極東アジアの真実 Truth in Far East Asia

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本当の豊かさとは?

2015-12-24 14:15:44 | 日本社会

南米ウルグアイのホセ・アルベルト・ムヒカ・コルダノ元大統領と言われても多くの方は初めて聞かれる名前かと思います。私達が求める、本当の豊かさを我々に示唆している人かもしれません。豊かさとは、愛、家族、子供、友達、そして必要最低限のモノを持つことか・・・演説文は日本のマスコミ等で報道されることは少ないように思います。

ホセ・アルベルト・ムヒカ・コルダノ氏は2009年11月、ウルグアイ大統領選挙に当選、2010年3月1日~2015年2月まで第40代ウルグアイ大統領で、バスク系ウルグアイ人です。
祖先はヨーロッパ、バスク地方(血統的ユダヤ人の方ばかりが生活しています。)のビスカヤ・ムヒカ出身で、キューバのチェ・ゲバラ同様、旧約聖書に記された、血統的ユダヤ人であるスファラディ・ユダヤ人と言われています。

1840年に家族がウルグアイに渡たり、ホセ・アルベルト・ムヒカ・コルダノ氏は1935年、ウルグアイの首都モンテビデオの貧困家庭で誕生、家畜の世話、花売り等で家計を助け、1960年代に極左都市ゲリラ組織ツパマロス加入、ゲリラ活動、ツパマロスと治安組織の抗争の激化、労働組合や職人組合の政治経済への反発といった中で、数々の襲撃、誘拐にたずさわる中で、6発の銃弾を受け負傷、4度の逮捕、1972年逮捕以降、軍事政権終了までの13年間収監されています。この間、軍事政権側の人質となっていました。出所後はゲリラ仲間と左派政治団体を結成、1995年の下院議員選挙で初当選、2005年ウルグアイ東方共和国初の中道左派政権となる拡大戦線のタバレ・バスケス大統領下で農牧水産相として初入閣、2009年度の大統領選挙戦で、元大統領である国民党公認候補ルイス・アルベルト・ラカジェを決選投票で破り勝利しました。

大統領時代は、公邸には住まず、首都モンテビデオ郊外の質素な農場に妻と住み、菊を栽培。また運転手付きの公用車に乗る代わりに中古のフォルクスワーゲン・ゴルフを愛車とし、飛行機での移動にはエコノミークラスを使っています。大統領報酬の90%程度を貧しい人々や零細企業向けのチャリティに寄付、自身は月に1000ドル程度で生活していたと言われています。

2012年6月20日から22日までの3日間、ブラジル・リオデジャネイロにおいて、Rio+20 地球サミット2012 (国連持続可能な開発会議)が開催されました。
188ヵ国、3オブザーバーの97名の首脳と多数の閣僚級を含む約3万人が参加、持続可能な開発、貧困根絶の文脈におけるグリーン経済と持続可能な開発のための制度的枠組みをテーマに・・・日本からは玄葉外務大臣が出席しています。

この会議では、ホセ・アルベルト・ムヒカ・コルダノ大統領は各国が触れてほしくない環境問題等の核心に触れ、現代社会に対して警鐘を鳴らしています。今の世界の社会構造を勇気を持って批判できる人物であったと言われています。真の豊かさを手に入れるにはどうすべきかも語っています、何か私達に、本当の豊かさとは何かを指し示しているように思えます。

現世界の経済、金融等システムは大量の資源消費、大量生産、大量消費を持続的に必要としており、これらには大きな問題があり、疑問を持ち、これらから抜け出すことが必要と述べています。
古代ギリシアの哲学者エピクロスを例に・・・貧乏な人とは、少ししかモノを持っていない人ではない。「無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」と。

スピーチ(要訳、意味不明文があるかもしれません。)
会場の皆様、招待いただきましたブラジルとディルマ・ルセフ大統領に感謝を申し上げます。
この場では国の代表者が集まり、私達人類が今後どうすべきかという問題を、議論されるのだと思います。

私の頭の中にある消えない疑問をお話させて頂きたいので、どうかお聞きください。
皆さんは、本当に世界を良くしたいと、本当に心から考えていますか?
持続的に可能な発展、世界の貧困をなくすことについて話し合われてきました。
今私たちが目指すべきことは、現在の裕福な国々のような発展、消費モデルを真似することなのでしょうか?

