17日、イギリスのメイ首相がEU離脱に関する声明を発表した。その中身は中途半端な離脱は止め、明確な離脱をするというものだ。つまりはEUとイギリスとの経済的な関係は世界貿易機関(WTO)規則に準拠したものに戻ることを意味する。途端に、英ポンドは他の通貨に対して、下落したが、メイ首相の、議会の承認を得るという発言で幾分戻している。さて、イギリスのEUからの離脱、ブレグジットは主に、欧州とイギリスの問題である。直接的には、日本やアジアの国々、またアメリカにとって、影響は少ない。IMFの予測でも、各国の成長率を0.1%程度、下方に押し下げるくらいなものなのである。ただ、問題は金融である。イギリスはご存知のように、ロンドンのシテイーを中心に、金融大国である。そのシテイーにあった世界各国の支店網がヨーロッパに転するかもしれないということである。これだけなら、単に、イギリスの金融力の低下だけなのだが、イギリスのシテイーはアメリカの資本やら、世界中のノンタックス国に避難したお金が逆流する場所である。イギリスが世界帝国であった時代の名残である。このお金が、ヨーロッパの金融機関に、これまで通りに流れていかないことも考えられる。それでなくても、欧州の金融機関の体質は今や脆弱である。ドイツ銀行でさえ、いつ破たんしてもおかしくないとさえ言われている。欧州のどこかの大手銀行で、デフオルトが起これば、その時は、世界恐慌である。ヨーロッパだけの問題ではなくなる。(2017.1.18)