護憲集会の後援 神戸市が不承認「政治的中立性」理由(14.3.3 中日新聞)
神戸市で五月三日の憲法記念日に護憲の立場から開かれる「憲法集会」について、神戸市と市教育委員会が「政治的中立を損なう恐れがある」として、以前は承認していた後援の名義使用を今年の集会には承認しなかったことが二日、主催団体の関係者への取材で分かった。
主催団体は護憲グループなどでつくる「神戸憲法集会実行委員会」。実行委の関係者によると、一九九八年と二〇〇三年の集会には後援の名義使用が承認された。
ところが今年五月の集会への後援を昨年十二月に申請したところ、「護憲と改憲にはそれぞれの政治的主張があり、憲法に関する集会そのものが政治的中立性を損なう恐れがある」との理由で、承認しない通知が市と市教委から先月とどいた。実行委は「公務員に憲法尊重擁護義務が定められている。過去に承認したこととむ矛盾する」と主張。所属する学識者や弁護士らが、抗議文を近く市に提出することを検討している。
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神戸市と神戸市教委が憲法集会の後援を断った背景には最近の安倍内閣による改憲志向の強まりや集団的自衛権の行使容認の解釈改憲への動きと関連があるように思えます。政府による教育委員会の改組問題も市教委を萎縮させているのではないでしょうか。
名古屋の憲法集会では毎年名古屋市の後援を得ています。
同じ3日の中日新聞には、大阪府と大阪市が共同で設立した財団法人博物館「大阪国際平和センター」(ピースおおさか)が、大阪市教育委員会の要請を受けて、歴史認識に関する「政府の統一的見解」を指針とした改装計画をすすめていると報じています。ピースおおさかでは「教育基本法や改訂された学習指導要領の趣旨を十分踏まえる」として、旧日本軍の加害行為の展示を大幅縮小する構想を決定した上で、監修委員会が展示内容を議論してきました。
この他、先月東京都美術館で造形作家の「時代の象徴――絶滅危惧種」という作品に政治の右傾化に反対するメッセージが描かれた紙が付いていたというので、美術館側からそのメッセージの撤去を要請されたという事件も起きています。この作家は会場の使用が不許可になる心配があったため、やむを得ずメッセージの紙を取り除いて展示しなければなりませんでした。美術館側では「こういう考えを美術館として認めるのか、とクレームがつくことが心配だった」と云っていますが、最近のネット上での右翼的言辞で美術館が攻撃されることを心配したようです。
図書館や書店で「アンネの日記」が破られる事件もおきていますが、憲法問題やかつての戦争についではさまざまな意見がありますが、それが自由に発表され、国民がその意見を聞いて判断するために言論・表現の自由が守られなければなりません。相手の意見に反対ならば、言論を闘わすべきです。また芸術作品も表現の自由が確保されることが必要です。それを行政の側が時の政権の意向を忖度して規制を加えることはあってはならないことです。関係自治体の反省を求めたいと思います。
大西 五郎