遊びと学び,創造の基地・山のあしおと小学校

冒険,遊び,仕事,学習,生活全般を学ぶ、子ども達のための私設小学校

浴槽育ち

2011-08-21 23:52:34 | あまってら農園

 如露の口から出てきた緑色のカエル/水を貯めている浴槽


 ルッコラの種を播いたばかりの畑に潅水している時のこと・・・。

 直径1cmほどの如露の口(ホース部分の)から緑色の小さなカエルが出てきてぴょんと跳ねた。雨水を貯めている浴槽の中のオタマジャクシがカエルに変態していて、如露に水を汲む時に掬ったものらしい。
 それを見た時,郷里の中国山地の山奥で暮らす友人が、『風呂桶に水を満たしておいたところ、モリアオガエルが樹上に卵を産み、孵ったオタマジャクシがポチャンポチャンとその浴槽に落ちてくるので、仕方なく近くの池まで引っ越しさせてやった』と言う便りを寄越したのを思い出した。
 こちらのはただのアマガエルだがカエルに違いはなく、急に浴槽の中のオタマジャクシの運命が気になりだした。



 よく見るとオタマジャクシが・・/

 以前から浴槽の中にオタマジャクシが棲みついていたのには気づいていたが、それがどうなるか気にも留めなかった。浴槽にはアオミドロのような藻が生えていたしボウフラも湧いていたから、それを食べて死なない程度には生きて行くだろう・・,くらいには思っていたが、カエルに変身したのには意表を衝かれた気がしてちょっと驚いた。驚きはしたが当たり前のことではある。

 たまたま如露で掬い取られたから地上に出ることが出来たが、次々と浴槽の中で変身するであろうカエル達は、ツルツルのホウロウ製の壁を這い上ることができないかも知れない。いくらなんでもそれはちょっと可哀そうなので、近くにあった草を折って浴槽に突っ込んでおいた。これなら自力で這い上がってどこかで生きて行くことだろう・・と。
 ある時はオタマジャクシを掬って畑に撒いてしまい、潰さないように拾って浴槽に戻してやったり、またある時はひっくり返したバケツの底からから沢山のオタマジャクシが出てきたのを浴槽に入れてやったり・・。 


 日照りが続いて浴槽内の水がどんどん減り、ヘドロで濁った水は温泉のようになっているらしく、オタマジャクシ達は腹を上にして水面に浮いていることが多くなった。死んでいるのかと思うとそうでなく、こちらの気配を感じると潜って身を隠す。
 そんな風に暑さと酸素不足にあえいでいるのが分かるとさすがに放っておけず、また心優しき友人の所業が思い出されもし、川まで水を汲みに行ってたっぷり継ぎ足してやった。灌水用の水を補う必要からでもあったのだが、オタマジャクシは歓喜に打ち震えながら泳ぎまわる・・。


 キャベツ定稙/ブロッコリー活着


 畑に住む、私にとっていい虫であっても悪い虫であっても、カエル達はカエル達の倫理に従ってその虫を食べて成長するだろう。そして他の様々な生き物達と同じように畑の肥やしとなり土に還ることだろう。
 であるならば自由に生きてたらふく食い、逞しく育って生殖し、その生を全うして肥やしになってくれればよい。


 こうしてみると、一時的な水溜めに過ぎない浴槽も、畑をめぐる生態系を支える役割を担う立派なビオトープになっていることが分かる。
 1年に1回くらいのことだが、我が農園には一体どれほどの生き物達がいるのだろう・・、とその生き物を調べ上げてリストをつくりたい衝動に駆られることがある。だが面倒くさいし次の日にはもう忘れてもいる。
 生き物達の種類を知っていようといまいと、リストをつくろうとつくるまいと、農園が多くの生き物達と支え合う関係になっていることに変わりはない。



 タマネギ播種

 久々に降った雨でブロッコリーとキャベツの移植はうまく行き、タイミングよくダイコン,タマネギの種も播いた。
 慈雨は浴槽を満水にし、オタマジャクシは何の不安もなげに活発に泳いでいる。 

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