪しいアコースティックにフルートの音色は、まるでこれから陰鬱なる御伽の国に案内されるかのような不吉な予兆を感じさせる。
引きずるようなドロドロした演奏にリーの歌うというより、牢獄の中で絶望に喘ぐようなヴォーカリゼーションは強烈である。
M2.“黒き涙に溺れて”のイントロでグリフィンの陰鬱なベースから、突如バケモンが飛び出てきたかのようなリーの絶叫には心底ビビらされる。
M3.“蛇眼”は、これはもう暗黒密教の究極の背徳的宗教賛歌と呼ぶべき曲である。途中のリーの歌メロの絶望的な哀愁感といい、後半の大蛇召喚の呪文を唱えているかのような呻き声は戦慄すら覚える。
M4.“生贄”は、アルバムの中では比較的テンポの速い曲で初めての方でもとっつきやすいかも・・・
ただし2ndの曲のような生易しい曲ではないと言っておこう。
M5.“最期の願い”は、2ndのボーナストラックに93年ヴァージョンが収録されているが、イントロでのピロ~~ンという歪んだギター音や、最後に効果的に挿入されるアコースティックギター音の絶妙な味付けが施されているオリジナルの方が圧倒的に魅力的である。
M6.“静謐”はなんといっても後半の百鬼夜行のようなギターのフレーズ、そして絶妙なタイミングで挿入されるあやかしのオルゴール音が実に効果的である。
ラストの9分にも及ぶ“苦しみに耐え、幸福に至る”は、幻想的なシンセサイザーとフルートの音色が奇妙に乱れ狂う中、リーがもうこれでもかと嘆きに嘆き喘ぐという絶望的な哀歌で、CATHEDRALの曲の中でもより陰鬱さを極めた窮極のドゥームナンバーであろう。

この一切の妥協を許さぬ陰鬱さに徹底し、その中でシンセ、フルート、アコースティックといった幻想的な音色を効果的に施すことにより恍惚感すら覚える耽美さをも表現しているこの異形のモンスターアルバム。
これはもう一種のプログレ作品であるといってよいだろう。




確かに2nd、3rdも悪くはない。
だが、しかし!1stアルバムにこそドゥームメタルたるCATHEDRALの真の魅力、神髄が秘められているのだ!!と私は思うのである。
そしてまたこのアルバムの素晴らしい邦題や二人称を“汝”とか“そなた”と表記する尊厳なる対訳を施してくださった秋山幸子さんにも敬意を表したい。


この1stと共に2ndのメジャーな音楽性へと以降しつつもまだ1stでのドゥーミーな体質を失っていなかったミニアルバム『SOUL SACRIFICE』も合わせてオススメしておこう。

そなたの忍耐強さと秘められた暗澹たる内向的暗黒面を試すいい機会となるやもしれません。

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ラウドパーク特集 第1回~NAPALM DEATH~

2006年10月08日 | やっぱりメタル!!
さて、LOUD PARK特集第一弾は、英国産グラインド・コアの元祖的存在NAPALM DEATHをご紹介することにいたしましょうか。

まぁ一般的なメタラーの間では、1秒(といわれているが実際は2秒)という史上最短曲“You Suffer”ぐらいの認識しか持たれてないかと思われますが、私は当時このネタオンリーの評判が気に食わなかったし、S.O.D.が85年に既に“Diamonds and Rust(Extended Version)”という実質2秒の曲をやっていたのを聴いていたので、たいした驚きもありませんでした。
私はなぜかNAPALM DEATHの作品を6枚も所持しておるんですが、まぁほとんど把握できておりません。
私にとってNAPALM DEATHはちょっと難解というか、いくら聴いても中々頭に入ってこない雲の上、ではなく泥沼の底のような存在なんですなぁ。だからこそ挑戦し甲斐のある生涯における研究テーマ的な存在でもあるのです。

一番最初に買った4曲入りミニアルバムは結構聴いてましたが、その次に購入した1stと2ndとのカップリング+ボーナストラック計55曲入りの『SCUM+FROM ENSLAVEMENT TO OBLITERATION』は当時の私にはとても手に負える代物ではございませんでした。
このアルバムは段階的な手順を踏まえないとまず最後までは集中力が持たないです。


