足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

円相場81円・・・資産デフレ脱却の糸口

2012-02-25 08:47:46 | 株式

円相場がNY市場で下落し81.21円になった。最近の高値から7%の下落だ。

一方、NYダウは13,000ドル台乗せを控えてもみ合っているが、S&P500は上昇し20086月以来の高値になった。リーマンショック前の水準である。けん引しているのはS&P500の構成銘柄の20%を占めるハイテクだが、それに金融株も並んで相場の人気を支える。ハイテク、金融の堅調で頭に浮かぶのは、20世紀の生んだ偉大な投資家であるビル・ミラーの挫折である。昨年11月に運用してきたバリュー・トラストの運用から手を引いた。

いまひとり頭に浮かぶのは昨春に自ら設立したフェアー・ホルム・ファンドの経営から去ったブルース・バーコウィツだ。モーニングスターが21世紀初頭10年間の最高の運用者という評価を下していた。彼の挫折も金融株にのめり込んだことだ。

「強気相場は悲劇のなかで誕生する」という相場の古くからの格言がある。ウォール街でも東京市場でも語り継がれてきた言葉である。

リーマンショック後、相場は一時は立ち直りかけたが米国景気のダブルディップ懸念、中東での混乱、日本の震災、ユーロ不安と悪材料が続出して、先行き混迷状況にはいった。

しかしようやく自信が戻ってきた。ハイテク、金融株の力強い反騰が投資家のリスク・オンの行動に伺える。

東京市場にとってなによりも心強いのは円相場の反転である。今回の日銀、政府の行動はいままでのどの局面よりも自助努力の行動の決意がみられる。

日本に残されたあとの課題は資産デフレからの脱却である。ドル資産を抱える日本人には自信回復のカギでもある。

投資顧問会社AGJの挫折も相場の格言を想起させる。今回のケースはリーマンショック後にウォール街で表面化したマードッフ事件に似ている。