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私雨

2017-01-30 11:39:19 | FP

江戸時代、才槌長屋に住む又八の家業は湯灌場買いである。湯灌場とは死者を洗い清めることで、この時代には、誰もができることではなかった。多くは寺男の仕事だ。寺に来る死者には、身内の思いが込められて出来るだけきれいな服が着せられている。その服を脱がせ、体を洗い、白装束に変えるのが寺男の仕事である。又八はこの脱がされた服を安く引き取り、古着屋に売る仕事をしている。ある日、又八は見てはならないものを見てしまう。ある寺男が、死んだ若い女性の体をもて遊んだのだ。又八は荒れる。こんな汚い仕事をしていていいのかと酒を飲む。その酒が原因で、けんかとなり、又八は歩けぬほどに痛めつけられる。夜の寒さが襲う。独り者の又八は食事もままならない。はいづるように米を炊こうとしていた時に、現れたのが隣の子供たちだった。その子たちは皆、親を亡くした子供たちだった。当時、捨て子は、その場所の町内で面倒をみなければならなかった。そんな子供たちを御用聞きの峰造がここに住まわせていたのだ。普段はうるさいだけの子供たちがこの時ばかりは、又八の面倒を見た。普段は迷惑ばかりをかけていると、おにぎりもみそ汁も作って持ってきた。うまかった。ある日、又八のいた蕎麦屋の軒先に3人の子供たちが急な雨をしのぐためにやってきた。子供たちの話が漏れてきた。「あんな立派なとこで、一度でいいから食事をしたい。うまいんだろうな。」それを聞いた又八は自分の全財産をもって、その料亭の主に頼み込む。「子供たちに食事をさせたい。」・・・これは長谷川卓さんの小説「私雨」のあらすじである。私雨とは周りの人たちはみんな晴れた空のもとを歩いているに、私だけが雨に会っているということをいうのだそうだ。(2017.1.30)

Y-FP Office Japan

 

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