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MAHAVISHNU ORCHESTRA / Between Nothingness & -

2005年10月21日 23時53分12秒 | JAZZ-Fusion
 第一期マハビシュヌの最終作。昨日とりあげた「ザ・ロスト・トライデント」がお蔵入りなったおかげで、悪くいうと契約消化のために作られたものらしいが(当時のリスナーはそんなことは知る由もなかったのだが)、とにもかくにも第一期マハビシュヌのライブ・アルバムを残しておいたということだけでも、今となっては貴重といえる。収録曲は3曲でいずれも「ザ・ロスト・トライデント」に収録されていた曲で、いずれもスタジオ録音の比べて、インプロビゼーションのパートが拡張され、奔放さが横溢した、いかにもライブらしい演奏になっている。

 「トリロジー」はスタジオ版ではきっちりと3部に分かれていたパートを、ここでは奔流の如く一気呵成に演奏していて、第2部から第3部へとテンションが高まっていくあたりの流れはいかにもライブ的な感興に満ち満ちている。第3部でのマクラフリンとハマーのソロの応酬はスタジオ版も凄かったが、それをも上回る怒濤の勢いで進んでいくあたりは聴き物だ。ハマー作の「シスター・アンドレア」はマハビシュヌにしては、ポップでファンキーなテーマをもった曲で、ある意味一般的なフュージョンのフォーマットに近づいた感じだが、中間部でのマクラフリンのギターとコブハムのドラムスは最高のテンションだし、後半のハマーによるギターライクなシンセ・ソロもこの曲あたりが「走り」なのだろうが、もう完璧にひとつのスタイルとなっていると感じるのは、その後いくたのフォロワーが出たせいだろうか。「ドリーム」は演奏時間がスタジオ版の倍に拡張された演奏で、「トリロジー」と同様、割とおとなし目の導入部分はほとんどイントロ扱いになって、圧倒的なテンションの中、ハイスピードなソロの応酬に重点がシフトしている。演奏時間でいうと12分あたりから、マクラフリンとコブハムのみで演奏するところなど、いかにもライブって感じのパフォーマンスだし、このような半分遊びみたいなパートでもふたりのコンビネーションがほとんど完璧なのは、聴いていてほとんど驚異である。

 というワケでこのアルバム、とにかく凄い演奏。正直いうと「ザ・ロスト・トライデント」と同様、マハビシュヌらしいエキセントリックみたいなものが薄まり、やや求心力が低下している印象がなくもなく、スーパー・テクニック集団の見本市みたいに堕してしまっているところもあるのだが、とりあえず、ここまでやってもらえれば文句はない。ただ、今の耳で聞くとドラムの音が薄く、音像が遠方過ぎてやや音質的に万全でないのと、収録曲も少ないのが不満だ。「火の鳥」や「内なる炎」の曲もいれてアナログ2枚組くらいの分量だったらよかったのに。 
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