昨日の世界的な株安が東京市場を直撃した。
ウォール街で気にされているのは円高に振れたことで、キャリートレードの解消が出ることである。円資金を調達して、米国や収益性の高い新興市場に投資する運用が、逆流する懸念である。「円のキャリートレードは金利と円相場がカギをにぎる。しかし今回の円高程度では懸念の必要はない。日本の金利とドル金利の差があまりにも大きいからだ」(コーヘン&Coのアナリスト)というのが、今のところのコンセンサスである。
暴落を1987年10月のNY株のクラシュと結びつける向きもあるが、当時は-20%も下落した。今回のNYダウ平均は-3.29%である。特に10年国債の金利は前日の4.62%から4.51%に下がった。
シカゴ市場での金利先物市場では「8月までに連銀が利下げに踏み切る確率が62%に急上昇した。バーナンキ議長に対する市場の信頼感の現れである。
ヘッジファンドの投げのリスクが言われているが、逆であると思う。1998年のLTCM破綻を経験しているだけに、リスクコントロールを徹底しており、1.4兆ドル(170兆円)の資金のうち、ショート・ポジション(カラ売り)をとっている分がかなりみられる。
東京市場へのショックが-2.9%とNYダウよりも小さかったのは信用取引の売りポジションとヘッジファンドのショートの買い戻しがはいったからでもある。投げではこんなに大きな売買代金にはならない。本日の売買代金の4兆8000億円(ライブドア・ショック時は3兆9000億円)がこれを証明している。
この原稿を書いている現在、グローベックスのNY株は大幅に反発している。
これまでの経験則では今回のようなショックがあれば、しばらくは戻りは売られるのが普通であるが、これまでとは異なる動きが出るかどうか、今夜のNY株に注目したい。
それにしても東京市場の売買代金の4兆8000億円は市場のスケールの一大変化を示している。