ウィトラのつぶやき

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福島原発事故独立検証委員会の報告

2012-02-29 08:29:27 | 社会

民間の福島原発事故独立検証委員会の調査報告が昨夜発表され、NHKなどでかなり詳しく報道された。まず、このような調査を行うことを決定した民間シンクタンク「日本再建イニシアティブ財団」に敬意を表したい。昨年9月に設立というから総理が変わったことと関連しているのではないかと私は想像している。

東京電力には取材を拒否された、というから、当時の東京電力の判断には語りたくないことが多々あるのだろうと想像する。報告書は官邸の介入の仕方がまずかったとしているようだが、菅総理の行動に対しては私の想像したより評価が高い。間違いではないのだろうが、「ほんとかな」と思われるところが何点かあった。尖閣列島の中国漁船の対応に対するダチョウ行動とイメージの合わない点が何点かあった。

自分で何とかしようとした、というのは事実だろうし、情報が上がってこなかったというのも事実だろう。東電内に統合対策本部を置いた、という行動を評価した、というのが評価できる、という点も納得ができる。しかし、発言の内容などは多少美化されているのではないか、と感じた。

しかし、「官邸の介入は役立ったとは言えない」というのは正しい指摘だと思う。これは菅(当時)総理の個人の資質なのか、日本では首相に対する教育システムがうまく機能していないのではないか、と感じる。原子力安全委員会の斑目委員長の話しが取りざたされているが、問題ははるかに広範囲の組織を動かす話のはずである。自衛隊、警察、消防、自治体、東電などにはそれぞれ果たすべき役割があり、そこに対する指示を出すべきはずなのだが、そういった全体的視点が今回の政府には感じられなかった。総理が提言を受け付けなかったのか、提言する人がいなかったのか、民主党の政治主導の名の元の官僚いじめが影響していたのか、そのあたりが分かるともっと良かったと感じる。

総理大臣は日本の最高意思決定者であり、自衛隊の最高指揮官である。総理に就任すると、この自衛隊の最高指揮官としての有事の際の行動規範についての教育があるはずである。ある程度イメージが無いと、着任直後にミサイルが撃ち込まれたりしたら全く混乱するはずだからである。アメリカなどではオバマ大統領があれだけ反戦路線を言いながら、大統領に就任して一月もすると「私は米軍の最高指揮官」という自覚をきちんと持っている。この教育システムが機能していなかったのか、総理個人が教育されたことを忘れていたのか、この検証が重要な気がする。