嵐が収まれば、あの無駄な出費はなんだと噛みついてくる。

スイス連邦公衆衛生局は２７日、モデルナ製の新型コロナウイルスワクチンで期限切れの６２万回分以上を廃棄すると発表した。理由はワクチン需要が減少したからである。スイスの衛生局広報担当者も「意識的に必要量を上回る調達をしていた」と認めている。スイスの人口は約８７０万人。今年分としてコロナワクチン計３４００万回分を確保し、今年２月、低所得国に最大１５００万回分の余剰分を年央までに寄付すると表明していた。コロナの嵐が世界に吹きまくっていた時期に、スイスの衛生局がこのような発表をしたら、どこの国からも大歓迎を受けたであろうが、今は世界でも、低所得の国でも、「くれると言うならもらうが期限まじかではないのか。」くらいにしか感じてもらえないのではないか。そして、廃棄についても、今では非難されるのであるが、まん延時には、予防処置は大きなミスも許されるという意見が多数を占めていた。人間の命は何よりも大事だと口の泡を飛ばしながら言っていた人も、ひとたび嵐が収まり、落ち着いてみると、あの無駄な出費はなんだと手のひらを反すように噛みついてくるのである。（くちなし亭、2022.05.31）

Y-FP Office Japan(http://www.y-fp-office-japan.jp)

石油に困窮している国は安いロシア産石油がお得だ。

経済危機に直面しているスリランカでは首都コロンボの沖合に停泊しているロシアタンカーからの荷揚げができない状態が続いていた。荷揚げしてもスリランカからの支払いが行われるかどうか分からなかったからである。スリランカのウィジェセケラ電力・エネルギー相は２８日、コロンボの港に数週間とどまっていた９万トンのロシア産石油を購入するため７２６０万ドルを支払うと発表した。ロシアとの交渉がまとまったのであろう。今回の石油がどのようなものか分からないので、正確でないかもしれないが、スリランカ政府がロシアに支払う代金は1バーレル当たり34ドルである。世界市場では原油の値段は高騰していて、1バーレル当たり110ドルを超えている。スリランカ政府も、ロシアの石油会社もどちらも困窮している中での取引で、スリランカは世界市場の約3割での値段で石油を獲得することになったようだ。石油がなく、困窮している国は他にもある。中東のレバノンである。火力発電所の備蓄燃料が底をつき、ベイルートは暗闇の世界になっているという。電気が止まれば水道も出ない。このような国にはロシア産の安い石油がお得である。（くちなし亭、2022.05.30）

Y-FP Office Japan(http://www.y-fp-office-japan.jp)

個人情報はハッカーにたやすく盗まれる。

我々の個人情報は盗まれることを前提にしなければならないようである。近年、これだけIT技術が社会に必要となり、それがなくては私たちはもう生きていけない時代になっているのです。日記もデジタル化しています。住所録もデジタル化しています。電話帳などは当たり前です。そうしなければ、日記帳も住所録も電話帳も劣化するばかりでなく、入れ替え作業の煩雑さに多くの人は音を上げるに違いありません。そんなデジタル社会で、個人情報は多くの企業にとっても決済などで欠かせないものです。ブルームバーグは「法執行機関になりすましたハッカーがAppleとMetaにユーザーデータの提供を求め、両社がそれに応じた」と報じました。アメリカでは、日本もそうだと思うのですが、ユーザーデータの提供を求める際に裁判所の令状・召喚状が必要となります。しかし、自殺・殺人・誘拐といった差し迫った危険がある場合、令状や召喚状なしでデータ提供を求める緊急データ要求（EDR）を行うことがあります。企業は善意に基づいてEDRに従うことが一般的な慣行となっていますが、ハッカーはこれを悪用し、法執行機関になりすましてEDRを通じてユーザーデータを入手していたとのことです。AppleとMetaの個人情報ならば、かなり悪用されかねない情報もあったに違いありません。もうハッカーにそんな情報が漏れたら、私たちは開き直るしか、彼らに対抗する手段はありません。「公にするなら、してみろ」ってなものです。（くちなし亭、2022.05.29）

Y-FP Office Japan(http://www.y-fp-office-japan.jp)

トレンドは木造高層建物だ。

渋谷マルイは８月２８日から一時休業し、木造の高層建物に造りかえるという。建て替え後の店舗は売り場面積が２８００平方メートル、地上９階建てとなる。渋谷マルイはある意味、現在渋谷を変えている多くの大型の商業施設ができるまでは渋谷を象徴し、若者が集まる場所だったのだが、今は地盤沈下が著しい。そこで、注目を集める建物をとして考えられたのが木造高層建物だったのではないか。今や、ヨーロッパでは木造高層建物がトレンドになっている。この木造建物を可能にしているが、CLTと呼ばれる木造建材である。CLTとは板(ひき板)を貼り合わせた集成材で、木材を縦と横に交互に重ねることによって強度と耐久性を上げている。耐震性も耐火性にも優れているという。浅草の雷門の前に立つ浅草文化観光センターも木造である。5階建てで、木造ならでは奇妙な形をしている。（くちなし亭、2022.05.28）

Y-FP Office Japan(http://www.y-fp-office-japan.jp)

今ではスーパーマンも電話ボックスを使わない。

その昔、スーパーマンが悪と戦うために、新聞記者の格好からスーパーマンの衣装に着替えるために使ったというニューヨークの電話ボックスが無くなった。23日、マンハッタン中心部に残っていた電話ボックスが撤去され、ニューヨーク市から電話ボックスがすべてなくなったそうだ。よくスパイ映画で、仲間同士が隣接する電話ボックスで、互いに背を向けながら、電話を通して連絡を取り合うシーンがあったが、今から思えば、会話を傍受されるという意味では最も危険なことをしていたのである。スーパーマンにしたって、小型防犯カメラがしつらえてある現在では超恥ずかしい姿を世間にさらしてしまったということだろう。だから、スパイもスーパーマンも使わなくなって久しい電話ボックスなのである。撤去される運命にあったのである。さて、東京でも電話ボックスの姿は見かけない。公衆電話はときどき見るが、NTTも内心は撤去したいのだろう。だが、これも昔、NTTがテレフオンカードなるものを大量に発行し、大儲けをした名残で、なくせないようだ。自業自得なのだが、このテレフオンカードを使って、公衆電話から故郷の両親に電話をかけていた外国からの出稼ぎ労働者の姿を思い出す。それは公園の片隅にあった公衆電話だった。ボックス型ではないので、その若い女性が話しながら泣いているのが見えた。（くちなし亭、2022.05.27）

Y-FP Office Japan(http://www.y-fp-office-japan.jp)