冲方丁さんの「天地明察」を読み終わりました。
お友達に借りた1冊なのですが・・・・かなり面白く楽しませてもらいました。
碁打ちにして数学者・渋川春海の20年にわたる「日本独自の暦」にかける奮闘・挫折・喜び・・・そして恋・・・
とにかく時代小説なんですが、ちょっと違っていて、一人の男の生き様が生き生きと描かれている。
渋川春海、別名を安井算哲は将軍様の前で「御城碁」を打つのが公務である。
しかし・・・嫌いではないかったけれども「碁を打つ」ことに倦んでいた・・・
算術に恋い焦がれるほどに夢中だった春海が、日本独自の暦を作り上げる仕事にすべてをささげることになる。
これは彼のただただ真っ直ぐに走る人生の軌跡でもあり成長のあかしでもあり、恋の物語でもある。
保科正之(会津藩藩主)が春海に言う。「安井算哲よ。天を相手に、真剣勝負を見せてもらう」
暦とは天と地と知ってこそ。そして天と地と知ったうえで計算が出来なくては暦が出来ない。
そして暦は、宗教、政治、文化、経済、すべてをにおいて君臨するのだ。
現在、なにも疑うことなく身近にある暦、カレンダーがこんなにも重要なもので、ここまでの滅私の苦労と努力とで出来上がってきたものだとは知りませんでした。
読みながら春海の一途な思いに何度も鼻の奥がツンとなりました。