「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

長野県アセス技術委の意見

2014年03月15日 | リニア新幹線
 3月12日に長野県環境影響評価技術委員会が開催され、リニア準備書についての最終審議が行われた。ここで知事意見の原案となる意見がまとめられ、翌13日に亀山委員長から阿部知事に直接手渡された。

リニア計画、JR東海に見直し要望 知事意見原案固める(信毎Web)

リニア準備書最終審議で知事意見原案まとまる(南信州)

リニア準備書の意見書を知事に提出(南信州)

長野)リニア環境影響評価、JR東海に対し厳しい見解(朝日新聞)

リニアと暮らし:小渋川付近、深層崩壊の危険性 県環境影響評価技術委、トンネル化求める /長野(毎日新聞)

県技術委、斜坑数の見直し求める リニアアセス(中日新聞)

 意見書の内容はおおむね、新聞各紙にもあるように、工事の影響を懸念する地域住民の声に応えた、事業者に厳しい内容のものとなった。工事を開始するに当たって、関係市町村と環境保全の協定を結ぶことを求めた点も心強く思った。大鹿村について言えば、小渋川橋梁のトンネル化や変電施設の地中化、非常口や工事用道路の見直しなど、事業計画の変更を検討し、検討の経緯及び結果を評価書に記載することや、南木曽町から出ていた非常口の数の削減などの見直しも盛り込まれた。しかし、これまでの委員会でのやりとりの中では、JR側はあくまで2027年開業を前提として、工期の延長につながる計画自体の見直しについては譲歩の姿勢はない。(なので、追加調査や再調査を求める意見も、評価書作成前の調査までは求めておらず、すべて事後調査でよいことにされてしまっている)。2027年開業から逆算すると、例えば大鹿村での工事計画は1年目から13年目まで記載されているので、1年目が2014年、遅くても2015年でないと間に合わないことになる。信毎の紙面には、4月ごろめどに評価書の作成、6月ごろめどに工事実施計画の申請、夏ごろめどに認可、年内めどに着工という表があったが、2027年を前提にすれば、そういうスケジュールになってしまう。そうなると、知事意見にこの委員会意見がそのまま反映されたとしても、JR側として「検討したけれども、やはり変更できない」として、これまで技術委員会に出された資料程度の説明書きが付けられただけでおしまいにされてしまう可能性も高いだろう。信毎のリンクした記事の横にあった解説記事には「JRが評価書で準備書の内容の域を出ない場合、着工認可前に改善への道筋を付けるには、環境相や国交相に評価書を補正させる意見を要請するなど対応が限られる。知事意見をまとめるに当たり、県は評価書の内容が不十分なままでは事業の進行を認めないなど、将来に禍根を残さないよう求めることが欠かせない」とあった。本当にそのとおりで、工期よりも環境という踏み込んだ姿勢をしっかり前面に出してほしいと切に願う。

 今回手渡された意見と指摘事項、また環境影響評価技術委員会の資料等はこちら

 他県でも、審査会等で知事意見の原案となる意見がまとめられてきている。静岡県の審査会では、南アルプスを「将来に残すべき重要な遺産」と明記し、新たな環境監視体制を整備するよう県に求めた上で、JRに参画を促した。

リニア「残土処理再検討を」 県審査会が答申(静岡新聞)

山梨)リニアアセス 知事意見案まとまる(朝日新聞)

 静岡県でも山梨県でもユネスコエコパークとの調整、阻害要因にならないようにという文言があるが、長野県の委員会の意見の中には「ユネスコエコパーク」の文言は見つからない。工事区域で住民が生活していない静岡と違って、長野県内では大鹿村に代表されるように住民の生活環境への負荷があまりに大きく、委員会の議論もまずは水や残土の問題に代表される生活環境への影響についての議論が多かったせいかなと思った。