Y男の日誌

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村上春樹『偶然の旅人』(東京奇譚集)

2014-08-24 20:46:10 | 読書


病室の隣の休憩室に本棚がありこの本を見つけた。入院の時に持って来ようと思っていたが見つけられなかったのだ。

『偶然の旅人』
たまに村上春樹さんはゲイやレズビアンを物語に登場させる。
ピアノ調律師。アウトレット・モールのカフェで読書をして過ごしていて、偶然に同じ本を同じ場所で読んでいた女性から話しかけられる。ディケンズの『荒涼館』。
やがて親しくなり、“静かなところ” に、という流れになりそうになるが、調律師は自分がゲイである事を告げる。女性は言いたく無い事を言わせてしまった事を詫び、自分が乳癌の再検査を受けて場合によっては手術しなければならない情況にある事を話す。不安である事を。調律師は彼女を慰める。
女性の耳たぶにはほくろがある。ゲイである事をカミングアウトしてから関係がギクシャクした姉にも同じ場所にほくろがあった。
十年ぶりに姉に電話をすると、姉は電話口の向こうで涙ぐんでいる。会って話を聞いてみると、明日から乳癌の手術のために入院する事になっているという。その後、十年前のお互いの誤解を解く。
姉の病気は転移は無く、姉の夫、子供とも仲良くなった。

カフェで知り合った女性がどうなったかは不明。

自分と同じ本を読んでいた女性のほくろから姉を想起してしばらくぶりに会ったら、姉もその女性と同じ病にかかっていた、というお話。


不思議な出来事は村上さんにしばしば起こってきた。意味を持つ出来事もあったし、とるに足らない些細な出来事もあった、というような事を村上春樹さんも前書きのようなところでおっしゃっている。


ここからは僕の体験。
東京暮らしを始めた当時、総武線に乗っていると、四ッ谷駅で小中学校時代の同級生(女性)が僕が乗っていた場所のドアから乗ってきた事があった。

社会人になって出張で蒲郡に一泊する事になった。スーパー銭湯といっしょになっているホテルに泊まる事にして銭湯に入っていると、以前同じ職場にいて会社を辞めた奴が風呂に入りにきた。彼が蒲郡に住んでる事は知っていたが、家に風呂はあるのだ。物凄い偶然だ。

その後、その二人と何も無いから、とるに足らない些細な出来事だったのだろう。
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