ソ連崩壊後の世界は曲がりなりにも、自国の主張だけで、他国の領土に攻め入るということはなかった。例えば、北方領土や鳥島が日本の領土であると日本は主張しているが、だからと言って、そこに軍事的な進攻をするということは無い。それがパックスアメリカーナという時代だった。しかし、今世紀に入り、それが崩れ始めた。中国の台頭により、中国が南シナ海や東シナ海での領土主張を軍事力で、実行し始めたのである。最も顕著になったのは2020年に始まった。ロシアによるウクライナ戦争である。ウクライナがロシア領であるという勝手な主張で、他国領を奪うという暴挙である。しかも、今年に入り、ハマスとイスラエルとのガザ戦争が起きて、世界の関心がそこに移ると、ウクライナ支援も弱まり、ロシアの身勝手な暴挙が達成されかねない状況になっている。こんなことが可能なのだということが明らかになり、世界各地に伝播する。南米ではベネズエラが隣国ガイアナの国土の7割超を占める資源地帯「エセキボ地域」の併合を叫んでいる。こんなことが許されるのであれば、世界各地、どこにも火種がある。戦いの火種である。来年は辰年である。古代中国では大火を辰と呼んだ。(くちなし亭、2023.12.31)
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