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AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

サイテーマンガ

2014年09月28日 | 二酸化マンガ
先日の名古屋遠征の行きし、四日市市街の1号線の大渋滞に巻き込まれイライラしてたので(ケチって下道で行くから・・・)、出発前にポストに投函されてた田中圭一氏のマンガ『神罰』を熟読して精神の安定を図っていた。
いわゆる下ネタマンガで、私が下系のマンガ本を購読することは滅多になく、徳弘正也の『ふんどし刑事ケンちゃんとチャコちゃん』、あるいは相原コージの『神の見えざる金玉』以来であろうか。

田中圭一のタチの悪いところは、巨匠クラスの漫画家の作品をパロディ化してドギツい下ネタを描くという点にある。
特にベースになってるのが手塚治虫キャラで、以前奈良のヴィレッジ・ヴァンガードで本書を見かけ、冒瀆的というか、その大胆不敵なカヴァーイラストにただならぬ魅力を感じ、いつか購入してやろうと思ってて気づいたら10数年の歳月が過ぎていたのであった。

おふざけ感が甚だしい。


田中圭一氏。世の中なめきっとんな。


中身は田中氏が自ら提唱するように、頭おかしいんちゃうか?と思うくらい下ネタ満載のサイテーマンガである。
もし、彼の親がこのマンガを見たら感動するどころか、勘当することは間違いないかと。
まぁ漫画家ってのは、自分の妄想を原稿用紙に具現化して商売にしてるってよく言うけど、ここまで己のヨゴレ感覚を曝け出してもよいものかと。中学生じゃあるまいし。
終盤に掲載されている『局部くん』シリーズなんてサイテーの極みで(ホンマにナニが主人公)、いや、これ、完全にアウトとちゃうか?っていうぐらいの猥褻描写で、全編に渡ってモザイク処理が施されてもおかしくないオゲレツ極まりない内容である。


キャラデザインは基本手塚タッチなのであるが、本宮ひろ志、藤子不二雄、永井豪など、様々なキャラ画で下ネタパロディマンガを楽しめる内容となっており、手塚マンガをパロディ化した話は本編には出てこず、実は表紙カヴァーの裏に一作だけシークレット掲載されてある仕掛けとなっている。

内容はギャルゲーネタ。「次は、奇子だ」ってセリフがディープ。


確かに冒瀆的で下品でサイテーのマンガだ。
当時『ジャングル大帝』のアニメ作品に感銘を受けた人は、これ読んで怒り狂うかもしれない。
まぁ『鉄腕アトム』、『ブラックジャック』、『リボンの騎士』ぐらいしか手塚マンガを知らないって方は、「手塚治虫=健全」というイメージを持ってて、テレビやマスコミもそういう部分しか見せない。
しかし、手塚マンガを数多く読み込んでいる人なら、みんな知っている。
手塚先生が実は、とんでもないエログロナンセンス性を秘めた変態作家であったということを!!

劇画タッチの『ばるぼら』、『MW』、『奇子』などを手にとって読んでみるといい。そこには数々の変態エロ描写がこれでもか!とばかりに満載されている。
ま、この辺はエロというより、倒錯的なグロっぽい性描写なのであるが。
少年向けでも、田中圭一氏を始め、私より10歳くらい年配の方は思春期の頃に『やけっぱちのマリア』や『ふしぎなメルモ』にただならぬエロティシズムを感じていたと言う話はよく耳にする。
まぁ上記の二作は、手塚治虫が性教育の一環として描いていたマンガらしいからな。
田中氏も巻末のインタビューで言っておられたが、彼の描く女体というより、日本特有の女性が恥じらうその表情にエロティシズムを感じていたのだとか。そこが手塚先生の巧みな部分であるのだと。
少年マンガにおけるエロってのは世代世代様々だが、そう言われると私も思い当たるフシがある。
今のワンピースとかみたいに、とにかく巨乳の女キャラを破廉恥なカッコウで描けばいいといった安易な感じとはワケが違う普遍的な内面性エロ描写といったところか。


最近、手塚治虫の書斎机の開かずの引き出しが25年振りに開けられて、その中からは『ネオ・ファウスト』や『グリンゴ』などの未完になった作品の断片やイラストの他、田中圭一の描いたイラストではないかと思われるような、エロでヒワイな絵が数点発掘されたのだとか。

本書の帯に直筆で「訴えます!!」とコメントを寄せた手塚治虫の娘さんであられる手塚るみ子さんもその現場に当然立ち会っており、そこで面白い指摘をしておられる。
「もしも、父の霊が私に憑依して、田中さんとエロマンガ対決しても、圧勝できる!」と。
それほどまでに手塚先生の描くマンガは、底知れぬエロティシズムを秘めているということなんでしょうな。


ぐるなびのサイトで現在連載中の田中氏描くグルメレポ漫画『ペンと箸』。
http://r.gnavi.co.jp/g-interview/entry/1380
第2話で手塚るみ子さんがゲストで登場。上記のことが詳しく述べられている。


実際田中氏とるみ子さんは、リツイートし合うほど仲がいい?


あと、電気グルーヴの今年のオフィシャルフェイスタオルのデザインを手掛けたのも田中圭一氏。
田中圭一マンガのファンではないが、似非手塚キャラの絵柄がステキすぎて思わず購入。



今日の1曲:『ニセモノフーリガン』/ 電気グルーヴ
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火の鳥ジャンキー

2014年04月12日 | 二酸化マンガ
『火の鳥』のガシャポンフィギアシリーズ全7種(未開封)を、ヤフオクでゲット。
ヤッター!シーユーノアラマンチェ!

