発言要旨のみ公表 閣議議事録 (14.3.3 中日新聞)
杉田和博官房副長官は七日、首相官邸で開いた次官連絡会議で、四月から作成して公表する閣議と閣僚懇談会の議事録について、公開するのは発言要旨に限定すると説明した。
議事録の作成・公表は一八八五年の内閣制度発足以来、初の取り組みとなるが、要旨のみの公表によって、政府に都合の悪い発言を意図的に隠すことも可能になる。
杉田氏によると、公開対象は発言者名と内容、開催日時・場所、案件一覧など。発言内容については「発言要旨を記載することを想定している」と話した。閣議、閣僚懇の録音はせず、同席する杉田氏や内閣法制局長官らが手書きで発言を記録し、要旨をつくるという。このため、正確な議事録にならない可能性がある。
また、杉田氏は「国家安全保障会議」(日本版NSC)など、他の関係閣僚会議でも議事録を作成・公表するかどうかについては「数が多く、設置こんきょやや運用が異なる。閣議や閣僚懇談会の対応を踏まえて検討する」と述べるにとどめた。
政府は4日、議事録を閣議の開催日から約三週間後に官邸のホームページで公表すると発表。しかし、対象範囲については「全て公開という形にならない」(菅官房長官)として制限を加える考えを示していた。
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閣議の議事録公表については、今月4日に菅官房長官が午前の記者会見で発表し、安倍首相が同日の参議院予算委員会でこのことを公表し、「憲政史上初めてのことだ」と胸を張りました。1885年(明治18年)に太政官制度に変わって内閣制度が生まれ、第一次伊藤博文内閣が発足しましたが、それ以後これまで閣議の様子(どのような議論がされ決定に至ったのか)などは非公開とされてきましたので、安倍首相は内閣の透明性を自慢したかったのかもしれません。
特定秘密保護法が閣議や省庁の決定事項を闇の中に閉じ込め、「何が秘密なのかわからない」「省庁の責任者(大臣)が恣意的に秘密を指定し、国民にとって重要な情報を国民には知らせないようにする」などの批判が法案の強行採決後2ヶ月経っても絶えません。安倍首相としては内閣の公開性を宣伝しようとしたのでしょうが、録音も取らず、正確な議事録ではなく、発言要旨のみ発表では発表案件、内容も取捨選択されかねず、中日新聞も指摘するように「政府に都合の悪い発言を意図的に隠すことも可能」になり「羊頭狗肉」の謗りを免れません。
国家安全保障会議(NSC)など閣議以外の関係閣僚会議でも議事録を作成・公表するかどうかは検討中(杉田官房副長官)というのですから、安倍内閣の「透明性」も怪しくなります。
現行の公文書管理法でも閣議の決定と経緯について文書の作成が義務付けられていますが、守られて来ませんでした。安倍首相は昨年秋の臨時国会で公文書管理法改正案を国会に提出することを明言しましたが、閣議議事録の公開を法で明確に義務付けるのではなく、“お得意の”閣議に「格下げ」しました。
大西 五郎