パート(2)
東京市場でのIPO(新規公開)は2月初めから2007年分がスタートし、今月は20社が公開。ただかつてのように初日に買い物が殺到して、初値の形成が2日目以降になるというような異常人気はなくなってきた。
理由は公開される銘柄の魅力度である。昨年、期待したような第2のヤフーのような新興市場ならではの銘柄が皆無になってきたのと、新興市場であるジャスダック、マザーズ、ヘラクレスから人気が離散し、なかなか回復しないということである。
はじめの魅力のある銘柄の欠如ということは人気面では大きな問題であり、日本の産業構造を変える役目を期待した市場の機能を発揮していないことになる。
今月の20銘柄のうち4銘柄が札幌、名古屋の地方取引所での公開である。ビジネスモデルもさることながら、成長資金の調達というよりも、経営者や既存の株主の金儲けだけを目的に考えているところが多いような感じを強くする。
それに引きかえ、今年のウォール街では「2000年のITバブル以来のIPOブームになる可能性」を予測する向きが出てきている。
「ITバブルとは異なり伝統的な尺度からみても成長株と判断できる銘柄が出てくる」と確信をもつ。特にハイテク企業の公開である。
2006年にはその前兆が出た。昨年の後半6ヵ月のハイテク関連のIPOは公開後、平均+31%の実績をみせた。9月に公開されたリバーベッド・テクノロジー(RVBD)は3倍になった。ネットワーク関連銘柄である。
投資家も評価には現在、すでに利益が出ているかどうか、そして継続的な成長が期待できる確度が高いかどうかをなによりもの判断材料にする。
東京市場でもこの動きの片鱗はみられる。
今月公開された14日のIPOのアサックス(8772・東2)や21日のファーマライズ(2796・JQ)には合理的な株価判断が効果を発揮した。