NY市場は過去8ヵ月間にわたって相場は一本調子で上昇してきたが、その間、相場が-2%以上の調整をした日は一日もないという相場環境である。底流には「なにか大きな変化」が出てきているのかもしれない。
需給面では流動性を背景にしたM&A、バイアウト(株式を非上場化する)などが大きく寄与している。今月はブラックストーンがオフイス・ビル585棟を所有する不動産株エクイティ・オフイス・プロパティーズ(EOP)にバイアウトを仕掛けた。金額は390億ドル(4兆7000億円)である。東京市場での常識では考えられないことだ。ちょうど三菱地所にバイアウトを仕掛けるのに等しい。
ブラックストーンが買収のために借り入れた資金の金利は、エクイティ・オフイス・プロパティーズの家賃収入を上回るといわれるので、不動産価格の上昇が担保である。ニューヨークのほかはシカゴ、ボストン、サンフランシスコにビルを所有している。
東京市場でのバイアウトといえば比較的に小ぶりなものが中心であったが、これからは三菱地所でもうかうかしていられない。
このところ日経新聞の第1面のトップ記事をみるとサッポロ、大丸、松坂屋とこれまで考えられなかった企業の再編成が伝えられる。明日の朝刊では「どの企業の名がでるか?」という連想ゲームが、投資家の頭の中では働く。
本日の値上がりベストには鉄鋼、機械、非鉄、小売、卸売、倉庫、不動産が並んだが、この業種のなかから、市場をびっくりさせるようなニュースが、この先も確実に出てくるだろう。
相場の先行きを判断するにはウォール街ではないが、これまでの常識だけでは不足な時代に入った感じを強くする。