「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

名古屋・リニアシンポジウム

2011年03月28日 | リニア新幹線
 昨日は名古屋で「リニア中央新幹線は必要か?」というシンポジウムがあり、飯田のリニアを考える会の方たちと一緒に参加してきた。東日本大震災が起き、福島第一原発では2週間以上過ぎた今も深刻な状況が続いている中で、頭の中はリニアのことより原発のことでいっぱいで、仲間たちの間でも浜岡の即時停止を求める署名活動なども進めている。昨日も午前中には同じ名古屋でこの3月に高校を卒業したばかりの若い人たちが呼び掛けたストップ HAMAOKAのパレードが行われていて、そっちも気になったりしていた。しかし、新幹線の3倍以上のエネルギーを必要とするリニアは、当然のことながら柏崎や浜岡の原発のエネルギーを当てにしている。原発の安全神話が崩壊したということは、エネルギー源の面からもリニアの計画は見直しがなされるべきであり、原発とリニアは別問題ではない。
 パネリストの荻野晃也先生は電磁波問題の専門家だけど、もともとは原子力の専門家であり、伊方原発の訴訟でも原発の耐震設計に関して住民側の証人としてかかわられてきた方ということで、急きょ予定を変更して、今回の地震と原発事故についての講演をいただいた。話の中で、そうだったのかと思ったのは、日本の各地で原発ができたころ、「地震は過去と同じところで同じ大きさで起こる」という考え方で、今のような活断層のトレンチ調査などないから、過去の文献から地震の記録がない空白地域に耐震強度の低い原発が立ち並ぶことになったのだそうだ。結果的には、空白地域はむしろこれから地震が起こる可能性が高い危険な場所だった。世界の地震の15%は日本で起こる。日本に原発の適地はないとおっしゃられて、本当につくづくそう思う。
 飯舘村の土壌から16万ベクレル/kgのセシウム137が検出されたというニュースが少し前にあったけれども、これは平米当たりにすると326万ベクレルで、チェルノブイリ事故のときは、55万ベクレル以上のセシウム137が検出された地域は強制移住の対象になったとのこと。セシウムは半減期が30年以上だ。
 放射能の影響の話では、テレビではX線など医療被曝と比較するけれども、医療被曝は個人線量。確率的影響をいう場合は、集団線量(人・シーベルト)で考えるとのことで、資料に放射線被曝で受ける危険の年齢依存性についてのグラフが付けてあった(ゴフマンの『人間と放射線』のデータから小出裕章さんが作成したもの。ここにも出ている)。それによると、0歳では20~30代の大人より4倍リスクが高いし、40歳の9倍高い。10歳でも40歳の6倍高い(ちなみに全年齢平均は、ゴフマンの評価では1万人・シーベルトで4000人のガン死者が発生し、ICRPの基準でも500人のガン死者が出ると仮定されている。全年齢平均に一番近いのが30歳くらいで、50代以上になるとグラフに表れてこない程度)。本当に乳幼児には放射性物質を少しだって吸わせたくないし、食べさせたくないのに。

 荻野先生の原発のお話の後、リニアの話のシンポジウムとなり、橋山先生、荻野先生の電磁波の話、松島先生の地質のお話、JR東海の労組の方のお話を伺って、後半は質疑。その中で出てきた話では、荻野先生が3月16日に東京に行かれたときにされていたマスクを分析したら、やはり放射性物質が検出されたそうだ。

 と、ここまで書いていたら、ついに敷地内の土壌からプルトニウムが検出されたというニュース。荻野先生もプルトニウムが出ているのではないかと危惧されていた。プルトニウムはアルファ線を出すから、ごく微量でも体内に取り込んだら大変なはず(吸入した場合、肺がんを引き起こすリスクが高い)。

 シンポジウムの最後には「リニア中央新幹線建設と浜岡原発運転の中止を求める集会宣言」を採択。国交省やJR東海、中部電力に提出するとのこと。

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4 コメント

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本当に (Aki)
2011-04-02 22:34:11
リニアでなければいけない理由は何もないと思うのですが、
JR東海はあれこれ理由を付けて、あくまでリニアを推進したいようですね。
リニアに反対している組合の方は、葛西会長の夢という言い方をしておられました。
3月の審議会が地震で延期されましたが、今回の震災を受けて、再度中間とりまとめの内容を見直してもらいたいものです。
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地震対策…? (dendenmushi)
2011-03-31 21:55:07
「震災で二重系統化する必要」って…?

何だか適当な方便にしか聞こえません。

リニアの名古屋開業予定は20年近く先になっていますが、それまでに東海地震やら神奈川県西部地震が起こる可能性はないんでしょうか。地震に対応するなら、ただちに東海道新幹線の耐震工事に取り掛かるのべきだと思うのですが(神戸の震災のあと、東名高速道路はすぐに橋脚の強化がなされました)。「バイパス路線を造らなければ大規模補修はできない」ともいわれていますが、それならば何十年も補修できないということになってしまいますよね。そしてどんどん老朽化してゆく…。それに、単にバイパス路線が必要であるならば、電気を余計に食うだけのリニア方式でなければならない理由はないと思います。
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コメントありがとうございます。 (Aki)
2011-03-31 10:59:30
JR東海の山田社長がエネルギー不足によるリニア計画への影響を懸念しているという記事が信毎に載っていました。
http://www.shinmai.co.jp/news/20110330/a-5.htm
一方で、震災で二重系化する必要を感じたと言っているようですが、dendenmushiさんがおっしゃるように、東海・東南海地震では南アルプス地域も震度6が想定されており、あちこちで山崩れが起こると思われます。大深度地下トンネルで出入り口が崩壊でふさがってしまったら、脱出・救出は困難でしょう。何せ大地震でなくても、頻繁に崩落が起こっている場所ですから。
今回の震災を受けて、前提となる条件がいろいろ変わっているので、審議会ではぜひ改めて議論し直してほしいと思っています。
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長文で失礼します (dendenmushi)
2011-03-30 12:27:42
私もリニア新幹線に疑問をもっています。

原発の増設は困難になるのは確実なのに、莫大な電力を消費するリニアを建設することが世論と一致するのでしょうか。仮に原発を増設するなら中電の浜岡あたりだと思うのですが、静岡県には新幹線のひかり号の停車が増える程度の利益しかもたらさないリニアのために、地元がそれを了承するとはとても思えません(リニア建設を強力に推進している長野か名古屋市内につくるなら構いませんが)。火力発電所だって、やたらと増設できるものではないでしょう。
それに、リニアはずうっと地下深くを走るわけですが、大地震のときに、何千人もの乗客が無事に脱出できるのでしょうか。2kmおきに駅のある地下鉄や、1時間おきにしか列車のこない青函トンネルとは全く条件が異なります。
 また、安政・宝永の大地震では赤石山脈のあちこちで崩落が生じたそうです。そんなところにトンネルを掘って、次の東海地震でも無事だとはとても思えません。

最後に、このたびの地震では交通網が寸断されたことにより、経済に大きな混乱をきたしています。リニア推進の立場の方は、リニアを使って今以上に多くの人々が高速に行きかう社会を構築しようとしているわけですが、そうした社会において、「想定以上の」東海地震や大停電でリニアと東海道新幹線が同時に寸断された場合の損失・影響は、現在のところ想定されている損失より大きくなることは確実です。今以上に災害に対して脆弱な社会を構築することにつながらないのでしょうか。
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