個人情報の漏洩が企業にどれほどの損害を与えるのだろうと考えてみた。ニュースなどに取り上げられて、企業イメージがダウンする損害は別にしても、例えば、市役所などと取引をしている企業では、それが盗難という不可抗力のような場合でも、市役所が提供したデータが紛失した管理責任は問われ、その市役所との取引が出来なくなるという致命的な打撃を被り、その取引を復活させるために、涙ぐましい努力が求められるのである。2009年に露見した三菱UFJ証券の元社員がその顧客名簿を持ち出し、うち、4万9159人の個人情報を名簿業者3社に売却したことが明らかになった。このときには、慰謝料として、一人1万円を三菱UFJ証券は払ったので、総額として5億円近い金となる。宇治市の住民基本データ22万人分が流出した。これは市が委託していた業者が雇っていたアルバイト学生が無断で、データをFDにコピーし、業者に売却したもので、裁判になり、損害賠償を請求した住民側が勝訴したものである。このときには裁判を起した人しか賠償金は得られなかったが、弁護士費用を含め、一人15000円であった。仮に、22万人が提訴していたら、33億円である。個人情報の保護は公共機関や大企業で進んでいるが、一方で、社会的なつながりを壊しかねない、いかにもやりすぎというものもある。私は昔の電話帳が誰もが自由に見ることが出来た時代が懐かしいのだが、今は携帯電話の番号を本人の同意なくもらせば、違法になる時代に変わっているのである。
Y-FP Office Japan
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