「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

大鹿村リニア事業説明会

2014年11月11日 | リニア新幹線
 昨日は交流センターにてリニアの事業説明会が行われた。長野県内では豊丘村、南木曽町、喬木村に次いで4か所目。大鹿村では「残土運搬ダンプ等の大型車両が一日最大1736台」に象徴されるような住民の生活環境破壊等、工事による被害が大きく、住民の反発も強い。会場入り口では、大鹿の100年先を育む会の有志たち等が、「大鹿大好きキャンペーン」として、今のままの大鹿村を守りたいという思いを絵や写真、言葉でアピールしていた。







 去年の準備書説明会のときも大勢集まったが、今回は人口1100人余りの村で約290人もの人が参加。質疑応答も次々と手が挙がって24人が質問し、終了時間は大幅に延長して10時半くらいまで行われた。これまでの説明会が時間で切られていたことを思うと、はっきり改善された点。準備書の説明会のときには録音禁止だったが、今回は録音もOKになった。
 質問は多岐にわたったが、私自身も今回一番聞きたかったこと、国交省が認可の際に求めた「地元の理解と協力を得る」ことについて、何をもって「理解が得られた」と判断するのか、理解を得られなかったら着工しないのかといった点について、何人もの人が質問した。それに対して、澤田担当部長は「理解が得られなければ着工できないと考えている」と回答。また、何をもってという点では、村や対策協議会(委員会)での理解という回答だった。土地収用法の対象事業ではあるけれども、いきなり強制収容等は考えていないとし、住民投票で反対が示されたらどうするのかという質問も出たが、同意がなければ着工できないと明言した。
 また、大鹿村にとっては被害ばかりで、一体何のメリットがあるのかという質問をされた人も何人かいた。以前の説明会では飯田にできる駅を利用して東京や名古屋に近くなる等のことを言っていたように思うが、今回は「今の時点で申し上げられることはない」と正直に答えていた。
 村が要望している小渋線の道路改良については、新たなトンネルも含めて検討している、大きな渋滞が起きないよう、あるいは緊急車両の通行が妨げられないよう改良するという説明はあったが、具体的な改良箇所等についての言及はなく、測量・地質調査の結果を基に協議し、道路改良工事の説明会で説明するとのことだった。また、村のメインストリートになる国道152号線の代替ルートについても、配布された資料の中では国道を使うようになっていて、村から河川内という提案もいただいているが協議中ということで、はっきりした見通し等は何も分からないままだった。
 私自身は、以前から気になっていた点として、上蔵非常口の車両台数があまりに多すぎるので、なぜそうなるのかという点、残土以外に資材や機械の搬入の車両がどの程度あるのかという点、上蔵と釜沢を結ぶトンネル先進坑が開通したら、残土運搬車だけでなく他の工事車両もそこを通って県道赤石岳公園線は通らなくて済むようになるのかという3点を質問した。あまりに多すぎるのは、先進坑と本坑を両方掘るからという話だったが、そうしたら、山梨県や静岡県も同じだと思うが、どうなんだろう。車両の内訳としては、細かい年度ごと、工事箇所ごとの資料は今ないとのことだったが、1736台は残土運搬が8割という話だった。
 釜沢でのトンネル工事は来年秋ごろから始めたいというスケジュール案が示されたが、事後調査で工事前1年間、水の調査をすることになっている。既に調査地点を決めて調査を実施しているのだろうか。そうでなければ、自ら評価書に書いた内容を守らないことになる。協定書を結ばない理由として、社長名の公式文書としての評価書に書かれている内容をきちんとやっていくと言っていたので、ここはきちんと確認しないといけないと思った。
 小渋川橋梁の地中化が困難とする説明の中で、川の下は100メートルくらい下を通らなければいけないと言っていたが、青木川の下は38mしかなく、自ら言っていることが矛盾している。
 今回、村全体としての説明会は1回しか設定されていないけど、今日も質問は一人3つまでと限定されていたし、再質問はできなかったので、まだまだみんな質問したいことは山ほどあるだろう。澤田担当部長も「今日が始まり」というような言い方をしていたが、だとするなら、地元限定の説明会や対策委員会だけでなく、住民との対話の場をしっかり持ってほしい。最後に質問に立った人が小中学生の子どもたちにも説明してほしいと要望していた。真摯に受け止めていただきたいと思った。

大鹿のトンネル坑口、15年秋着工 JR東海リニア説明会(信毎Web)

【追記】
 この日の様子をフリージャーナリストの樫田秀樹さんがブログで紹介してくださっています。
 リニア、大鹿村事業説明会