yamaの読書日記

 活字中毒のyamaが日々手にしている本のお話を綴っています。
 読んだ本についていろいろお話しませんか?

一瞬の風になれ

2009-07-27 22:39:39 | その他
佐藤多佳子さんの「一瞬の風になれ」読了です!

この本は第一部「イチニツイテ」
    第二部「ヨーイ」
    第三部「ドン」     の副題が付いていて、いかにも『さあ、走るぜ!』って感じが押し寄せてきます。

あらすじは・・・やっぱり読んでいただくために省略したほうがいいですね。

ではあっちに飛んだり、こちらに跳ねたりという私の感想です。

春野台高校に進学した神谷新二は幼馴染で天才ランナーの一ノ瀬連が中学の時に止めてしまっていた短距離を走らせたいなぁと思っていたのだが・・・クラスのスポーツ・テストでいいタイムが出て・・・連と新二は陸上部の新入部員となってしまった。

新二のすごくいい人キャラと超マイペースで我がままキャラの連との仲のよさというか距離感がすごくほっとする。
まぁ、時には連の我儘さにムッとしたりイラッとしたりするけど、新二が気にする風もないのだから読んでるこちらは文句も言えないわ。

新二があまりにも完成されている連のランニングフォームに憧れる気持ちも、才能があるんだからもっと上を目指して頑張れよと連に言いたい気持ちもよ~~っくわかる。
そして単に100m、200mのレースではなく、4継とマイルのリレー種目で燃える連と新二。個人種目ではなく4人でバトンを繋ぐリレーだからこそのプラスアルファの力がでる不思議。
チームメイトの繋がりの重さ、自己管理の大切さ、仲間をしっかり知ることの大切さ・・・そんな本当に大事なこと、なのに今の世ではかなりおなざリにされてることの大切さを教えてくれる。

『みっちゃん』と部員に慕われる陸上部の顧問の先生がなかなかユニークでこのお話の底にある楽しい大らかな雰囲気を醸し出してくれてます。

先輩でキャプテンだった守屋さん。風水に凝っていて煩い浦木さん。
400mがメインの根岸は4継のメンバーでもり、新二のよき理解者で結構縁の下の力持ち。
そして後輩の桃内はこてこての大阪弁で笑わせる。
ちょっぴり女の子のお話もあって、おっとりタイプの谷口さんと新二の『かわゆい恋物語』は心優しい気持ちにしてくれます。
高校生って、こんなかんじでしょ?今でも?

最初は力任せにがむしゃらに「一本、一本」走るだけだった新二がフォームを身に付け自分をコントロールしていく・・・それには恐ろしいほどの練習量が隠されてるわけですが。まぁ、体力と体には自信のある新二だから出来たのでしょうが。連だったら・・・壊れてるよ、ホント。
しかし、その連も新二に引っ張られるように偏食もなくしまじめに練習するようになり、、、もっとも、鷲谷高校の仙波に勝つためか・・・筋肉も付きスタミナもついてきた。

なんと言っても見どころは、いえ、読みどころはインターハイ予選・南関東大会の4継のレースですよ!!もう、読んでいてこちらの心臓もドキドキ。
先輩が手作りの鉢巻を手渡して補欠を含めて6人がキュッと鉢巻締めて気合が入って・・・
いや~~燃えましたね。

先日読んだ「強い風が吹いている」は駅伝で襷を渡していく話だけど、こちらはバトン。気持ちは同じなんだよね。
個人主義じゃない、相手のことまで心配れる・・・すっごく大事なことなんだ。

巻末に佐藤さんがこの本を書くにあたって取材された高校の陸上部の方の座談会が乗っていて、面白く読みました。この雰囲気はこの人たちの者なんだなぁと実感できました。絵空事でない青春を一緒に堪能させてもらいました、ありがとうねって気持ちになりますね。

  激しく堪能しました!
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2 コメント

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座談会 (ゆっち)
2009-07-30 09:52:58
今月号の「IN★POCKET」でも特集してました。
巻末の座談会の一部がそちらでも公開されていて、あれを読むだけでも気持ちがさっぱりしましたね。
若年層の人には頼りないイメージを持ってしまいがちですが、なかなかどうして立派だなと思える瞬間があると嬉しくなります。
自分に子供がいない分、ああいう爽やかな若者を育てられた親御さんや教育者に感謝です。
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爽やか (yama)
2009-07-30 22:34:12
『今時の高校生は・・・』と世の中で評されている高校生とはまるで違う、昔から連綿と息づいている青春の清々しさと爽やかさを目一杯堪能させてくれて・・・なんか今の時代も捨てたもんじゃないとほっとさせてくれる座談会で、この人たちがいたのでこの小説が出来上がったんだなぁと感じました。
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