日銀の金融政策決定会合が開かれている。本日の市場はその結果にらんでの神経質な動きであったが、仮に0.25%の利上げがあったとしても相場には決定的な影響はない。
1月のときのように大きな話題にもなっていなし、これからは金利はトレンドとしてマイルドな上昇トレンドをたどるということで一致しているからである。かねての持論どおり、現在の低金利の恩恵を受けているのは企業であり、個人部門は金融資産の運用面で低収益にあえいでる。米国のグリーンスパン議長が取ったように、日銀には低金利の是正は必要というコンセンサスを作り上げ、これから小刻みに金利は上がるという市場人気を作ってほしい。
われわれが気にするのはキャリートレードの問題だ。低い円金利で借りて、高金利の国の債券や株式に投資をする。ヘッジファンドが代表的な利用者という通念がある。
今週のモルガンスタンレーのレポートは「円キャリートレードがこれまでの想定に一致する規模であるかどうかは不明確。売却にともなう資金流失は1ヵ月当たり約20億ドルで推移し、外貨建て投資信託のフローは最近100億~130億ドルに達しているが、より総合的な財務省と日銀のデータは2006年の時点で資金流出増加を示していない」と書いている。
この種の見方をする海外の専門家も多い。キャリートレードが世界の過剰流動性の原因になっているという論拠は希薄だという。キャリートレードは亡霊のようなもの。だれも的確に実態をつかんではいない。
ましてや円金利が0.25%上がってもそんなに大きな数値ではない。問題はそれがどれだけ円相場の反転に影響を及ぼすかにある。
今回の相場の微調整はともすれば行き過ぎる株価にとっては好ましい動きである。