オランダ人ジャーナリストのヨリス・ライエンダイク氏が2年間かけて英金融街「シティ」に働く人々200人以上を取材し、英ガーディアン紙のサイトで「バンキング・ブログ」を公開している。目的はリーマンョック後、あれほどパニックに陥っていた業界が、8年半を経て。すべてが「通常」に戻ったように見えるからだ。金融機関は「大きすぎて潰せない」のだ。つぶしてしまったら、多くの国民の生活に悪影響をあたえるという理由で、金融機関に税金が投入されたのだ。だが、あのショックを引き起こしながら、守られている業界とは何だったのか。具体的にいったいなんだったのかわからない。この理由に立ち向かうために、ライエンダイク氏は2年間という長い時間をかけて、スロージャーナリズムという手法で取り組んだのである。それによれば、というよりは、私が受けた感情では、グローバリズムが金融機関を巨大化したということがある。企業が国境の外側に進出するにしたがって、金融機関も海外の金融機関に対するM&Aを繰り返していく。資本主義には、国によって、違う資本主義があったはずで、北欧には北欧の、日本には日本の資本主義が存在していたのだが、グローバル化によって、アングロサクソン的な資本主義に飲み込まれていった。だから、たった5分でクビになったりする労働環境や短期主義に基づいて計画が作られたりするのである。誰もが企業に対する忠誠心などなく、半期ほどの短期利益を追及する。「貪欲さ」がそれを表す代名詞となって、金融街は憎しみの対象にさえなったのである。ただ、この企業の体質は何も、金融機関だけに限られることではない。大学も、医療業界も、刑務所でさえ、金融機関のようになっているのだという。(2017.04.30)
Y-FP Office Japanのホームページ上で、「家計のキャッシュフロー表、自分で作成」コーナーを設けましたので、ご活用ください。