◇「改正」を強調たい読売新聞
読売新聞の世論調査で憲法9条は「これまで通り、解釈や運用で対応する」が43%、「9条を厳密に守り、解釈や運用では対応しない」が17%の、合わせて60%の人が憲法9条の改正に反対していることが分かりました(3月15日読売新聞)。さらに「戦争の放棄」(第1項)について、改正する必要が「ある」は17%、「ない」が76%、「戦力の不保持」(第2項)については、改正する必要が「ある」39%、「ない」52%で、多くの人が憲法第9条を守るべきだと考えていることが分かりました。
しかし、読売新聞がこの世論調査の結果を発表した15日朝刊の一面トップの見出しは「憲法改正『賛成』42% 『反対』は41%」でした。これは最初に「あなたは、今の憲法を、改正する方がよいと思いますか、改正しない方がよいと思いますか」という質問を行って、それへの回答を集計したものです。
◇「質問の仕方」に問題はないか
それに続いて、改正した方がよいと答えた人に「その理由はなんですか」という質問を設け、回答の選択項目を表示していますがが、最初に「アメリカに押し付けられた憲法だから」を挙げ、続いて「国の自衛権を明記し、自衛隊の存在を明文化するため」「権利の主張が多すぎて、国民の義務がおろそかにされているから」「時代の変化に憲法の解釈や運用だけで対応すると混乱するから」など、憲法改正へ誘導するような質問を並べています。「改正しない方がよい」と回答した人が次の質問項目を見て、考え直させるような効果を持っているように思えます。
◇「憲法解釈変更で集団的自衛権行使」容認は少数
また集団的自衛権の行使を容認するかどうかについても質問しましたが、「憲法の解釈を変更して、集団的自衛権を使えるようにする」は27%しかなく、「憲法を改正して、使えるようにする」22%、
「これまで通り、使えなくてよう」43%で、安倍首相が進めようとしている解釈改憲は少数の支持しか得ていないこともわかりました。「憲法を改正して使えるようにする」のうちには、「積極的に集団的自衛権を行使する」という意見と、「行使すうようにするためにはなら憲法改正が必要だ」という意見の違いが示せないような質問になっているのも問題です。。
◇「96条の改憲要件は過半数でよい」は24%
さらに憲法改正条項の「国会議員の3分の2以上の賛成による発議が必要」という96条の改正については、「過半数の賛成で提案できるように緩和する」は24%しかなく、「過半数の賛成に緩和する条文と、3分の2以上の賛成を維持する条文に分ける」が14%、「3分の2以上の賛成のままでよい」が52%で、安倍首相の目論見も国民から支持されないようです。
「安倍改憲」に国民は厳しい目
読売新聞は毎年同様の調査を行っていますが、単純に「憲法改正の必要」を問う質問では「改正賛成」多数を占めてきました。しかし2008年3月の調査で初めて「改正」42.5%、「反対」43.1%と逆転しましたが、その後は「賛成」が「反対」を上回り、昨年の調査では「賛成」51%、「反対」31%でした。それが今年の調査では「賛成」が9%減り、その分「反対」が10%増えました。9条改正に60%の人が反対したことと考え合わせますと、安倍内閣の改憲志向に対し国民が真剣に考えるようになったのだと思うというのが私の感想です。