しかしみなさんは、上の写真を見て「ええ歳こいたオッサンが、何を稚拙なガチャガチャフィギアを並べてよろこんどるんや?」と、首を傾げていらっしゃるのではないか。
確かに手塚治虫マンガに興味のない人にとっては、これらのフィギアには何の魅力も感じないだろう。
私がワンピースのキャラクターのTシャツを着たええ歳こいたオッサンとかをみて、眉をしかめるのと一緒だ。
たしかにヴィジュアル重視のアニメが主流である今時の若者にとっては手塚マンガの絵のタッチなどはレトロすぎでピンとこないだろうし、私とて手塚治虫描くキャラクターのヴィジュアルにそれほど惹かれているというわけではない(愛着はあるが)。
手塚治虫作品の魅力は、ズバリその人物描写にある。劇中に登場する人物がひとりひとり個性豊かで、とても魅力的に描かれているのだ。
『火の鳥』の鳳凰編に出てくる我王などは、その最たるものだろう。手塚治虫ファンの間では、ひょっとしたらブラック・ジャック以上に人気の高いキャラクターかも知れない。

我王


ならず者の殺人鬼だった我王が、良弁僧正に才能を買われ彼に命じられてそこらに転がっていた切り株に己の怒りをぶちまけて彫りあげた我王の第二作『切り株』。カッコよすぎ!


これって、シークレットアイテムだったのね。
ちゃんとガシャポンで引き当てた人のその時の喜び様は如何ほどだったろう・・・


東大寺大仏殿うしろの北倉におさめられたという鬼瓦もいい味出してるね。
この殺気・・・邪悪の目じゃ・・・・恐怖の叫びが聞こえるようだ。



はっきり申しまして、手塚ファンの間で、一番の人気ロボキャラといえばアトムなんかじゃなく、間違いなくこのロビタですよ(U-18っていう意見もあるけど)。



正直いって、欲しかったアイテムは上の3体だけ。あとは地味すぎるというか・・・
まぁ手塚作品を読まん人には「上のロボットもたいがい地味やろ!」ってつっこまれてるかもしりませんけど。
いや、『火の鳥』の復活編読んだらわかるんだよ!彼ほど複雑な心を持った人間くさいロボットはいないんですから。それに彼は、チャンバラとか昔の遊びをよく知ってるんですよ!

しかし、このフィギアをプロデュースした株式会社「奇譚クラブ」って、無謀というか、キャラクターチョイスがマニアックすぎ!我王の切り株とかはセンスよすぎで手塚ファン泣かせだが、ハレルヤをガシャポンで当てた人のその時の微妙な心情を想像すると、タハハ・・・と乾いた笑いしかでてこない。伊吹丸とか、矢の刺さり具合なんか絶妙なんだが太陽編での霊界大戦争でちょろっと顔を出しただけのキャラをよー採用したなぁ・・・・


ってゆーか・・・キミらだれーーーーーー!!??


なんと『火の鳥』全編を精読してるはずの私が、上の写真のキャラを全く覚えてなかったのだ!見るからにインパクトの強いこんなキャラどもを、この私が覚えてないはずはない!
カプセルに同封されていた冊子によると、どうやら望郷編に出てくるキャラらしく、私は角川文庫の『火の鳥』のマンガ本をひっぱりだしてきて何度も何度もページをめくって確認してみた。
やはり出てこない。こんなバカなことってあるかーーー!!

と思ってググってみると、どうやらいくつかの出版社から刊行されてる『火の鳥』シリーズの望郷編は、角川文庫版のと、講談社/朝日ソノラマ版のとでは、内容が大幅に変更されていることが判明した。



上のフタマタの種族は、どうやら極寒の惑星に住むスロン人なるものらしく、講談社/朝日ソノラマ版には登場しているらしい。タコみたいなのは実は彼(ら?)が身に着けていた防寒着とのこと。
カプセルに封入されていたフィギアを一瞬見て「なんかヤバいな」と感じたのだが、このスロン人の異質な形態は、『ブラック・ジャック』でも取り上げられたこともあるシャム双生児(第4巻収録の『2人のジャン』参照)を彷彿とさせている。このスロン人の容姿が後出(1984年刊行)の角川の倫理審査にひっかかり、手塚先生に新たに別ヴァージョンを描くよう依頼して出版されたのではないか?ということが、なんとなく想像できる。
私は、この角川文庫の望郷編がオリジナルだと今まで信じてきた。
つまり、20年間もずーーーーっと、ダマされ続けていたってわけ!
不覚・・・・なんたる不覚・・・・・


その事実を知った私はすぐさま家を飛び出し、近所のブックオフへとかけこんだ。
しかし、ここでは私が探し求めていたアイテムは、何一つ得ることはできなかった。
この支店はなんと手塚資料の乏しいことか・・・・
私はただ、雄雌単体種族スロン人の生態について知りたいだけなんだ!


こうなりゃ、近年より刊行されている講談社の『手塚治虫文庫全集』ヴァージョン、あるいは朝日ソノラマ版の大判サイズのを正規の値段で購入するほかないのだろうか・・・
しかし値段が高いんだよなぁ~、1000円以上はするし、どうしようか・・・・

ここはひとつ、“偉大なる母”ハレルヤにお伺いをたててみるか。


「ピュピュピューッピューッ私の計算ではガリガリ戦争以外にガリガリありませんっガリガリ・・・
計算どおり実行おしーーッ!!ヅーヅーヅーブーブー」


どっひー


今日の1曲:『Hallelujah』/ Happy Mondays
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ファウスト三部作

2012年07月19日 | 二酸化マンガ
前回、ロシア映画『ファウスト』の感想文を書いたので、私の性分からして、その時にちょっと触れた手塚治虫のファウスト作品三部作を紹介せずにはいられなかった。

手塚先生は生前、主人公も時代背景も全く異なる3ヴァージョンのファウスト作品を描いておられる。
第一作が先生が21の時に描いた1950年刊行の『ファウスト』。
一言で言うと、これはゲーテの原作『ファウスト』をマンガ化したもので、21歳の若さでこのような戯曲をマンガ化しようという発想自体すごいんだけど、絵のタッチはまだ初期のディズニーアニメに影響受けまくりの頃で大人が読むには稚拙すぎるし読みづらく、原作に忠実がゆえのミュージカル風なこの物語の展開は、子供が読むにしてもちとテーマが難しすぎるかと。
まぁコレクターズアイテム、または原作『ファウスト』の大まかな粗筋を知るための概要書といったところか。




