アメリカの大統領にどのような人物が就任するかによって、世界の中心が移動する。これまでのアメリカ大統領には政治家的な人物が選出されたケースが多かったので、国際政治の面では、彼らの目はイスラエルとか、ヨーロッパへと向けられていた。そうなると、当然、主敵はロシアであったり、中東の反米国家、あるいはイスラム系の過激派組織であったりした。過去を振りかえれば、ブッシュ大統領のように、アメリカの石油メジャーなどの支援を受けて、所謂、エネルギー政策に関心が高い大統領であれば、国際政治の関心は中東の産油国であった。だから、クエート支援やイラク進攻なども、何のためらいもなく行うことになるのである。オバマ政権は政治家スタイルなので、ブッシュ政権とは様変わりとなる。中東諸国への関心は低くなり、その代わりに、ヨーロッパの安全、例えば、ウクライナ問題などが、政策の中心になる。当然、主敵はロシアだ。さて、次のアメリカ大統領になるトランプ氏はビジネスマン型の大統領と言われている。ビジネスマン的な目で、世界経済をみると、国際政治は180度変わる。世界の中心は東アジアに移るのである。その場合の主敵は中国だ。むしろ、ロシアは味方につけておく方が良い。トランプ氏とロシアのプーチン大統領が親密だという話はさておいても、ロシア、日本、アメリカを結ぶラインが強まってもおかしくない。これにインドを加えた中国包囲網が世界政治の枠組みに変わるかもしれない。中国はどう出るか。当然、従来型の枠組みを望むので、ヨーロッパとロシアの紛争、中東紛争にアメリカの関心を戻そうとするだろう。(2017.1.13)
