香港というところは中国の1地域でありながら、特殊な立場にある。1国2制度と呼ばれるように、中国政府は香港の自由主義と資本主義経済を返還後50年間は認めることになっている。それ故に、香港はアメリカから優遇制度の恩恵を受けている。1992年に成立した「アメリカ・香港政策法」である。関税やビザ発給などで、特別な恩恵が香港に与えられている。だから、中国企業はアメリカへの輸出に当たって、香港経由で行うことが多い。さらに、香港の金融市場の大きさから、香港経由で資本を集めることも一般的である。中国企業の香港株式市場への上場も、この流れの中にある。一方、中国は香港など資本主義経済地域に隣接する地域に経済特区を新設した。特に香港に隣接する深圳は香港をしのぐほどの経済発展を成し遂げている。経済特区と他の中国地域との間はまるで外国のような厳しい検閲があるそうだ。逆に、香港―深圳間は緩やかだ。これを利用して、中国との貿易をする外国企業は香港経由で、中国に輸出する。深圳の中国企業に輸出すれば、あとは中国企業が中国国内で商品を販売するだけである。このように関税などの恩恵を受けるからだ。だが、今、その香港が揺れているのである。香港デモがこのままでは収まりそうにないのである。香港行政府トップの林長官がデモの発端となった「逃亡犯条例」改正案の撤回を提案したが、中国政府がこれを拒否したそうだ。残された道は林長官の辞任か、中国政府軍の介入だが、後者になるとアメリカは香港への優遇策を止めるかもしれない。泥沼化である。(くちなし亭、8月31日)
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