「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

ワシタカ類と道路工事のお話

2010年12月04日 | 自然・環境
 昨日は大荒れの天気で、突然雲が下りてきて暗くなったと思うと、すごい風雨になったり、いったん収まって天気が回復するのかと思うと、また突然嵐のようになったりと、本当に目まぐるしく天気が変わった1日だった。最後は雪に変わったみたいで、朝起きたら、うっすらと雪景色になっていて、うわ、初雪と思って、携帯で写真を撮って、twitterにつぶやく。
 午前中は自治会の道路清掃作業で、午後から飯田の美博の自然講座を聴きに行く。「ワシタカ類の生活と道路建設事業」と題して、一昨年開通した三遠南信道飯喬道路の山本IC~天竜峡IC区間で行われたワシタカ類の調査や保全対策のお話を聴いた。対象になっていたのは、その地域に生息する猛禽類、オオタカ、ノスリ、ハチクマで、特に巣にビデオカメラを設置してずっと観察していたことから、随分いろいろなことが分かったみたいで、本当にびっくりするような事象もビデオ映像で見せていただいた。ヒナ同士の争いや、時には親がヒナを間引いてしまうこと、ヒナが天敵に襲われてやられてしまう場面、ノスリとフクロウで巣の奪い合いをしたり、本当に厳しい生存競争の一端がうかがえた。
 工事との関連では、工事個所のすぐ近くで営巣していたので、代替巣をつくってやったら、そっちに移動した例なども紹介していただいた。その他、低騒音の重機を使うとか、遠いところから工事をしてきて、騒音等に慣らすとか、いろいろ配慮した工事をしたそうだ。実際、工事期間中は、工事個所を避けるなど行動圏に変化はあったそうだけど、工事の騒音などはあまり気にしていない様子だったとか。工事期間中は繁殖に成功したつがいの数が減ったけれど、工事が終わり、道路が供用開始になってからの2年間は、工事実施前と同程度に繁殖に成功しているのが確認されたということで、「事業の円滑な推進と希少猛禽類の繁殖の両立」を果たすことができたとのこと。ただ、そういう結論を得て、この場所でのモニタリングは今年で打ち切りとのことで、例えば交通量が増えることなどによる継続的な影響も気になった。
 
 ワシタカといっても、私自身はどれがどれだかほとんど区別がつかないのだけど、もちろん大鹿にもいろんな猛禽類が生息している。ただ、今回紹介いただいた里山の猛禽類と違って、奥山に生息するイヌワシなどはもっとずっと敏感だという。もしリニアが本当にこの地域を通ることになったら、やはり工事によるその辺の影響は大きな心配の一つ。