韓国で、いわゆる「接待規制法」が先月末に施行されてから20日あまりが経つ。新法の正式の名称は「不正請託及び金品など授受の禁止に関する法」で、新法の立法化を推進した国民権益委員会の当時の委員長の名前を取って「金英蘭(キム・ヨンラン)法」とも呼ばれている。新法の趣旨と狙いは、韓国社会に根強く浸透している腐敗、不正の撲滅であり、その根絶にある。目的と名前は勇ましいが、今となれば、これを推進する朴槿恵大統領自身が潔白ではないのではないかという疑惑まで飛び出している。それはさておき、この種の法律は、どうも時期を逸する。日本でも官官接待などを規制する法律を作ったのだが、バブルが崩壊して、民間接待が激減して、官に頼っていた料亭などの産業が壊滅的な打撃を受けた。韓国も、今、経済の下降期である。このような時に、この法律が施行されて、ますます消費マインドが冷えることになる。目的や精神は良くても、時機を間違えるととんでもない悪影響を出すという見本である。もちろん、長期的に見れば、不正が減り、成長率を押し上げるのだが、それはあくまでも長期的な問題である。(2016.10.31)