ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

今年の景気

2014-01-05 16:04:47 | 経済

年末の株高、円安を受けて、今年の景気は良くなる。消費税増税の反動など気にしなくてよい、という強気の見方が主流になっている。年明けのアメリカ株は下がったようだが、私自身も強気の見通しを立てている。リスク要因はあるが日本の景気は良い方向に向かうだろうと思う。

何が、良くなる根本原因かについて、私の見方は最大の要因は公共事業への支出が消費に回り始めたことだと思っている。公共事業の拡大、震災からの復興事業、さらに消費税増税前の駆け込み需要で建設・土木関係は需要が大幅に増大している。作業員の不足で建設関係の労働コストが上がって、大手の建設会社はあまり利益が出ないとか、公共工事で費用を抑えたものは入札で落札社が出ないという事態になっているらしい。その分、建設関係に従事する人にお金が回っているということで、これが消費に回っているぶんが大きいのだろう。

消費税増税で駆け込み需要は冷え込むだろうが公共工事と復興工事は続くので今年の日本経済の指標は好調が続き、それが国民のマインドを刺激して好調が続くと思う。しかし、裏を返せば、必要以上に高い金額で様々な工事をしているということにならないだろうか?。この景気は持続可能なものではないような気がする。株価が上がるので、今まで預金一本だった人たちが株を買うようになって日本株は年後半でますます上がる。その陰で株高を主導してきた外国人投資家は徐々に手を引いていく。そして年末あたりに何か世界的な問題が起こると一気に株価は下がる、こんなことが起こるような気がしている。

その世界的な問題が何なのかは分からない。ギリシャの暴動によるユーロの危機かもしれないし、イランの核問題によるホルムズ海峡封鎖かもしれない。あるいは中国の国内テロが拡大し中国政府が経済統制を強めるかもしれない。ブラジルのワールドカップの無理がたたってブラジルで暴動が起きるかもしれない。これらの問題はたとえ起きても、大きな問題に発展しないでうまくコントロールされるかもしれないし、投資家心理を一気に冷やすかもしれない。

いずれにせよ、問題が起きた時には日本政府には対応余力はなく景気が一気に冷え込む可能性がある。これが来年のさらなる消費増税と重なれば日本経済は非常に大きなダメージを負うことになると思っている。私がこういうことを書いているのは第3の矢の成長戦略がうまく機能しておらず、日本企業の国際競争力が強まっているかどうかに疑問を感じているからである。あるいはこういった問題は何人かの人が言う円暴落、ハイパーインフレにつながるのかもしれない。しかし、ハイパーインフレならば、円預金を持っている人は大変なダメージをこうむり、生活に困る人もたくさん出るだろうが、円安で日本企業の競争力は高まるので、比較的早く回復すると思う。

むしろ、問題が起こらずに気分的な好景気に押されてバブルが大きくなった時のほうが反動は怖いと思っている。好景気が続くと、現在改革を行っている内需型産業の競争力強化の動きが止まってしまい、結局競争力のないままにバブルがはじける。そうなると、回復には長い時間を要するだろう。