「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

長野県知事選挙

2006年08月10日 | 非戦・平和・社会
 先日の長野県知事選挙で田中康夫氏が敗れたことについて、奈良に行ったときもいろいろな人から聞かれ、あの選挙が一長野県だけの問題でなく、全国から注目されていたことを改めて感じた。
 事前にも、知事の住民票移転問題で有名になった泰阜村の松島村長のブログに合併しない宣言で有名な福島県矢祭町長からのメッセージが紹介されていた。そこには、「田中康夫氏が長野県知事であり続けることは、日本全国の地方自治体に大きな勇気と自立、独立の正義を与えます。この度の長野県知事選挙はひとり、長野県の栄枯盛衰のみならず、全国の地方自治体の命運が懸っております」とまで記されていた。
 しかし、田中氏は敗退した。
 よく田中知事の改革の方向はいいが、手法が問題だといった言われ方をしてきた。あるいはパフォーマンスばかりが目立つとか。市民運動畑で長く活躍されており、以前軽井沢町議もされていた岩田薫氏が、8月9日付朝日新聞への投書で、「苦渋の思いで反田中の一票」を投じた理由の一つとして、住民票移転問題を挙げていた。あの岩田さんが自民党の候補に投じたというのは、私としてもかなりショックだったけれども、かつて「同じ市民運動の仲間が知事に選ばれ、感慨もひとしお」と書いた人の気持ちがここまで離れてしまったことが、今回の敗因を端的に物語っているように思った。
 実は私自身も率直に言って田中氏を積極的に支持する気持ちにはなれなかった。でも、自民党の村井氏になって旧来型の県政に戻っても困るという消極的な選択だった。かつての熱烈な支持者から見限られ、投票した側もこのように消極的とあっては、この結果は致し方ないのかもしれない。むしろ、手法その他に問題を感じても、田中氏に続投してほしいと願った県民があれだけいたと考えるべきだろう。
 いずれにしても、長野県民の多くは、田中知事が行ってきた改革の数々の方向性を支持しているのだと思う。ダム問題だって、今回の災害を受けた岡谷で田中氏の票が多かったことが示しているように、巨額の借金を増やしてダムを造れば問題が解決するなんて、多くの良識ある県民は思っていない。高校再編問題にしても、今更白紙に戻すなど混乱したら、一番迷惑なのは当事者である受験生である。
 新知事にはそこら辺を重々考慮して県政にあたってもらいたい。ガラス張りの知事室をやめるぐらいはともかく、動き出した改革が逆行し、田中知事以前の県政に戻るのであれば、再び県民は反対票を投じるだろう。