ま、とりあえず2ndの曲は置いといて、全28曲入り1st『SCUM』を聴いていってみましょうか。



そこからさらに後半16曲を切り離し、アナログ盤ではA面にあたる最初の12曲をまず認識する必要があります。というのもこのアルバム、最初ニック・バレン(b,vo)、ジャスティン・プロードリック(g)、ミック・ハリス(d)の3人編成でレコーディングがスタートしたのですが、途中創始者のニック、そしてジャスティンが脱退してしまいB面録音の時点で既にオリジナルメンバーがひとりも残ってないという、クリムゾン顔負けの状態となっておったのです。




そして新たにジム・ホワイトリー(b)現CATHEDRALのリー・ドリアン(vo)、CARCASSのビル・ステアー(g)が加わり、B面を録音したという実に波乱に満ちた経緯を辿っておるんです。

自ら“SCUM(カス)”呼ばわりなこの1st。ノイズ音と共にニックの宣戦布告のような連呼で幕を開け、荒削りなハードコア・パンキッシュサウンドでノリノリかと思いきや、突如怒涛のブラストビートでうぢゃ~~~~!!と畳み掛けるといった感じのが繰り返される。
この時点ではグラインド・コアらしさを放っているのは、ミックのトチ狂ったようなブラストビート乱れ打ち業くらいで、どちらかというとパンク色の方が強いという印象がある。
個人的にはこのチープさ加減が最近のNAPALM DEATHよりかは遥かに好みで、歴代ヴォーカリストの中でもニックの声が一番好きだったりする。




13曲目からはB面に突入し、曲構成自体はまぁ前半とだいたい同じ(そりゃそうだろ、同じアルバムなんだから)なのだが、サウンドが若干重くなっている。
演奏スピードも微妙に速度を増しており、グラインド色が20%くらいアップしているように見受けられる。
引継ぎのリーのヴォーカルもドスが利いており太い。現在はデス声をマーク・バーニーが、高音発狂ヴォイスをミッチ・ハリスが担当しているようだが、リーは当時その両方を担っていた。
超スピード感、ニブり気のある重さ、そして極端にして曲短!この時点でNAPALM DEATHはグラインド・コア・バンドとしてのスタイルを既に確立していたといってよいのではないでしょうか。


2ndではジムが抜け、UNSEEN TERRORでドラムを叩いていたシェーン・エンバリーがベーシストとして加入している。
彼は現在では唯一残っているメンバーで長老的存在となっている。
本作は正直殆ど聴けてないんだが、強いて言うなら、ここでも実質2秒の曲”Dead”が”You Suffer”より好きかな。

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スラドミ特集最終回~ONSLAUGHT~

2006年09月16日 | やっぱりメタル!!
さて、スラドミ特集もいよいよ最終回となりました。
最後は英国が生んだ数少ないスラッシュメタルバンドONSLAUGHTでしめたいと思います。


彼らの作品を初めて聴いたのは、高校生の時どっかの中古屋で見つけた『THE FORCE』というVapレコードから発売された2ndのアナログ盤でした。




今回のスラドミではこの時のヴォーカリストサイ・キーラーを再起用ということらしいので、このアルバムの予習はしていった方がよいかもしれませんが、実にパッとしないC級スラッシュアルバムで、私自身5回も聴いてないと思います。
この頃の彼らは悪魔崇拝を掲げていたようなバンドで、まぁ初期スレイヤーの劣化版といったところでしょうか。
まぁVENOMとかRAVENに影響を受けた黎明期のスラッシュメタルの典型という感じ。




メジャーレーベルと契約を交わすため、ヴォーカルをサイから元GRIM Reaperのスティーヴ・グリメットに交替させて出来上がった3rdアルバム『IN SEARCH OF SANITY』では、「え?ホンマに同じバンドかいな?」ちゅーくらい全くの別モノバンドへと生まれ変わっておりました。



スティーヴの歌声はハイトーンでメロディアス、そこにキレのあるリフがアグレッシヴ且つクリーンに刻まれるという、かなり整合感のある内容でとにかくバンド全体の演奏力、そして楽曲が抜群にレベルアップしている。
ただスラッシュアルバムとしては全体的に整いすぎており、重さがなく軽いサウンドでどちらかといういとパワーメタルより。それに曲構成がワンパターン。かなりレパートリーが乏しかったと思われる。
だからだろうか?AC/DCの“LET THERE BE ROCK”、そしてANGEL WITCHの“CONFUSED”の2曲のカヴァーが収録されている。



