海外では円相場が反落した。米国の景気指標が好調で金利(10年債)が2.%台に乗った。景気の先行きにも安心感が広がってきた。円相場の反転が続き、円安基調が継続するかどうかが、ことしの日本の景気をみる上での最大のカギになってきた。
ウォール街ではリスクをとって資金を債券から株式に振り向ける動きが継続するかどうかであるが、下値不安の解消はVIX(恐怖)指数が20割れでの安定化が示している。
景気に対してのリスクと2000年以降の投資成果の不振の組み合わせが株式の高いリスクプレミアムの原因であることは、最近の低PERの説明になる。ユーロ圏での問題、来るべき大統領選、中国の高成長率の持続性、予想が不可能な出来事(アラブの春、日本の震災/原発問題など)が起こる可能性は残る。市場での株価の割安は投資家心理のなかに根付いたリスク忌避の指向で説明できる。
米国の投資銀行のレッグメイソンは “リスク・ダシュボード”という尺度表を作成し商品別のリスクを分析している。この表の数値では昨年9月末に株式のリスクプレミアムが歴史的にも高くなり、株価は10月から反騰した。悲観人気の反動である。
「第4四半期はS&P500が+11%になったが、3ヵ月前に比べて割安の度合いは減少したものの、依然として買いシグナルを出している。ジャンク債やVIX指数のスプレッドは極端な数値から中庸の水準になってきたが、もつとも注目したいPERは低いままで1993年以来の数値を出しリスクプレミアムは高い。長期投資家にはチャンスが続いている」と同銀行はみている。
米国株の予想PERを12倍とするとその逆数の益利回り(株式の収益率)は9.1%で、長期金利2.00%との差は7.1%もある。つまり株式のリスクがそれだけあると市場は判断してきた。
最近のウォール街の下値不安の減少はリスク回避の度合いの軽減で説明できる。
世界の相場を左右する米国の機関投資家の態度に変化の兆しがでてきた。