兵庫県西脇市のある男性。80歳の高齢である。奥さんは1年ほど前に亡くなり、一人暮らしである。彼は妻の携帯を解約せずに形見として大切に持っていた。まあ、解約しても、携帯は形見として持っていることはできたのだが、彼は律儀なのか、解約しなければもしかして天国の妻から電話がかかってくるかもしれないと思っていたか、解約すれば機器も返さなければならないと勘違いしていたかはともかく、使わない携帯料金も払い続けていたのである。間違いなくである。そんな彼の亡き妻の携帯が突然鳴った。天国の妻からの連絡かもと思ったかもしれない。電話に出ると詐欺電話だった。だが、老人は気が付かない。電話先の男は通信会社の社員を名乗り「携帯電話料金の未払いがあり、支払わなければ裁判になる」と脅し、現金49万円の振り込みを求めた。老人はあわてて、「料金は払っているはずなのに」と思ったが。ATMを求め、電話をつないだまま自宅近くの「JAみのり西脇ケアセンター」へ向かった。事件はJA職員の機転で未然に防ぐことができたのだが、何となく、携帯電話を奥さんの形見として大切にしていた老人の気持ちがほのぼのとした温かさを感じる事件である。(くちなし亭、2023.02.28)
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