予想していた通りとA君は言うが、それは私の想定以上だった。7月24日のアナログ放送の終了を前に、薄型テレビの価格が安くなっている。主力の32型では1インチ1000円割れと新聞には書いてある。それなら3万円程度の値段だ。主力と言うからには、この32型が最も多く売れている商品なのだろう。それなら、私の家にも丁度よい。地上デジタル放送開始が騒がれ始めた頃、私はしばらくすれば、テレビの量産化も進んで、価格も安くなるだろうとは思っていた。だから、我が家の予算は10万円だった。それでも、当時の価格帯としては低い水準だった。それに、何よりも迷っていたのはテレビの大きさだった。意を決して、家電量販店に行けば、常に、今が買い時だと連呼され、同じ買うなら大型だと薦められた。家に居て、大型スクリーンのような迫力をと言うのが店側のうたい文句だった。店にはこれ見よがしに大型テレビが並べられていて、いかにもこれからはこの大きなテレビの時代ですと言わんばかりだった。時代遅れの老人と見られるのが怖くて、ついつい目は大型テレビに移った。しかも追い討ちをかけるように、店員は多くの方もこの大きな型のテレビを買われていますよと言いつつ、私が買おうとしていたテレビと比較させた。確かに、広い売り場では、32型は小さく、貧弱にさえ見える。私は私の家が急に広くなったような錯覚になって、思い切って買おうかとさえした。しかし、首を振れば、狭い我が家も見える。結局、決断のつかない日々は続き、今だに、買い換えることはできず、今日まで来ている。
Y-FP Office Japan
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