「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

第7回リニア対策委員会

2015年06月24日 | リニア新幹線
 今日は第7回のリニア対策委員会が開催された。6月2日に道路改良等の説明会があり、その後、村内各所で開催された住民懇談会でも2日の説明をビデオを流して、意見記入用紙を配るなどして、村として住民の意見を聞いて回った。その後の対策委員会ということで、説明会及び懇談会を受けての住民意見・要望をまとめたものに、村としての影響対策の検討案を付した資料が配付され、それに基づいて、各項目ごとに協議する形で進められた。JR、中部電力、長野県からも出席。
 まずは村民の関心が最も高いと思われる松川インター大鹿線などの道路改良について。住民意見も全線二車線化を要望する意見が最も多く、説明会で示された改良案だけでは渋滞が避けられないのではないかという懸念の声がやはり多いことが示された。委員からは半の沢橋の架け替えが無理なら、残土で埋め立ててはどうかという、以前にも他の委員から要望が出されたことがある案についての質問が出た。これに対しての回答は、発生土置き場については、県からのあっせんを受けて調査検討しており、県は各市町村から提示されたものを集約している。中川村からの提示がないのでJRとして言及できないというものだった。現在、発生土運搬についての確認をJRと中川村でやり取りしていて、それが済まないと話が進まないという県の人からの話もあった。(これのことかな?)152号線の青木地区については、測量がまだということで、先日の説明会でも具体的な改良計画が示されなかったが、地権者に対して測量の連絡が来たそうで、改良計画の地元説明が先ではないかという苦言もあった。それに対しては、改良の検討のためにまずは測量をしたいという、鶏が先か、卵が先かみたいな回答。
 村中心部の国道152号線の代替ルートについては、やはり小渋川左岸(大西公園側)の通行を求める意見が大半。これに対しては、説明会で示した右岸の堤防道路はJR側が一番やりやすいということで決定ではない、小学校の校長先生の話も聞いたとした上で、152号線を拡幅して通れれば一番いいというので、冗談じゃないと思った。とにかく対岸にしてほしいという強い意見が出て、分室長もこの場での返答が決定ではないと前置きした上で、河川管理者と協議するという前向きな回答があった(ただ、できるかどうか分からないと何度も言っていた)。
 変電所と送電線についても、地中化を要望する意見が一番多かった。中電からは前回と同じ説明しかできないという回答。送電線はどこにでも通っているもので、ユネスコエコパークになっているところでも通っているという言い方もされた。委員から鉄塔を建てるためにどのくらいの範囲を伐採するのかといった質問や、村長からは地中化した場合の故障はどんなものがあるのかという質問があった。(これは前回の対策委員会や住民説明会の際に、停電・故障の頻度で言えば架空線の方がずっと多いのではないかという質問があったことに呼応した良い質問だと思った)それに対する回答の中で、地中化ケーブルが歴史的に新しくて30年くらいというので、30年の歴史しかなくて、どうして耐用年数が約30年と言えるのかという質問をした。それに対しては、15万4000ボルトのケーブルについての話だそうで、その下の7万7000ボルト以下のケーブルと違って、非常に特殊なものだという説明があった。
 仮置き場と車両台数の平準化については、さらに仮置き場を確保し、平準化が必要という意見が一番多かった。この車両台数については、月に26日稼働するとして算出されていることを先日確認したので、土曜日は走らないようにしたら何台になるのかという質問をさせてもらった。単純計算したら1600台を超える数字になってしまう。152号線の迂回ルートが増水などで通れないときなどを考えても、発生土仮置き場をある程度確保して平準化が必要だと思うけれども、一方で、村のあちこちが残土置き場になることも耐えがたい。現在の候補地も、いずれも砂防法や河川法、森林法、農地法などにかかわるところで、災害等の安全面から考えても決して良いと思える場所ではないので、本当に悩ましい。小渋川最上流の候補地に、道路事情等から現実的に置けるのかという疑問の意見もあった。この大鹿の地で大量の掘削土が出ること自体が、運ぶにしても、置くにしても、どちらも無理が大きすぎる。
 スケジュールについては、JRのスケジュールありきではなく、住民の意見を聞き理解を得てから着工すべきという意見が多かった。それに対する事務局案が着工までの具体的なスケジュールを示すことというものだったので、住民と村が協議をしていく時間が必要という意見が出された。それもそうだし、保安林の解除審査にかかる時間、発生土置き場の環境アセスにかかる時間等々、先日出されたJRの希望するスケジュール案にないものがいろいろ考えられるので、そういうものも示してほしいと要望した。
 その他で、協定の締結を求めていくという事務局案があり、協定、覚書、文書等々の言葉の意味を確認させてもらった。先日、山梨の集会における大鹿村の報告の中で、釜沢自治会が覚書を交わしたという言い方をしたのは誤りだったそうだ(釜沢工事情報かわら版に覚え書きという言葉が使ってあったので、そういう言い方をした)。協定や覚書は同じ者を二通作って双方で持つもので、釜沢自治会とはそういう形ではなく、協定書でも覚書でもないとのこと。
 最後に村長が大鹿村の医療体制のことを言われた。大規模工事で万が一の事故などの際、大鹿診療所は医師が1名しかいない。工事現場に医師が行ってしまうような事態になったら、一般の村民の診療ができなくなってしまう。そうした事態に対する実効的な対策も研究してほしいという、重要な問題提起だった。JR側はそういうことは今まで考えていなかったようで、これはぜひともしっかり考えていただきたい課題。
 次回は今回出された住民意見・要望に対するJR側からの回答を聞いて協議する形になる。