第二作は、1971年作の時代劇ヴァージョン『百物語』。
これは中期手塚作品の中でも上位に入る傑作で、小学生から大人まで楽しめる作品だと思う。
主人公はウダツの上がらない下級武士の一塁半里。一塁=ファースト→ファウスト+半里=ハインリヒと、この辺の遊び心が楽しい。
ちなみに妙薬で若返った後の名前は不破臼人(ふわうすと=ファウスト)。

ここでのメフィストフェレス役はスダマという女妖怪で、一塁が切腹寸前のところで出現し、「満足な人生をすごしたい」「天下一の美女を手に入れたい」「一国一城のアルジになりたい」という3つの願いをかなえるという条件で魂の譲渡契約を結ぶものの、生まれ変わっても以前の不甲斐ない一塁のままの不破に業を煮やし、良きアドバイザーとなり献身的に尽くすという、悪魔とも思えない愛らしくて魅力的なメフィストが描かれている。




しかも最終的には相思相愛の仲になっちまい悪魔が不破の魂を救済しちまうという、原作の設定を根底から覆すトンデモ展開に!
飽くまで原作の主要な場面や話の流れに忠実に、そこに戦国時代の下克上や妖怪変化といった日本特有の要素を巧みに取り込むという見事な構成力は、やはり天才というほかない。



(『百物語』は朝日文庫の『ファウスト』にカップリング収録されております。)


『百物語』は、実は私が初めて読んだファウスト作品で、まぁ当時はこれがゲーテの『ファウスト』をモチーフにした物語って知らずに読んでて、それにハタと気づいたのは晩年の作品『ネオ・ファウスト』を読んだ時だった。
展開があまりにも一緒だったからだ。


『ネオ・ファウスト』は、近代版ファウストといったところで、舞台は学生運動真っ盛りの1970年の日本。
作品全体にアカデミックな雰囲気が漂っており、かなりコアな内容となっている。
遺伝子工学による新生物創造の研究(『ホムンクルス計画』)、五画形の魔方陣による大悪魔ルシファー召喚、ホテル・ワルプルギスでの理事長と政治家との贈賄スキャンダルなど、なかなかオカルト趣味が濃厚でこの辺が『ファウスト』という作品に興味をそそられた部分でもある。




『百物語』のスダマ同様、この物語においてもメフィストは女性であり(だから“牝フィスト”と自称していた)彼女の場合は悪魔らしく残忍な気性の持ち主なのだが、ここでもやっぱり若返った雇い主の坂根第一に惚れたり嫉妬したりと、人間の女性みたいな部分を垣間見せる。
手塚先生はこの設定が気に入ってたんかな。
サスペンス性に富み、文学性に溢れ、複雑雑多な人間模様と魔界の魑魅魍魎とが絡み合う壮大かつ緻密構成なるこの『ネオ・ファウスト』、おそらく手塚治虫の遺作と呼ぶに相応しい一大傑作となっていたことだろう。

そう、完成していれば・・・

『ネオ・ファウスト』は、第二部連載はじめで手塚先生が病に倒れ、1988年12月、とうとう絶筆となってしまったのだ!
まさにヘビの生殺しである。

ここまで読ませといて、そらないで先生!!

あまりにもムゴすぎら!!


まぁ手塚先生が晩年描いてた作品には、全くテーマの異なる未完作品がけっこうあって、ベートーベンをサスペンスタッチかつコミカルに描いた『ルードヴィッヒ・B』、日本商社マンの数奇な運命を活劇風に描いた『グリンゴ』、戦後日本のシガラミから這い出てきた青年の生き様を描いた『どついたれ』(これは早くに打ち切ったんだっけ?)と、『ネオ・ファウスト』同様いずれも引き込まれずにはおれない展開の良作品ばかりである。

しかし、これだけの濃い内容の作品を同時進行で描いてたってのが、他の作家とはケタが違いすぎるほどに創作意欲に底のない天才であったと同時に、先生の死期を早めた原因にもなったのかと思うと残念でならない。
返す返す思うことは、他の作品はいっさい手をつけんでもええから、せめて一本だけでも完結させてほしかったということである。


原作『ファウスト』第一部のラストをモチーフにしたこの場面が最後となった。



このあと、クローン人間の培養、水晶玉に映っていた絶世の美女の正体、ヒロインの兄である刑事との対決など、手塚先生の頭の中ではおそらく壮大なスケールの展開が用意されていたに違いない。


まぁ、手塚治虫ほどの創作力と構成力を持ったマンガ家(作家)は、今後現われないとは思うけど・・・・

だれかお願い!『ネオ・ファウスト』の続きかいてー!


今日の1曲:『It's Too Fast』/ Tica
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ヒョウタンツギ

2012年05月22日 | 二酸化マンガ
手塚治虫の奇想天外文庫シリーズ『よろめき動物記』を某古書店より入手。おそらく、『フサンの謎の七書』ばりの稀覯書であろう。

本書には、様々な動物をテーマに手塚先生流のナンセンスさで描いた2ページ程の読み切りマンガが全35話収録されている。
馬、熊、タコ、鬼、幽霊・・・・と、これは動物かいな?みたいなものまで多肢に渡っている。
まぁ新聞に載ってるいしいひさいちマンガ程度のもので、正直それほどオモシロイ内容ではないが、本書において注目に値するのが、最終話でなんと「ヒョウタンツギ」が題材になっていること!

