安保基本法案の首相方針代弁?小松法制局長官 (14.3.12 中日新聞)
小松一郎内閣法制局長官は十一日の参院予算委員会で、憲法に基づき禁じられてきた集団的自衛権の行使を容認することを盛り込んだ「国家安全保障基本法案」について、「安倍晋三首相は自民党が野党時代に決定した基本法案を提出する考えではないと思う」と述べた。
自民党は、野党時代の二〇一二年衆院選のほか、一三年参院選で安保基本法の制定を公約。衆院選で勝利した後、安倍首相は「憲法解釈を変更する場合はまず閣議決定する」と述べているが、同法案を提出しないと述べたことはない。内閣法制局長官が首相に代わって先回りして方針を答弁することは異例で、議論を呼ぶ可能性がある。
社民党の福島瑞穂氏に対する答弁。福島氏は内閣法制局長官は政府内での「憲法の番人」と位置付けられていると指摘した上で、「首相と一体で忖度してはだめだ。それをやったら内閣法制局の立場がない」と批判した。
菅内閣官房長官は記者会見で、安保基本法について「首相の私的顧問会議の報告書が提出された後、与党とも相談し検討していく」と述べるにとどめた。自民党の脇雅史参院幹事長は記者会見で「法制局長官に法案の提出権があるわけではない。首相が言うなら分かるが、余計なことだ」と不快感を示した。
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小松内閣法制局長官は4日の参議院予算委員会で集団的自衛権の行使容認について安倍首相の方針を尊重するかのような答弁をして、共産党の小池晃議員から「あなたは憲法の番人なのだから、安倍政権の番犬みたいなことはしないでほしい」と言われ、翌日、社民党の吉田忠智議員の質問中に「番犬ということは受け容れることはできない」と、指摘した本人にではなく第三者に不満をぶつけるという異例の行動に出ました。さらに7日に共産党の大門実紀史議員が国会内の廊下で小松長官に「番犬という言い方は不適切だった」と伝えるとともに「抗議するなら他党の議員に言うのではなく、共産党に云ってきてほしかった」というと、小松長官は興奮して大門氏と口論になるということもありました。
小松氏はフランス大使も務め、外務省でミスター国際法と呼ばれたエリート官僚だったそうですが、自信満々で、首相も自分の言うことをきくと思っているようですね。内閣法制局長官の仕事は冷静さが要求されます。すぐに激昂して口論するような性格の人物は相応しくありません。
それにしても衛藤首相補佐官といい、本田内閣官房参与といい、NHK経営委員の百田尚樹、長谷川三千子の両氏、安倍首相が経営委員を入れ替え、経営委員がその意図を汲んで選出したといわれる籾井NHK会長といい、安倍首相が自分の周りに集めた“人材”がどうしてこうもトラブルを起こすのでしょうか。その職務に相応しい知識と能力を持っているからではなく、首相が自分の考えと一致する人物ばかりを自分の周りに集めようとした結果なのではないでしょうか。首相の任命責任が問われます。
大西 五郎