「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

リニア説明会

2013年05月14日 | リニア新幹線
 昨日は山梨県で行われたリニアの説明会に参加した。今回は中間駅のイメージが示されたので、地元紙にも1面トップに大きく出ていた(「ほぼ乗降施設のみ リニア駅効率化徹底 飯田など3駅図案」信毎) 。当初地元負担とされていたものがJR東海が自己負担するということで、極力コンパクト化して、ほぼ乗降施設のみの構造。高架下部の残りのスペースは地元等の賃借可能部分で、そこに地元負担で必要な施設を作れるという説明。全車指定席として、すべて事前に座席予約する方式とし、切符を販売するスペースも設けないというのには、驚いた人も多かったかもしれない。
 説明会ではこのほか、環境アセスの進捗状況、工事開始までの流れなどについても説明があった。環境アセスの調査は、動植物調査のうち猛禽類調査が2営巣期ということで今年の夏までかかるが、あとの大気質や騒音・振動、水環境、電波障害など、ほぼ終了しているようで、今まさに予測・評価をしている段階とのこと。山梨県で現地確認された動植物の例として、クマタカも挙げられていた。
 あと、工事開始までの流れとしては、環境アセスの手続きが、この秋の準備書の縦覧、説明会、意見募集、県のアセスの委員会、知事意見等々を経て、評価書まで。その後、工事実施計画の申請・認可となり、認可から工事開始までとしては、まず事業説明会、中心線測量、設計協議、用地説明、用地測量、用地取得。そして、構造物の設計に基づき、工事を発注した後に、工事説明会が行われ、工事開始となる。
 また、環境対策工について、騒音対策のため、コンクリートのフードか防音壁を設置するという説明があった。現在の実験線でも設けられているあのコンクリートの明かりフードは、リニアの走っている姿も見えないし、乗客も景色が見えないということで、極めて不評だ。昨日も質疑応答の中で甲府市長が、甲府盆地の縁をコンクリートのかまぼこ型のドームがずっと続くのは景観上もよくないと苦言を呈した。JRの説明では、透明アクリルなども検討したが、厚さが相当大きくなってしまうし、透明性を確保するためのメンテナンスも困難で、極めて難しく見通しが立たないという回答だった(それでも、一応引き続き検討するとは言っていた)。
 山梨実験線の延伸と設備更新の進捗状況については、本体工事はほぼ完了し、ガイドウェイの設置も完了、9月には走行試験を再開予定とのこと。

 その後、質疑応答となり、一斉に手が挙がる。ちょうど前日に広瀬隆さんの「リニアと原発」についての講演会が甲府で行われていて、原発再稼働を前提としているのではないかという疑問を複数の人が聞いた。JR側の回答は、東電、中電、関電のこの夏の供給力見込みの数字を挙げ、余力の範囲内で対応できるというこれまで通りのもの。また、非常時の避難についての質問も複数の人から出されたが、車いすの方や高齢者などが数キロ歩いて避難するのは、やはり相当困難だと思わざるを得ない。ガイドウェイと側壁とのすき間がどれくらいか、地震などの際に衝突することはないのかという質問もあった。磁気ばねが働くから衝突しない、万一衝突しても脱線等のないような設計になっているという回答。時間を30分ほど延長しても挙手した全員が質問できずに打ち切られたが、最後に質問されたのは山梨・中間駅の予定地となっている甲府市大津町の方で、まず「一体いつ話に来てもらえるのか?」、また、事故があったときにどうなるのか、車両の安全性など、よい点ばかりでなく示してほしいと言われた。

 今回と同様の説明会が、長野県では6月12日(水)2時から、飯田文化会館で開催されるそうだ。JR東海のホームページにて事前申し込みが必要。