手塚作品でここまでヒョウタンツギがフューチャーされてる話って、他にないんじゃないかなぁ(と思ったのだが、『妖蕈譚』という手塚先生の短編小説で、世界がヒョウタンツギに飲み込まれていくさまが不気味に描かれているらしい。小説ってことはマンガじゃないのかな?)。


ヒョウタンツギは、実は手塚治虫先生の妹である手塚美南子さんが幼少の頃に発案したクリーチャーだったりする。



本人によれば、ヒョウタンツギは茸の一種であり、常にガスを口から噴射し、スープに入れて食べると汗が出るほど温まるという。
人にむやみに危害を加えることはないが、たまに人間の顔に乗り移ったりと予測不可能な行動に出る。ヒョウタン状の頭部をそなえ、自らの頭から仔を宿すというおそるべき生態を持ち、繁殖性がすこぶる強くいろんなところに生えているため、たまにヒョウタンツギを踏んずけて足をすべらしたりすることもある。




実体は一種の菌類で、スープに入れて食べると冬の季節料理として珍味この上なしとされているが、生で食べると中毒を起こし死に至るともいわれている。
実際『ブッダ』の主人公のシッダルタは、農家で出されたヒョウタンツギ(仏典では、スーカラマッタヴァであり、キノコ説と豚肉説がある)を食べて食中毒を起こし命をおとしている。





私は常々、このヒョウタンツギをクトゥルー神話体系の万魔殿に加えてはどうかと考えている。
とにかく生態が不条理以外のなにものでもなく、神出鬼没にして奇怪で極めて宇宙的な存在である。

そこで、不定形の存在“ヒョウタントゥギア”なるグレート・オールド・ワンを考案してみた。
(右のアイテムは私愛用のヒョウタンツギ耳掻き)



いかがだろうか?


今日の1曲:『愛しのマキシン』/ Donald Fagen
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ロッキン・レイヂヲ

2012年05月11日 | 二酸化マンガ
免許更新しに京都の羽束師の教習所に行った帰り、ふと立ち寄ったブックオフの105円コーナーで、行方不明になっていた和田ラヂヲの『ROCKIN' RADIO』を発見し思わず購入。
なんか特殊カバーの左端が破れてるところまで私が所持していたのとソックリだぞ。誰かが知らん間に俺のを売りさばいとったんちゃうか?

『ROCKIN' RADIO』は、音楽雑誌ロッキン・オンに連載されてたギャグマンガで、この単行本は1996年刊行なので、まぁその時期くらいに載ってたんやと思います。
ネタはもちろん洋楽ロックミュージシャン関連が中心で、特にキッスネタが満載です。アクセントとして和田ラヂヲ先生十八番のチャゲ&飛鳥ネタもちょこっと出てきます。
だから90年代にそこそこ人気のあった洋楽ロックをある程度知らんとワケわからんと思われますが、ラヂヲ先生独特のパンキッシュな絵のタッチでなんとなく笑えるのではないかと。




ジャケネタの他、誰もが一度は心の中でつぶやいてしまったことがあるミュージシャンダジャレ(例「オーバーキルのオーバー着る」)など、けっこう下らないのもあるけど、やっぱこの人のセンス好きだなぁ~、『スカの群れ』ん時からファンだった。ラストの一言がけっこう変化球でツボにくるのだ。


和田ラヂヲ先生書き下ろしキッスカレンダー(4月始まり)も収録されてます。



この話のオチに涙!さすが和田先生。




R.I.P. MCA・・・・


そういえば、この曲をツレに聴かしたら「なんかゲイシャ・ガールズみたいなや」って言われたことあったっけ。


今日の1曲:『Sure Shot』/ Beastie Boys
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三たび死を決してしかも死せずぅ

2012年04月04日 | 二酸化マンガ
手塚治虫先生の大河マンガの最高傑作『陽だまりの樹』が、いつのまにかドラマ化決定されてて、NHKのBSプレミアムで今週6日(金)8時からスタート。
http://www.nhk.or.jp/dramatopics-blog/7000/106315.html
てゆーか遅いんよ、ドラマ化するのが。

主人公の伊武谷万次郎役は市原隼人か・・・・
「俺が俺が」みたいなイチビリ感の強い中高生向けのチャラ俳優が万次郎役ってのはどうも納得しかねるが、向こう見ずな熱血漢という側面では適任かもね。
まぁ全12話ってのは、あの厖大で壮大な原作のことを考えると少なすぎるといわざるをえない。
この作品はとにかく内容が濃くて、適塾奮戦記、アメリカ使節団との交友、安政の大地震、江戸のコロリ(コレラ)大流行、安政の大獄、、歩兵組育成、戊辰戦争と、テーマは多岐に渡っており、おそらく全部読み終わる頃には、幕末に関してはメチャメチャ詳しくなってると思いますよ。
本マンガの重要テーマのひとつ、蘭方医と漢方医との確執なんかは、数年前流行った幕末ドラマ『JIN』の原作者が影響受けたんやろなぁ~って、ついつい勘繰っちゃいます。
まぁ幕末ドラマの題材としては、宝庫的スペクタル大作といえましょう。

実在の歴史上有名人物もぞくぞく登場し、緒方洪庵先生をはじめ、勝海舟、西郷隆盛、ヘンリー・ヒュースケン、みんなの大好きな坂本龍馬もちょこっとだけ顔をのぞかせます。
その中で万次郎の親友として深く関わりあうのが、“鬼鉄”のあだ名で知られる剣客山岡鉄太郎。こないだNHKの特番で知ったのだが、彼は後に明治天皇の家庭教師にまで登りつめる凄い人物やったんね。
鉄太郎をはじめ、上に挙げた人物たちがこぞって万次郎の実直さや愛すべき人柄に惚れ込んでいくんですね。うん、私も惚れましたもん。いや、このマンガ読んだら誰だって惚れちゃいますよ。

人望が厚くちゃんと世を見据えていたのだが、融通が利かないのがネック。



あとはもうひとりの主人公の町医者、手塚良庵(後の良仙)であるが、この人物、実は手塚治虫の曽祖父にあたる実在の人物であるとのこと(どうりでお父っちゃんが手塚治虫そっくりなんだよね)。
彼は緒方洪庵が設立した適塾で医学を学び、その同窓生には大村益次郎、大鳥 圭介の他、あの福沢諭吉なんかも深く関わってきます。

女たらしで普段はチャランポランだが、いったんスイッチが入るととことん追求する。


性格が全く正反対の万次郎と良庵とが、どつき合いのケンカをしながら激動の時代を生き抜いていくふたりの絶妙なデコボココンビ劇が、このマンガの魅力なのであります。

ちなみに私の一番好きなキャラは、万次郎に影のように付き従う平助(マタギ出身)。
とぼけた顔してもの凄い剣使い。

万次郎がピンチのとき、いつもどこからともなく参上する。「平助でがんす。ヒッヒッヒッヒ・・・・」



まぁ、この原作のオモシロさを実写版で80%も引き出せるのかというと、正直期待はできません。
BS見れない方は(いや、見れる人でも)漫喫でもいいので、ぜひ原作の方をお読みになることをオススメいたします。




