我々、日本民族はある意味、特殊な民族であったのかもしれない。日本人と他の国の人たちの植物に対する関心度を見てみると、その違いが分かる。古代人である。その頃の書物を対比すると、日本の万葉集に出てくる植物の多くは、ウメ、タチバナ、サクラと多くが観賞用の植物である。もちろん、梅も桜も実をつけるが、万葉集では、その実を食すことに関心は無い。その美しさに関心を寄せるのである。一方、諸外国では、ユダヤ民族の聖書、インドのヴェーダ、中国の詩経にしても、植物が登場する割合は低い。しかも、その登場する植物も、コムギ、アマ、オオムギと、どちらかと言えば、自分たちの食料や衣料に使う植物である。植物は観賞するものではなく、食べたり、生活に利用するものであった。つまり、それだけ、四方を海に囲まれ、水も豊かな、我が国は古代のころより、生活に余裕があったのかもしれない。日本人は自然を大切にするということに関しては、植物の観点から、異議を唱える人もいる。日本人が好む花の中に、萩がある。「ハギは原生林の植物でなく、自然破壊をした後に成立するマツ林などの二次林などで目だつ植物である。ハギの歌の多いことは、万葉集時代には自然破壊がすでに進行しており、まわりにハギがかなり普通であったことを示すことにもなろう。こんな自然破壊の中で日本の花の美学は最初に誕生したのである」(中尾佐助「花と木の文化史」岩波新書)。(2017.06.30)
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