上野千鶴子さん山梨市長と「和解」(14.3.19 毎日新聞)
山梨市が中止方針を撤回した社会学者、上野千鶴子さんの講演会が18日、同市で開かれた。望月清賢市長が冒頭、「上野先生に無礼を働いた」と陳謝すると、上野さんは「過ちを改めるに、はばかることなかれ」と応じ「和解」が成立。会場は聴衆約400人で満員になり、上野さんは「ひとりで最期まで在宅で」と題して1時間半にわたり熱弁をふるった。最期に「今回の講演料は市に寄付します」と表明し、喝采を浴びた。
講演会を巡っては、少年の性に関する上野さんの過去の発言などを挙げて望月市長が「表現が強すぎる」などと中止を申し入れた。しかし、市民の抗議などを受け、17日に一転して開催を決めた。
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この記事では望月市長が上野さんの少年の性を巡る過去の発言(熟女に癒してもらえばいいなど)の表現が強すぎるなどと「中止を申し入れた」となっていますが、16日の毎日新聞では、「望月市長は『住民から抗議もあり、公費開催はふさわしくないと判断した』と説明。」となっています。
「市民からの抗議」が中止のきっかけのようですが、島根県松江市で「はだしのゲン」が学校図書館の開架から教員室などに「しまい込まれた」事件も教育委員会にかかってきた市民からの電話に教育委員会が過剰に反応したためでした。東京都美術館が造形作家の作品に政治の右傾化に反対するメッセージを書いた紙が付いていたため、「市民からの抗議」を恐れて美術館側がメッセージを取り除くよう要求しました。
最近自分に気に入らないことがあるとネット上で攻撃し、それを見た人が同調していわゆる「炎上」することがしばしば起きていますが、ネトウヨと呼ばれる人たちの間でよく起こるようです。これらの人たちは自分で事実かどうかを確かめようともしないで、冷静に考えれば「はたして本当だろうか」と思うようなことでも「ネット上に書かれたことは事実である」(メディアはなかなか本当のことは書かない)と決め付けて抗議の声を挙げるというケースが多いとジャーナリストの安田浩一さんの「ネットと愛国」という本に書いてありましたし、15日の中日新聞の「ネットで何が・・・」でも、「何かの事件が発生すると『在日コリアンの仕業』とのネット上の書き込みがあふれる」と指摘しています。ネット上のキャンペーンを読むとお二人の指摘のようなことが起きていると思います。一種の狂気を感じます。
これに行政が必要以上に反応しているのが問題です。山梨市の場合も(人数は明らかにされていませんが)講演会に反対する電話なりメールで中止の判断をしたということですが、多くの市民は講演会を支持し、中止を思い留まらせ、会場は満員になったことを見れば、市の側が抗議に過剰に反応し、方針を誤ったと云えます。行政は抗議の声の大きさに怯むことなく、言論・表現の自由をしっかりと守ってほしいと思います。
大西 五郎
山梨市が中止方針を撤回した社会学者、上野千鶴子さんの講演会が18日、同市で開かれた。望月清賢市長が冒頭、「上野先生に無礼を働いた」と陳謝すると、上野さんは「過ちを改めるに、はばかることなかれ」と応じ「和解」が成立。会場は聴衆約400人で満員になり、上野さんは「ひとりで最期まで在宅で」と題して1時間半にわたり熱弁をふるった。最期に「今回の講演料は市に寄付します」と表明し、喝采を浴びた。
講演会を巡っては、少年の性に関する上野さんの過去の発言などを挙げて望月市長が「表現が強すぎる」などと中止を申し入れた。しかし、市民の抗議などを受け、17日に一転して開催を決めた。
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この記事では望月市長が上野さんの少年の性を巡る過去の発言(熟女に癒してもらえばいいなど)の表現が強すぎるなどと「中止を申し入れた」となっていますが、16日の毎日新聞では、「望月市長は『住民から抗議もあり、公費開催はふさわしくないと判断した』と説明。」となっています。
「市民からの抗議」が中止のきっかけのようですが、島根県松江市で「はだしのゲン」が学校図書館の開架から教員室などに「しまい込まれた」事件も教育委員会にかかってきた市民からの電話に教育委員会が過剰に反応したためでした。東京都美術館が造形作家の作品に政治の右傾化に反対するメッセージを書いた紙が付いていたため、「市民からの抗議」を恐れて美術館側がメッセージを取り除くよう要求しました。
最近自分に気に入らないことがあるとネット上で攻撃し、それを見た人が同調していわゆる「炎上」することがしばしば起きていますが、ネトウヨと呼ばれる人たちの間でよく起こるようです。これらの人たちは自分で事実かどうかを確かめようともしないで、冷静に考えれば「はたして本当だろうか」と思うようなことでも「ネット上に書かれたことは事実である」(メディアはなかなか本当のことは書かない)と決め付けて抗議の声を挙げるというケースが多いとジャーナリストの安田浩一さんの「ネットと愛国」という本に書いてありましたし、15日の中日新聞の「ネットで何が・・・」でも、「何かの事件が発生すると『在日コリアンの仕業』とのネット上の書き込みがあふれる」と指摘しています。ネット上のキャンペーンを読むとお二人の指摘のようなことが起きていると思います。一種の狂気を感じます。
これに行政が必要以上に反応しているのが問題です。山梨市の場合も(人数は明らかにされていませんが)講演会に反対する電話なりメールで中止の判断をしたということですが、多くの市民は講演会を支持し、中止を思い留まらせ、会場は満員になったことを見れば、市の側が抗議に過剰に反応し、方針を誤ったと云えます。行政は抗議の声の大きさに怯むことなく、言論・表現の自由をしっかりと守ってほしいと思います。
大西 五郎