今日の1曲:『辻斬り小唄無宿編』/ 人間椅子
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ア、ショーカ

2011年06月21日 | 二酸化マンガ

ラッパー(?)の三宅洋平氏がSNSかブログかなんかで、自分の娘を連れて手塚治虫の最近制作されたアニメ映画『ブッダ ~赤い砂漠よ!美しく~』を観にいって、「あまりにも残酷なシーンが出てきて娘がトラウマになったじゃないか!どうしてくれる!Tokyo Times!」みたいなモンスターペアラント的なことをつぶやいてたらしいんだが、ご愁傷様というよりバンダカなーって。




てゆーかこの人『ブッダ』読んだことなかったのか?
そろそろ手塚治虫作品を、よい子も安心して楽しめる品行方正なマンガっていう幻想をやめたらどうだ?

だいたい手塚治虫の『ブッダ』ってのは、紀元前5~6世紀にインドに存在したとされるガウタマ・シッダルタ(釈迦)の伝記マンガで、あの時代って、カーストという厳格な身分制度が著しかった時代で、スードラ(奴隷)がなぶり殺されたり、市民が敵国の武将に虐殺されたりするシーンが出てくるのは当たり前じゃん。




第一部ではシッダルタはまだ登場せず、スードラ出身のチャプラの物語がメンイ。
スードラってだけで、問答無用で処刑される。



そういう身分制度や天災や戦争の苦しみから人々を救おうと出家したのが、クシャトリヤの王子であったブッダなんだからさ。
本当に無知というか、歴史背景の認識不足も甚だしいかと。
ガキ連れて映画行きたいんならワンピースとか、ドラえもん祭りとか幼児向けの映画なんぼでもあるからその辺観とけばいい。


とにかく自傷行為の多いマンガ。苦行僧デーパの目焼きシーンはその一例だ。



エグいシーンといえば、シッダルタが修行を始めたばっかの頃アッサジというハナタレ小僧を連れて旅してた時期があって、まぁアッサジは写楽なんだが、じつは彼こそがシッダルタを目覚めさせるキッカケになった最重要キャラクターだったりする。




なんせ彼は神から余命を宣告され、予言どおり生きたまま飢えたオオカミの親子に自らを食わせるという行動に出たのだから!
まさにこの作品の中核を担う衝撃シーンなんだが、映画ではちゃんと再現されてるのかなぁ~




まぁ期待は半分にとどめておこう。
そもそもこの手塚の渾身のスペクタクル大河超大作を2時間に集約するのはなかなか難しいだろう。




そんなことより、私の甥っ子が数年前にかした『ブッダ』のマンガ全巻、全然返してくれないんよ!!
姉(長女)にもそれとなく電話で伝えといたのに・・・

で、こないだ久々に甥っ子が訪ねてきて、手にマンガ入ってそうな紙袋をひっさげていたので「キターー!」って思ったら中身は今ガキんちょの間で人気の『ワンピース』だった。
どうやら会社の同僚の話題についていけない姉(次女)が甥っ子に頼んでいたものらしい。
でもなんで一緒に『ブッダ』を持ってきてくんないんよ?
ひょっとしたら今はワンピースに夢中で、『ブッダ』なんて時代遅れの最古参の手塚のマンガなぞ読んでるヒマないので、クソ叔父のマンガなんて半永久的に放っておいても大丈夫だろうってナメくさっとんやないか!
うん、きっとそうに違いない!
ケーーっ!どいつもこいつも軽薄な時代の流行に流されやがってよー!

でもよく考えたら自分かって甥っ子くらいの年の時分、キン肉マンとかドラゴンボールとか、その時流行ってた低俗な大衆向け少年漫画にハマってたじゃないか。
手塚作品にハマりだしたのは高校生ぐらいだったから、甥っ子にはまだ早いのかもね。

でも、彼にもいつかわかる時がくるよね。
今まで読んでたマンガがいかに子ども騙しであったか。
手塚治虫作品がいかに偉大で他のマンガを遥かに凌駕しているかってことが。

そのことに気づいた時、私は彼のことをこう呼ぼう!

ブッダ(目覚めた人)と!!







今日の1曲:『Don't Test Da Master』/ Buddha Brand
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ホモマンガ

2009年06月28日 | 二酸化マンガ
今年は手塚治虫先生の生誕80周年で、いろんな特番とかイベントが大々的に組まれておりますね。
しかし、アホのひとつ覚えみたいにアトムとかジャングル大帝ばかりに固執するのはいいかげんやめてほしい。

そして、来週ロードショーされるあの黒手塚マンガの超タブー作品『MW』が映画化されたっていうのもびっくらこきましたね。
学生時代にこの作品読んだときは、触れてはならない世界に触れてしまったような、なんともいやぁな気分に陥ったのを覚えております。
しかし先生はなんでここまでエグくて悲惨なマンガを??
幼少期まで遡る数々のホモシーン、残虐極まりない殺人風景、獣姦をにおわすような背徳的シーン・・・と、もうその狂気渦巻く劇画タッチな黒手塚世界にショックを受け、長年読み返す気にもなりませんでしたから。

MW(ムウ)とは、米軍が生み出した悪魔の毒ガス兵器を指すのですが、同時にその毒ガスによって人格を破壊され、悪魔の人間に成り果てた美知夫のことを示しているといえます。
結城美知夫は元々中性的な美貌を持ちあわせており、おまけに両刀使いなんだからタチが悪い。
そう、MWとはMANとWOMANの対の性を表しているんだということですね。
美知夫はその自分の特性をフル活用し、数々の男女をたらし込み、どん底に突き落としていきます。
神父をはじめ、あるときは社長令嬢、あるときは米軍中将、あるいはその奥さんと、老若男女問わずです。
その役にホモ疑惑もチラホラ耳にしていた玉木宏が抜擢されたのを聞いた時はやっぱソッチか?と勘繰っちゃいましたけど、イメージ的にはピッタリやん!て思いましたね。

そして聖職者である賀来神父の抗い難い性癖、そして美知夫への禁断の愛!
両者は対立しながらも深い絆(ホモセクシャル)で結ばれているのです!
抵抗しながらも美知夫の誘惑を拒み切ることのできない神父の叫びが印象的です。

「主よ どうか私をお裁き下さい!」(美知夫と裸で抱き合いながら)

ああ、なんという悪夢!なんという狂気!

