「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

長野県環境影響評価技術委員会3回目

2014年02月02日 | リニア新幹線
 一昨日、1月29日に開催された県の環境アセス技術委員会に、また傍聴に行ってきた。1回目、2回目は傍聴者が本当に少なかったが、今回は関係市町村席、傍聴席とも人が増えた。各市町村からの意見が出され、それについてどう答えられるのかに関心が高まったためだろうか。また、前回、前々回とも時間切れになっていたことを受けて、今回は開始時間が30分早まり、JR側の説明も資料の朗読はせず簡潔にするように求めていた。それでも30分強時間を延長して行われた。途中、非公開の審議の間はロビーで待つ形になったが、その間、南木曽から傍聴に来られていた方たちといろいろお話しすることもできた。

 資料としては、前回出た意見及び追加意見に対する事業者の見解と補足資料、市町村からの意見概要、県関係機関からの意見、欠席委員からの意見、さらに参考資料として公聴会での意見を項目別に整理したものが配られた。補足資料では、資料1-4として「大鹿村付近の路線選定、変電施設設置位置について」という資料があり、村から出されていた、小渋川を地下で通過することを求める要望については、トンネル施工上のリスク増加、非常口(斜坑)工程の長期化に伴う全体工期の増加、トンネル延長(本線、非常口)増に伴う掘削土量の増加を理由に、地下化は採用しないという説明。また、変電所計画についても、山梨の変電所との距離が約35kmであり、これ以上間隔を拡げられない、現在の計画位置が最適かつ唯一との説明。3haとされていた敷地面積については極力減らすとあった。(送電線については触れていない)そのほか、猿庫の泉近傍、妻籠水道水源保全地区の近傍のボーリング柱状図や、年別・地区別の発生土量、トンネル掘削計画の概要(非常口からの掘削方向を示したもの)等々があった。

 審議は、委員から出された意見に対する事業者の見解の資料をもとに、前回の続きから項目ごとに行われた。初めに、今回初めて出席された磁界についての武林委員から、山梨実験線における公開測定に参加しての話があった。ICNIRPの基準はすべて下回っているものの、磁界は周波数によって影響が変わってくるので、周波数のデータをちゃんと表示してほしいということ。また、ペースメーカー承認基準である1ミリテスラから見ると、客室内では0.3~0.4ミリテスラだけれども車両間の超電導磁石に近い場所では0.9ミリテスラという数字も出ていて、安全に余裕のある数字とは言えないともおっしゃっていた。
 また、人と自然の触れ合い活動の場の選定について、陸委員から例えば大鹿村で大西公園だけに絞り込まれていて小渋川流域が該当しないという理由が分からない、住民のヒアリングをきちんとして、納得のいく評価をすべきではないかという意見が出された。それに対して、JR側は小渋川流域というと延長が長い、主要な場としては不特定多数の人が集まる場として地域の重要な講演である大西公園を選んだという回答だったので、人が1か所に大勢集まるだけが人と自然との触れ合い活動の場ではないし、工事期間中の車両の運行を評価しないのは不十分だと指摘された。
 廃棄物については、小澤委員から環境影響を減らすために非常口の数を減らせないのかという質問があり、大鹿村の釜沢地区で二つの非常口を設けているのはむしろ上蔵と釜沢のトンネルを早くつないで、トンネルを使って排土をすることによって県道への負担を減らすためだという、大鹿村での説明会でもなされた説明があった。富樫委員から、やはり大鹿村の地形・地質的にリスクが大きい場所に地上の重要構造物が集中していることについて、それは工期を短縮するという工事上の必要性であって、環境保全とはトレードオフの関係になっている。工期よりも環境ではないかとする意見に対しては、JR側は2027年開業を目指すことが大前提であり、それを変える気はないという回答だった。南木曽町から二つの非常口は受け入れられないという意見が出ていることに関しては、非常口二つの計画自体は変えないけれども、工期をずらして車両の運行台数を調整することはできるという回答だった。
 水資源について、シミュレーションが100%合っているという自信はないので、工事前もしくは期間中において「適正にモニタリングを実施し、事後調査を行う」という見解になっているが、具体的な内容がないので、調査範囲といつどのように調査するか、どういう場で公表するかといった具体的なものを示してほしいという意見も富樫委員から出されていた。 
 非公開で審議された動植物の話の中で、ミゾゴイについては工事着手前に目視で調査するとのことだけど、これにしても水の調査にしても、評価書に反映させるのではなくて、みんな事後調査。2027年開業のためには今年度着工が必須であり、そのためには評価書作成に時間をかける気はないということだ。信毎記事では、3月25日までに出される知事意見を受けて「4月にもまとめる」と書かれていた。そんな短期間で地域から出されている懸念に応える修正はどう考えても不可能で、静岡でも、標高2000mの稜線付近の残土置き場の計画を変更するつもりはないと回答しているそうだ。
 本当にこんな沿線地域の声を無視した強引な進め方を認めてもよいのか、リニア自体の是非を超えて考えてほしいもの。

大鹿のミゾゴイ、リニア工事前にJRが目視調査(信濃毎日新聞)

年残土予想量を公開 リニア建設で環境影響技術委(中日新聞)

リニア計画「大鹿の生活影響を懸念」県環境委が審議(南信州新聞)

長野県環境影響評価技術委員会の開催状況
 ここで議事録や資料が公開されている。議事録作成前は録音された音声。

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