昨年、大村智さんがノーベル生理学・医学賞を受賞しました。大村さんの受賞理由は土中の微生物の生産する天然有機化合物の探索研究から、480種を超える新規化合物を発見し、感染症などの予防や薬の開発などに貢献したことです。彼の研究成果により、熱帯地方の風土病とされていたオンコセルカ症の撲滅につながっています。さて、人類にとって、病は最大の脅威です。昨年、韓国で中東呼吸器症候群（MERS）の感染が拡大し、27人が死亡、172人が感染、6500人が隔離対象になりました。この影響で、6月以降、韓国への旅行者は激減しました。風評もあるでしょうが、経済に与える影響も大きいのです。世界には、まだまだ、未知の病があって、これまで、一部地域の風土病と考えられてきたホイットモア病が、実は全世界に蔓延しているという発表がありました。この病気は類鼻疽菌(ルイビソキン)によるもので、その致死率は７０％を超え、2015年16万5000人が感染し、うち8万9000人が死亡したというほどの猛威を振るっているのです。そういえば、今日、入ってきたニュースで、世界保健機関（ＷＨＯ）は１５日、西アフリカのシエラレオネで１２日に死亡した女性がエボラ出血熱に感染していたと発表しました。ＷＨＯは１４日、隣国リベリアでの終息を宣言したばかりです。２年あまり続いたエボラ出血熱の大流行が事実上、終息したと思われていただけに、多くの人がショックを受けています。病はどんな大金持ちや権力者にも、貧しい人たち、戦争に明け暮れる人たち、そして、私たちのような平凡な日々を暮らす者にとっても、誰にとっても、脅威です。恐怖の対象です。そして、それから逃れる方法もないのかもしれません。(2016.1.16)