美知夫にだまされて賀来がバラ族の秘密クラブに迷い込むシーン「あなたが好きです」(笑)

ただ、映画ではなんと両者のホモ関係はいっさいハショられているとのこと。
アホか!それやったら単なるサスペンス映画やんけ!
どうやらとってつけたようなアクションシーンばっかに力入れてるみたいですが。
別に玉木宏と山田孝之がホモるシーンなんて見たかないけどさぁ(そのシーンにショックを受ける玉木ファンの姿は見てみたいが)。
世間一般的な体裁に配慮して、肝心要のタブー的要素を排除してしまうくらい意気地がないんやったら、最初から映画化しようとするなっちゅーの!もっと無難な作品他にあるやん。
映画見ないうちから四の五の言いたかないけど、だいたい15-R指定にならない時点で原作のテーマから大分かけ離れていることが伺いしれますよね。

『MW』はエゲつなさにおいては手塚マンガ一と言う程、最初から最後までとことん救いようのない物語ですので、玉木宏ファンの方は映画を観る前にまず原作読んでトラウマになって下さい。



今日の1曲:『Freewheel Burning』/ Judas Priest
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ジョー・ギリアンだ

2009年04月17日 | 二酸化マンガ
やや時期を逸した話題やけど、噂の実写版『ドラゴンボール』ってやっぱり大コケしたみたい?
ドラゴンボール実写化の話を聞いた時は、「ハリウッドの迷走もここまできたか・・・」と情けない気分になったけど、ホンマ外タレが日本のアニメキャラクターを演じること自体ナンセンス以外のなにものでもないですわなぁ。
ガンダムの外タレ実写版『Gセイバー』もヒドかったもんな~、ケツアゴのシャア・アズナブルとかありえへんし。

でも、私の好きなマンガでこれはハリウッドが実写化してもええんやないかと思うやつが1つあって、それというのは寺沢武一先生の代表作、スペースアドベンチャーマンガ『コブラ』。
最近これのCGアニメ版のDVDをレンタルしてみたんですが、まぁこれはどうってことありませんでした。
画はきれいやけど、スピード感はないし展開もトロいし30分しか収録されてません。

コブラにハマったのは、私がちょうどドラゴンボールに見切りをつけた中坊の時だったと思います。
初期の画風はもの凄くアメリカンコミックを意識したラフなタッチで、なんとなく手塚治虫マンガからの影響を感じさすコミカルな部分もございました。
主人公コブラ自身がアメリカのマッチョイズムそのもののようなキャラで、キザったいセリフなんかもなんだか映画に出てくるメリケンナイスガイ風。
出てくる女キャラはサイボーグから古生物学者までがほとんどグラマラスでケツ丸出しの際どいコスチュームを着衣(たぶんみんなノーブラ)。トップレスガールも結構でてきて、こんなアダルトテイストなマンガを少年誌に載せてもええのかとも思いましたが、不思議とエロさはないんですよね。
巻を重ねるにつれ、寺沢先生の絵もいよいよ日本人作家特有の緻密な画風になっていき、キャラクターもイマジネーションに富んできて、特に敵キャラはワクワクするほどカッコよかった。
サラマンダー、パピヨン、ブラックソード・ゼロなどなど。
中でも私の大好きだったキャラがコブラの宿敵でもある海賊ギルドの殺し屋サイボーグ“クリスタル・ボーイ”!!
今回のDVDでも再び登場して、コブラと4度目(サイボーグ化前も含む)の一騎打ちを繰り広げております。
とにかく、あのスケルトン仕様のボディにゴールドメッキの骨格がたまりませんよね!
おそらく寺沢武一先生描くキャラの中でも最高傑作なんじゃないでしょうか。

彼のボディは特殊な偏光ガラスでできているため、レーザーガンはききません。
彼の体は鉛の弾を跳ね返すほど強く、女の肌のように柔らかいのだ(本人談)。
でもコブラとの2回目の対戦のときはマグナム弾を打ち込まれて簡単にダメージ受けてましたけど。
しかし彼がなんでちまたでオナニーキャラとされてるのかわからないんですが・・・


あとコブラってなんとなくクトゥルー神話をも髣髴とさせてるんですよね~(はじまったー)
遥か超太古からの宇宙創造の主みたいな存在がいるのですが、彼らはイースター島のモアイ像の似姿をしているのです。
マンガの中では彼らは古代火星人と呼ばれているんですが、彼らこそエルダー・ゴッズにほかならないのではないでしょうか。
それにコブラの地球人とは思えないパワーと生命力と無敵ともいえるサイコガンの威力を考え合わせると、彼はかつてエルダー・ゴッズと地球人との間に生まれた申し子ではないかと。
こう考えるとなんだかまた想像が膨らんでワクワクしてきませんか?
コ~ブラ~♪美しい~♪

ところで素人外人によるこんなクリスタル・ボーイのPVを発見。

Space Adventure Cobra - Crystalboy


コブラってやっぱ海外でもそこそこ人気あるんかな?
どっかで聞いた声やなと思ったら、やっぱりクリス・コーネルさんだったのね。

今日の1曲:『You Know My Name』/ Chris Cornell
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マンガで読む『パノラマ島綺譚』

2009年01月17日 | 二酸化マンガ
とうとう丸尾末広作品に手を出してしまった・・・


いやいや、以前からなんとなくその画風には惹かれてはいたけれど、目ん玉ペロペロな丸尾末広の超エログロ世界に足を踏み入れようなどという勇気はこれまで全くなかったんですが、江戸川乱歩の名著『パノラマ島綺譚』を彼のエログロセンスな画力でもってして完全リメイクしたとなりゃあ、買うなという方が無理というものです。




