保育園の義務教育化が話題に上っている。欧州の国々で、義務教育化が実施され始めているからである。例えば、ハンガリーやフランスでは3歳児からの義務化が実施、または検討に入っている。保育園の義務化には二つの大きなメリットがある。ひとつは、女性の社会進出を促進するというものである。日本のように、男性労働人口が減少していく社会では、女性の労働力に頼ることによって、総労働人口の増加を図らなければならない。保育園が義務教育化すれば、女性が安心して、子育てをすることができるのである。もうひとつの利点は3歳児のような幼年期の児童は教育効果が高いことだ。卓球の福原愛さんではないが、小さいときからの教育は生涯にわたり続く。ジェームズ・ヘックマン教授の研究によると、乳幼児期に良質な教育を受けた人は、高収入の割合が高く、犯罪率は低いといったポジティブな傾向があることがわかっている。ただ、この義務化は当然、お金がかかる。しかも、利益者が子供を持つ若いお母さんに限られているので、高齢化や貧困化が増す社会の中にあっては、合意形成が難しい。だが、私はこの義務化は大いに検討に値するものだと思う。すぐさま実行というわけにはいかないかもしれないが、できるだけ早い時期の実施が望ましい。(2015.11.28)