まぁしかしシングルカットされた“SHELLSHOCK”は抜群にカッコいいアグレッシヴナンバーだし、AC/DCのカヴァーもオリジナルと言っていいほどセンス抜群のアレンジ。
スラッシュにはタブーな長尺のバラード曲“WELCOME TO DYING”も、これはグリメットのメロウなVoセンスが良かったのだろう、殆どのスラッシュバラードを好きになれない私が12分という長ったらしさにも関わらず、結構聴き応えを感じさせたのは驚くべき事である。




この3rdアルバムは結構売れたみたいですが、スティーヴはこの一枚に参加しただけで脱退。その後ライオンズハートに加入したのはご周知の通りである。バンド事態もこれをもって解散してしまっている。
今思うのですが、スティーヴ・グリメットちゅーヴォーカリストはいい声してるんやけどバンドに加入してはアルバム一枚で脱退しその後バンド自体も解散してしまうという、なんか貧乏神みたいな人でしたね。





あとオンスロートというバンドは主体性がないというか、ポリシーみたいなもんがあまり感じられない。
1stでリードヴォーカルしてたやつが2ndでベーシストになったり、ヴォーカルだけでも3人交替しているし、サイはメジャーと契約するためクビを切られコケにされたのにも関わらず再び舞い戻ってくるやなんて、こいつ自身もポリシーのカケラもないやっちゃな~って。
んで今頃になって再結成するって、どういうつもりなのだろうか?こんなバンドにファンが着いてきているとは思えないし、そもそもファンがいるのかどうかすら怪しいとろこである。


VENOMとDRAGONLORDに関してはアルバム一枚も持ってないので省かせて頂きました。すみません。

てゆーか今日でしたっけ?スラッシュ・ドミネーション1日目。
参加される皆さん、私の分もモッシュしてきておくんなせい!ステージダイヴしてきておくんなせい!ヘッドウォーキングしてきておくんなせい!

THRASH TILL THE DEATH!!
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スラドミ特集 第2回~SODOM~

2006年09月14日 | やっぱりメタル!!
さてスラドミ特集第二夜は、お待ちかねジャーマンスラッシュメタル界の重鎮SODOMでございます!
と言っても私SODOMは2枚のアルバムしか聴いたことがなく、全国のソドマニアの皆様からお叱りを受けるかもしれませんが、あの名盤と誉れの高い『AGENT ORANGE』すら持ってなくて全然語れないのですけど・・・


SODOMとの出会いは高校生の時、その頃ちょうどメタルマニアシンジケートなるテイチクのメタル企画が大いに猛威を振るっていた時代で、私もここの会員に加入していた恥かしい過去がある。
そんなある日私がたまたま立ち寄った中古屋で見つけたアルバムが『BETTER OFF DEAD』であった。




このアルバムはヘヴィネスさに重点を置いた明らかにNWOBHM、特にモーターヘッドの影響をもろに受けた、まぁその辺の先輩バンドに敬意を表したオマージュ的な、SODOMの中でも比較的ポップな作品なのではないだろうか?
モーターヘッドの弟分的存在であったTANKの“TURN YOUR HEAD AROUND”や、THIN LIZZYの“COLD SWEAT”をカヴァーしていることからもそれが窺えるし、“THE SAW IS THE LOW”のドロっとした歌い方とグルーヴ感、ラスト曲“STALINOGEL”の出だしのベース音、そしてこの爆走感はモーターヘッドそのもの。トム自身も自分の声がレミー・キルミスターに似てるって言われることに大そうよろこんでいたとかいないとか。




もちろんこのアルバムにはこれぞソドム!!な超スピーディーな曲も存在する。
クリス・ウィッチハンターの疾走するドラミングに、マイケル・ホフマンの印象深いリフがカッコよすぎる“SHELLFIRE DEFENSE”や、トムがあらゆる極悪非道な単語を捲くし立てるイカツさ200%のタイトル曲“BETTER OFF DEAD”はその最たるものであろう。




その他“RESURRECTION”のグルーヴ感と、ラストのコーラスを入れてくるセンスも秀逸で、とにかくこのアルバムは私の中ではあらゆるメタル作品の中でも名盤として今なお輝きを放っている。


