日々改善

今日の問題を明日に残さない!問題解決を図って行く様をリアルに描写していきます。経営コンサルの視点で物事を見ていきます。

人情と守秘義務

2009-02-05 | 良い税理士・悪い税理士
私の中で天使と悪魔が戦っています。

私たち税理士には守秘義務があります。
即ち、業務上知りえた情報は他言できないという法律です。
既に新聞報道やインターネットで流れている情報であれば
お客様のためにいち早くお知らせすることは大切なことになります。
しかし、これがお客様から直接相談を受けた事象になると
それを絶対に口外することは出来ません。
情報を欲しがる相手がたとえ身内であったとしてでもです。

守秘義務を破ることは税理士の正義を根底から崩すことになるのです。
苦しくて苦しくて仕方がない時があります。

従って当社の関与先企業から直接得た情報で
「その会社は危険…」
私の口からは決して発することのない言葉となります。


守秘義務について先輩税理士と話をしました。
先輩税理士も過去にこの義務について頭を悩ませた経験があるということでした。

先輩税理士曰く
「被害(貸倒れ)を被ったお客様から言われたよ、
『倒産することを知っていてなぜその情報を流さなかったのかと…。』
でもね、私たち税理士は守秘義務を履行することによって
その信頼性を保っているんだよ。」と…。

倒産して行く企業が無責任な会社であれば
社会的制裁をという考え方もあるかもしれません。
しかし、無責任に会社を倒産させるどころか
経営者自身や親戚縁者の最後の一円まで会社に突っ込み
それでも資金が回らなくて無念の中で倒産して行く姿を見ています。

一縷(いちる)の望みを持って必死に行き続けようとする経営者を見ていると
もしも守秘義務がなくとも
「あの会社は危ないですよ。」
そんなことは言えないのです。
そんな禁断の一言を口から発すると
「守秘義務も履行できない税理士」というレッテルを貼られて
法的制裁を受けるばかりか
今後私を頼って相談に来てくださる方がいなくなってしまいます。

お許しください。
私に出来ることは
「どこの企業と取引する場合でも絶対に相手を信用しきるな。」というアドバイスです。
そして
「売掛債権の保全には万全を期してください。」
「危ないと思うなら付き合わないでください。」
そんなアドバイスになります。

まさか
人情と職責との間で
これほど悩まされるとは思ってもいませんでした。


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