皆さんに質問です・・・例えば、ドイツの人達が一世帯で持つ車と同数の車をインドの人達が持つことになればどうなるでしょうか?
私達が地球で呼吸するための酸素はどれだけ残るでしょうか?
西洋の富裕層達が当たり前とする、傲慢な消費を世界の70億~80億人の人が消費したらどうなるでしょう。そんな資源がこの地球上の何処にあるでしょうか・・・こんなことが可能な訳がありません。

無限の消費、発展を求める市場経済、資本主義により出来た現社会を作ってきたのは間違いなく私達です。
グローバリゼーションの発展等を持続するために、世界のあちこちまで資源を探し求めるようになりました。競争だけで成り立っている社会になりました。
このような状況ので、みんなの世界を良くしていこう、貧困をなくしていこうと言うような共存共栄な議論は成立するでしょうか?
一体どこまでが仲間で、どこからがライバルなのかさえ分かりません。

私が発言するのは、この会議の重要性を批判したいからではありません、その逆です。
我々の目の前にある本当の問題について話し合いたいのです。
現世界の大量生産、大量消費、使い捨ての社会を抜け出そうでは有りませんか、私達はこのために、この地球に生まれてきたわけではありません。
誰もが幸せになるために、この地球に生まれてきたのです。
長いようで人生は短く、あっと言う間に過ぎ去ります・・・私達は、命より尊いモノは存在しないということを決して忘れてはいけません。

私達は今、自分達が作り出したはずの大量消費社会にコントロールされています。
今の社会のシステムでは、「モノをより早くより多く消費し続けなければなりません。消費が止まれば経済が麻痺し、不況がみなさんの前に現れる」ことになるからです。
そのためには、「商品の寿命を縮め、できるだけ多く売らなければなりません。」、10万時間持つ電球が作れたとしても、1000時間しか持たない電球を作るのです。
人がもっともっと働き、大量に売るために「使い捨ての社会、消費世界」を続けようとしているのです。この悪循環の中にいることを、皆さんはどうか気付いて下さい。

石器時代のような不便な生活に戻れと言っているのではありません。今の大量消費社会を、うまくコントロールしなければならないと言っているのです。

古代ギリシアの哲学者エピクロスはこう述べています。貧乏な人とは、少ししかモノを持っていない人ではない。「無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ・・・」と。
私は、これこそが、この会議では最も重要なポイントだと考えます。

問題の核心は、水源、環境等危機と言ったことではありません。もっと根本的な問題は私たちが作り上げた社会モデルであり、政治の在り方だということを分かって頂きたいのです。
「見直さなければならないのは、大量消費社会そのモノ」なのです。
発展することで幸福を奪うな・・・幸せはシンプルなところにあります。

私は環境資源に恵まれた小さなウルグアイ国の代表です。私の国には300万人ほどの国民しかいませんが、世界でもっとも美味しい1300万頭の牛が育ち、1000万頭近いヤギもいますし、領土の90%が豊富な資源となっています。

労働者達の殆どは、嫌がおうにも長時間労働を強いられています。車、バイク等々などの多くのローンを支払わないといけないからです。
毎月たくさん働きローンを払うという生活を続けていれば、幸せな人生は一瞬で過ぎさります。気が付けば私のような老人になっていることでしょう。
果たしてこれが人類の運命なのでしょうか?

私が言いたいことは実にシンプルです。
発展は幸福を阻害するモノであってはいけないと言うことです。
発展は人類に幸福をもたらすモノでなくてはなりません。愛を持つこと、家族を作り、子どもを育てること、友達を持つこと、そして「必要最低限のモノを持つこと」、発展は、こう言ったことを齎(もたらす)すべきなのです。人類にとって、幸福が何よりも大切だからです。だから環境のために戦うのであれば、幸福こそが最も大切な要素であるということを覚えておかなくてはなりません。

外務省資料、リオ会議スピーチ(ユーチューブ、スペイン語から英語の字幕があります。是非見られては・・・)、ウィキペデア、ネット資料等を参考にしています。


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