その次の作品『TAPPING THE VAIN』は、スピーディーな曲で塗り固められた剛速球アルバムだが、なぜか私の中には全く入ってこなかった。それ以降の作品には全然手をつけずじまい。

私がこれだけ『BETTER OFF DEAD』にハマったのは、やはりNWOBHM趣味とMOTORHEAD嗜好がこのソドムのスラッシュ性にシックリきていると感じたからだろう。
つーか80年代のスラッシュバンドの殆どがNWOBHMの影響下にあるかと思われるが、それが特に顕著だったのがこのソドムであり、このアルバムだったんじゃないかなぁ~
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スラドミ特集 第1回~DEATH ANGEL~

2006年09月13日 | やっぱりメタル!!
今週末はいよいよTHRASH DOMINATION 2006が開催されますね!

スラッシュ万歳!!
スラッシュ最高!!

そこで今週はスラドミ週刊ということで、今年出演のスラッシュメタルバンドをピックアップしていきたいと思っております。

ちなみに今回私は参加いたしません。


まず第一弾としまして、ベイエリアの星DEATH ANGELについてお話しましょうか。

私が彼らの音と出会ったのはやはり中学生の頃、ある日スラッシュ仲間の中でもベイエリアクランチフリークのナガモが2枚のLPを引っさげてやってきました。
1枚はTESTAMENTの1st『THE LEGACY』、そしてもう1枚はDEATH ANGELの1st『THE ULTRA-VIOLENCE』でした。



今ではどちらも甲乙つけがたいベイエリア屈指の名盤なんですが、当時の私はTESTAMENTよりも断然DEATH ANGELの方が大変お気に召しまして、ナガモからテープにダビングしてもらったものを繰り返し繰り返し聴いては頭を激しく振りまくって首筋を痛めておりました。
このいかにも「スラッシュしてまっせ!」と言わんばかりの白を基調とした荒廃的ジャケット、暴力的なリズムに荒削りでエッジを利かせたリフワークにヴォーカルのヒステリックな絶叫。
正にスラッシャーの、スラッシャーによる、スラッシャーのための、スラッシュメタルアルバムなのです。

当時のメンバー達の平均年齢が17歳というのにも驚かされました。
その中でもドラマーのアンディ・ガレオンはこの時まだ14歳!!私と同い年である。
オリジナルメンバー全員がフィリピン系アメリカ人の親戚同士で、まぁ共同体的な環境だったんだろうね。




のっけから7分もあるひたすら突っ走るその曲名もM1“THRASHERS”。リードヴォーカルをとるのはベースのデニスとギターのロブ。歌詞カードには「Vocals Dennis and Rob」としか記されてなく、私は最初歌詞だと思って楽曲に合わせてこの一文を歌っていてツレに大爆笑されたのを憶えています。
PVも作成されたM3“VORACIOUS SOUL”では、激しくリズムセクションを変則させ、ロブがなんともユニークなギター技をちくいち挿入する。
PVではフロントの3人が頭がもげそうなくらい激しくヘドバンし、客席もモッシュの坩堝と化している。スケボーに興じたり、罰当たりにも公共の墓の上とかにメンバーが腰を下ろしていたりと、いろんな意味でショッキングな映像でした。




そしてカーク・ハメットがデモをプロデュースした名スラッシュナンバーM4“KILL AS ONE”。
この曲でヴォーカルのマーク・オセグエダが「ンギャアアアアアア~~~~!!!」とブチかます超ド級のヒステリックな金切り声は絶品。ライブではもちろん「KILL!!AS!!ONE!!」の大合唱が起こること間違いないだろう。
M5は10分にも及ぶ大胆不敵なインストタイトルナンバー。意外とシッカリした構成力を持っており、ここでもロブのギターが暴れまくる。一昨年のスラドミでは1曲目にこの曲のイントロで幕を開けたのには感激しました。
その後もアドレナリンがドバドバと噴出するようなスラッシャー泣かせのナンバーが続き、ラストの2分にも満たないリフ構成のみのインストナンバーまで息つく暇もなく一気になだれ込む。
オチはメンバーのヘンチクリンなラップ(?)で幕を閉じる。


とにかく若さゆえに溢れ出すエネルギー、そして怖いもの知らずな大胆不敵さがこのアルバムをよりスラッシーな名盤に仕立て上げているのだと思われます。
そして小手技を利かすロブのギターのテクニックとセンスが、各曲にとてつもなく個性的なインパクトを与えておるのです。