乱歩の世界をロックで表現するに一番相応しいバンドが人間椅子であるように、乱歩の怪奇幻想世界を漫画でヴィジュアル化するにあたって、丸尾末広ほど相応しい描き手はいないということなど、彼の作品を読んだことのない私でもわかることですから。




いやしかし、想像通りだったとはいえ、丸尾ワールドは凄まじいなぁ~
乱歩が想い描いていたであろう、目くるめくパノラマ世界が、その圧倒的な迫力でもって読み手に迫ってきます。
本作はもちろん丸尾氏の独創性がフンダンに盛り込まれてはおりますが、ストーリーそのものは原作にかなり忠実に描かれていて(といっても原作は十代の頃に2回ほど読んだっていうくらいずいぶん昔のことだけど・・・)、本来の丸尾作品に比べるとエログロはかなり抑え気味なんじゃないだろうか。
なんせウブなこの私が最後まで読みきれたくらいですから。




大正から昭和に移り変わる時代背景などが本当に木目細かく描かれていて、さり気に背景を彩る看板の字体とか、屏風に描かれているふた口女やお歯黒べったりとかの猟奇絵など、視覚的にもの凄く刺激的でエログロ楽しい。
パノラマ島では、現代の水族館顔負けの海底トンネルとか、ヒエロニムス・ボッシュ画の『快楽の園』そっくりの景色が(さり気に)出てきたりと、遊び心が利いていて楽しいことこの上ないんです。
まぁ一種のエログロヴィジュアルアート本といってもいいでしょう。




もし、ひょんなことから一生かかっても使い切れないぐらいの巨万の富を得たなら、ひと島買い取って自分が子供のころから思い描いていたユートピアを作ってみたい・・・
誰でもそういった妄想にかられたことが一度はあるかと思います。

それを欲望のなすがまま「ははははは」とやっちゃうのがこの物語の主人公なのですが、その幻想世界を圧倒的な表現力でもって想うがまま小説化したのが江戸川乱歩であり、またそれを漫画でやりたい放題エログロにビジュアル化したのが丸尾広末であり、それを購入して怪奇趣味のコレクション棚に加えて、ひとり「ケヘヘ・・・」とほくそ笑んでいるのがこの私です。




今日の1曲:『パノラマ島へ帰る』/ 筋肉少女帯
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オカルトエロマンガ

2008年06月23日 | 二酸化マンガ
近所の中古本屋に、手塚治虫先生の読み切り連載漫画『ばるぼら』の大都社版を発見したので、久々に読み返してみたくなり購入。

この作品は手塚先生が好きなオッフェンバックのオペラ『ホフマン物語』を現代風に漫画化しようと書き始めたものだそうで、サスペンス性もあり、手塚先生の博識な文学趣味、芸術趣味、そしてオカルト趣味がフンダンに盛り込まれた傑作です。
ヒョウタンツギもオムカエデゴンスも出てこない、大人向けのいわゆる“黒手塚”作品のひとつですね。

それにしてもこの話、変態エロ趣味もハンパない!よい子は読んじゃいけません!
マネキン人形愛、獣姦、近親相姦、秘密SMクラブ、黒ミサ式のヌーディスト結婚式と、とにかくやたら乳房が頻出する狂気のエログロ世界が展開しとります。
まぁ物語の語り手である売れっ子耽美主義小説家の美倉洋介が、いわゆる性欲倒錯者という始末に終えない困ったチャンなのですから。




謎のフーテン娘“ばるぼら”は、見た目はみすぼらしいのですが、芸術の女神ミューズ姉妹の一番末っ子であり、魔女でもあります。
彼女は様々な芸術家にまとわりついてはインスピレーションを与え、翻弄、そして破滅に追いやっていく魔性の女なのです。




ちなみに母親の名前は“ムネーモシュネ”といって、見た目は妊婦土偶そのもの。



彼女の実家にはピカソの行方不明の作品なんかもころがってましたので、ひょっとしたら彼女は時空を越えて、そういった昔の芸術家たちの家にも居候していたのかも知れません。そして彼らに恍惚と狂気、そして絶望を振り撒いていたのではないでしょうか。
確かに著名な芸術家には、破滅的な人物が多かったように思います。

この作品は中盤にさしかかると、ブードゥー・カルト的な物語へと発展していき、手塚先生の絵のタッチもいよいよ古賀新一の『エコエコアザラク』ばりのグロテスクな描写になっていきます。“アスモデウス”の実に写実的な悪魔像のイラストなんかも出てきたりと。
この悪魔は欲情と激怒の魔人といわれてますので、ひょっとしたら手塚先生は美倉洋介とこの悪魔とをダブらせたのではないか(美倉もすぐ激情して人をぶんなぐります)・・・というのは私のいきすぎた想像でしょうか。




いや、それにしても、手塚先生の作品主演の中年男性はやはりしぶといっちゅーか、その生命力には毎回感心させられる。
どん底に突き落とされても泥水すすってでも這い上がってくるっていう。
『きりひと賛歌』の小山内桐人しかり、『アドルフに告ぐ』の峠草平しかり。


しかし、この『ばるぼら』なんか映画化するのにいい題材になると思うんやけど。
最近の実写化されるつまらない作品よりか絶対イケると思う。
そういえば、黒手塚作品の代表作のひとつ『MW(ムウ)』がとうとう実写映画化されるのだとか!?(これも神父と凶悪犯がホモるエゲツない物語です)
マジですか!


