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坂本龍一/侍女の物語(soundtrack)

2005年10月14日 22時59分25秒 | サウンドトラック
 こちらはフォルカー・シュレンドルフが演出した1990年の作品の音楽。フォルカー・シュレンドルフというと、私くらい世代になるとどうしても「ブリキの太鼓」を思いうかべてしまうのが、ともあれあのドイツの異才の作品を担当するとは、ひとくちに「世界の坂本」といっても、メジャーというよりはヨーロッパを拠点とするかなりアーティスティックなポジションのひとたちに評価されているんだなぁ、妙に感心したものである。

 さて、この作品は「嵐が丘」や「リトルブッダ」と異なり全てシンセにより構成されている。その意味で前者が「ラストエンペラー」の系統だとすると、こちらは「戦場のメリー・クリスマス」の路線といえるかもしれない。メイン・タイトルのエキゾチックで東洋風な旋律とか、各種シンセを音色を効果音的に空間に配列したような、ちょっとシリアスなサウンドが全般に鏤められているあたり、音楽的にも共通する部分があると思う。もっともこの作品の場合、予算と時間がなかったからシンセでやったという可能性もあるからなんともいえないが....(笑)。

 ともあれ、この作品、全体に坂本独特の中~低域で粘着するようなシンセ・サウンドが印象的だ。時なアート・オブ・ノイズ風な激しいサウンドや暗雲が立ちこめるような不穏なムードをシンセで展開するのは、確かにオーケストラでは無理だったかもしれない。あと、印象に残った曲を拾っておくと、「ラブ・イン・ニックス・ルーム」は、昨日の「リトルブッダ」のハイライトを思わせる壮麗な旋律でこれはなかなかの聴き物だが、これについては生オケでやった方がもっと良かったと思う。ついでに「交通事故」はなんかオケ収録前に、とりあえずシンセでスコアを音にしてみましたって感じなのがおかしい。「ウェイティング・フォー・マーダー」「キリング・コマンダー」「メイデイ」あたりはピアノとオケ(シンセ)の絡みを中心とした割とダイナミックな展開で、映画のハイライトを彷彿とさせる映像的に音楽だ。

 
コメント (1)
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