ただ、そのロブの幅広い技量と冒険心が災いし、1stであれだけ尖がったスラッシーな名盤を作ったのにもかかわらず、これ以降の作品はどうしようもなく迫力を失った中途半端なミクスチャーファンクスラッシュと変貌していくのでした。


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ジェシーの屍体は蘇らないけれども・・・

2006年09月04日 | やっぱりメタル!!
さて、今夜も故ジェジー・ピンタード追悼企画として彼の参加作品について熱く語りたいと思います。

彼のバンド経歴を語る上で、NAPALM DEATHより忘れてはいけないバンドがある。

それは、そう!あの激速グラインドコアバンド、TERRORIZERである!

私が彼らの音楽に触れたのは“聴覚刺激”をモットーにしていたレーベルEaracheのコンピレーションアルバムに収録されていた名曲“DEAD SHALL RISE(邦題「蘇る屍体」)”を聴いた時だった。





この曲は正に私の聴覚のツボを鋭利な刃物で突くような衝撃ナンバーだった。
そしてメンバーにあのデスメタル界の帝王MORBID ANGELのリズム隊ピート“コマンド”サンドヴァル(dr)そして、デヴィッド・ビンセント(b)が在籍していたという事実を知り、即彼らのフルレンスアルバム購入に踏み切ったのであった。


曲展開は初期ハードコアパンクの流れを汲んでおり、サウンドは実に80年代ガレージパンク的な音色で、ジェシーのギターは疾走感のあるジャキジャキサウンドをひたすら刻んでいる。もちろんソロは皆無。
デヴィッドのベースは図太くブリブリ唸りを上げ、Voのオスカー・ガルシアはどこどこまでも低音なダミ声を発し続ける。
そして圧倒的存在感を放っているのはなんといってもピートの超絶ドラミングである!
MORBID ANGELではマシーンのような非人間的なプレイが彼の特色であるが、ここでは若干人間らしさが具わっており、ハイハットオープンな荒々しいリズム、チャイナシンバルしばきまくりーのそれでいて正確無比かつ超スピーディーな彼のブラストビートには野獣のごとき獰猛さがみなぎっている。
信じられない事だが、当時ピートはまだツインペダルを習得しておらず、全て片足だけでこのマシンガンバスドラミングを刻んでいるのだとか!!(本人談)
まぁこの逸話は多少眉唾物だが・・・いずれにせよ彼の足技が凄いことには変わりはない。
ちなみに私はどちらかというと、モビエンのよりこちらの方のピートのドラムプレイが好きである。


あとこの作品が優れているのは、全16曲もある楽曲がそれぞれシッカリとした特色を持っているっていう奇跡である!
もう1曲目の“After World Obiteration”から曲の半分を占めるイントロで、ジェシーはこれでもかーちゅーくらいカッコいいリフアレンジを盛り込んでいる。
ただただ突っ走るのではなくそこにはちゃんとした、まぁ計算はしていないだろうが、偶発的にせよ絶妙なリズムセクションが存在しているのである。
それが特に顕著なのは、典型的なハードコアパンク的展開のM3“Fear of Napalm”、恐らくオールドスラッシュファンにはツボであろうM4“Corporation Pull-In”、ミドルテンポだが印象深い曲調のM9“Enslaved by Propaganda”等々、挙げていけば枚挙に暇がない。
あのS.O.D.の不朽の名作『SPEAK ENGLISH OR DIE』とタメを張れる唯一の作品だといっても過言ではないだろう。
これが1989年の作品ってんだから、ほんと信じられない。




今考えると、このバンドはまさに奇跡のスーパーバンドだったと思う。
ジェシーのリフ構成のみでこれほどまで説得力のあるギターセンス、ピート、デヴィッドのリズム隊はどのデスメタルバンドよりも脅威的存在感があった。
80年代だからこそ表現できた加工されすぎないこの生々しいサウンドは貴重だし、どれだけ技術が進歩しようが機材が良かろうが現在のデスメタルバンドでは到底太刀打ちできないアグレッシヴ感とセンスがこの作品にはある!!

とにかくこのアルバムが永遠のマスターピースであることは間違いないだろうし、故ジェシー・ピンタードの最初にして最高傑作品であると私は思うのである。

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