今日の1曲:『VOODOO PEOPLE』/ PRODIGY
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栞と紙魚子の生首事件

2008年04月30日 | 二酸化マンガ
早速、諸星大二郎著の『栞と紙魚子の生首事件』を購入して熟読。
この手のマンガはやはりヴィレッジ・ヴァンガードとかにしか置いてませんね。
しかし久しぶりに定価でマンガ本を買ってしまった。
部屋に入ってきた姉がこのマンガが私の机に置いてあるのを見てギョッとしておりましたが。

絵のタッチからして、つのだじろうや楳図かずお系列だと思われますが、あまりこの手のホラーマンガは嗜んでこなかったので、読む前はどないやろか?と不安でした。
グロテスクながらどこか間の抜けた画風がとても個性的である。キャラクターの表情もどこか微妙で緊迫感を意図的に外したような感じ。
ホラーマンガとしては怖くもなんとも無いんですが、胃の頭町で繰り広げられるこの珍妙奇天烈世界はどこか異次元めいていて不可思議な感触がある。

キャラクター設定はドラマと若干違っておりました。
まず古本屋の娘、紙魚子の古書マニア振りがいい。怪奇な事件に巻き込まれても、案外冷静で変なハウ・ツー本をひっぱり出してきて、事件をサクサク解決します。
ミスカトニック大学付属図書館さながらの古本屋の本棚には、『生首の正しい飼い方』とか、『自殺のススメ』とか、『邪馬台国は火星にあった』などの奇書が並べられており、よくみると『ネクロノミコン』なんかもさりげに置かれていたりします。
栞の方はどちらかというと、紙魚子の変な趣味に翻弄されている感じですが、たまにぼけたことを言って紙魚子につっこまれるという。生首を拾ってきたりと好奇心は旺盛なようです。

クトルーちゃんは「ボリスの獲物」の巻で登場し、異界のママさんの故郷から連れて来たヨグという得体の知れないトカゲめいたペットを飼っています。
「くとるーちゃん」の巻では、怪奇小説家の段一知(だんいっち)先生の一家がそろって登場し、私の闇黒神話的な好奇心を大いに満足させてくれました。
段先生は家族思いのやさしい性格で、異界の奥さんのことを「うちのヤツはいろいろ何があれでねぇ」とか「外国人だから少し変わってる」と、毎回トボけた説明で済ませてしまっている。
段夫人も姿こそ謎ですが、ものすごくおしとやかでいい母親でもあり、専業主婦に徹しておられる。
この妙なギャップが諸星ホラーワールドの味なのかもしれません。

栞の飼い猫のボリスはヨグとは対立関係にあり、「ヨグの逆襲」の巻ではかなりの死闘を繰り広げております。
思うにボリスはおそらくウルタールの猫でしょう。
ウルタールでは何人も猫を殺してはいけません。

『栞と紙魚子』シリーズは全5巻出ており、全巻買い揃えようかと思ってるのですが、A5判のため一冊約800円もするので中々手が出ないっす。

今日の2曲:『Inner combustion』/ VOIVOD
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フースケ

2005年09月23日 | 二酸化マンガ
実を言うと、私は手塚治虫マンガ大好きの手塚コレクターなんです。
古本屋に行ったらなにか掘り出しモノはないかと、手塚治虫コーナーは必ずチェックします。
なんせ手塚マンガってのは、子供向けから大人向けまで、多種多様なジャンルに渡って何百作品と存在していて、とても全てを集めきれるものではありません。
まぁ手塚作品ってアタリハズレも激しいんだけど、その他の人気マンガ家なんて1作品当てて10年連載続いたらそれで十分名声を得てカッコつく感じだけど、手塚先生の場合はそんなもんより内容濃くておもしろい大傑作がゴロゴロと存在していて、それが割りかし一般的には知られてないマイナー作品であったりするんです。

ただ、最近はもう手塚治虫の名作と呼ばれる作品はほとんど集めきってしまった感があって、その情熱も10代~20代の頃と比べて随分冷めてしまってきてる。
ところが先日、普段あまり立ち寄らない古本屋ブックマーケットにふと入ってみると、見慣れない背表紙の手塚本が私の目に飛び込んできた。

それは『フースケ』であった。


この作品は手塚先生が大人向けに書いた“ナンセンス漫画”と呼ばれる部類のもので、長谷川町子の『サザエさん』や、サトウサンペイの『フジ三太郎』のような、新聞などに連載されてる4コママンガみたいな諷刺画のような絵のタッチで描かれている手塚先生の漫画の中でも少し特殊なテイストの作品(他には『人間ども集まれ』『上を下へのジレッタ』もこの部類)。もちろんおなじみヒョウタンツギも登場する。

『フースケ』は手塚先生の没後、文春文庫からビジュアル版で新たに刊行されていて、私はそれを所持していた。



今回見つけたのは奇想天外文庫から出版された初版本で、当時は定価280円のモノ。
状態も良好で普通ならもっと高値がつきそうなものだが、320円で売られててそらもう即購入ですわ。
なんつっても私の所持してたビジュアル文庫版の味気ない表紙に比べて、こっちはセンス溢れるナンセンスカヴァーが使用してあり、一話一話にもちゃんと表紙がついている。




そしてなにより私を喜ばせたのが、ビジュアル版には収録されていなかった未読のエピソードが一話あったこと!
(まぁビジュアル版の方はこっちより四話ほど多く収録されてあるけど)

「2.11事件」というタイトルで、弥生時代が舞台の物語。
卑弥呼みたいな人物がでてくる。これは『火の鳥 黎明編』がモデルとなってるのかな?



巻末にある手塚先生の「ボクとオンナのマンガ」というあとがきによると、いつも小松左京に「手塚サンは、オトナのオンナが描けんなぁ」と言われてコンプレックスを持っていたのがあったのと、自分は男である以上女の気持ちが描けないので、女をマトモに描かずなにか別の生き物(例えば馬や猫や家)におきかえて男の目線で女をこの『フースケ』で描いたのだという。

たしかにこのマンガでは、異常性欲にトチ狂って凶暴化した女とか、性器だけのクリーチャー、家一軒そのものがオンナみたいなものが描かれている。
それはモテない男から生まれる妄想なのか、願望なのか。これが手塚治虫先生自身の妄想だとしたら、かなりのヘンタイマンガ家だ。
手塚治虫の劇画タッチの大人向けの短編モノには、もっとドぎつい変態性溢れる物語がいくつもあるが、この『フ―スケ』はそれらをポップかつブラックジョーク風にしたってところだろうか。




ちなみに、この「ナンセンスのセンスを極める」奇想天外文庫からは『すっぽん物語』という手塚作品も出版されているみたいなので、これも是非手に入れたく思っている。
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